修学旅行 #2
バスの中。
工場の話題で話している子や持ち寄ったお菓子を広げて談笑している子、午前にも関わらず既にお昼寝をしている子、バス酔いしてしまってグダってしまっている子、はたまたそんな生徒達を運転席の上についている鏡でそんな様子を確認しながらバスを走らせる運転手さん、栞で今後の予定を熱心に確認している宮井先生と、それぞれの過ごし方が相まって、車内は盛り上がっていた。
盛り上がり続けておよそ1時間半後、まもなく到着するとの報告を酔ってフラフラな宮井先生からうけた私たちは座席の角度を戻したり、お菓子の袋をまとめたり、うとうとしている隣の子を起こしてあげたりと各々下車の準備を始める。
バスの窓からは大きな建物が5つほど連なっているのが見えた。これらを目の当たりにすると、改めて大きな施設だな、と紗愛は感じた。
「はいみなさん…到着、しましたよ…ぉ。前の人から順に荷物をもっ…て降りてください」
つらそうな先生の案内で私たちはシートベルトを外し、席を立つ。
降り際で運転手さんにありがとうございましたと挨拶をし、バスを降りた。
ある程度酔いが覚めたらしい先生がバスの隣にたち、私たちを整列させて座らせた。
整列が完了すると、先生が話し始める。
「みなさん、お疲れさまでした。これから工場の見学に向かいます。そこで、工場を案内してくださる方を紹介したいと思います。新富士さん、お願いします」
先生が新富士さんと思われる人に軽く頭を下げて横にずれると同時に男性が私たちの正面に立つ。
「みなさんこんにちは、新富士といいます。今日はよろしくお願いします」
愛想よく笑顔で挨拶する新富士さんに、私たちはお願いしますと挨拶を返す。
「ここで長々と話すのも時間がもったいないので、ひとまず中に入りましょうか。みなさん、荷物を持って2列でついてきてくださいね」
工場の入り口を抜けると、職員のものであろう下駄箱がズラリと並んでいた。
全人類の生存に関わる一大企業、今や全ての国が共同でお金を出しあって運営する公的企業の1つなだけあってその職員の数もワールドクラスである。
下駄箱ロードを抜けると、左右に事務室の文字が見えた。
「ここが事務室になります。ここでは、機体の発注の電話を受けたり、各機体毎のデータ整理などを行っています。また、本工場からの材料発注についてもここが請け負っています」
新富士さんが事務室について説明してくれる。
「1つの事務室には5つのグループがあり、それぞれ8人ほどが配属されており、各グループが別の機体を請け負っています。また、ここの工場には4つの事務室があります。なので、だいたい20ほどの機体を取り扱っています。これから中に入りますが、仕事中なので極力静かにお願いしますね」
そういうと、新富士さんはドアにてをかけ、お疲れ様ですと一言言い、中に入っていった。
私たちもそれに続く。
中には机とイスのセットが8つ、それが8個あった。
これが先の話にあった、グループだろう。
全ての机にコンピュータ、大量の紙、それを綴るファイルが置かれていた。
その他には机の主の趣味であろうカレンダーであったり置時計であったりといろいろなものが置かれていた。
職員を見てみると、スーツの人は少なく、私服の人が多かった。
さらには、金髪であったり、ピアスをあけている人までいた。
私と葉菜はそれが気になり、小さな声でヒソヒソと話していた。
「ね、紗愛、スーツじゃないんだね」
「そうだね。というか、私は金髪の人に驚いたよ…」
小さな声で話していたつもりが、新富士さんに聞こえていたようで、
「うちでは、そういった縛りはほとんど設けていないんだよ。仕事の効率に影響が出ずに、周囲に迷惑さえかけなければ基本はオッケー。それぞれの自由があったほうがモチベーションもあがるし、それが逆に仕事の効率アップにつながるしね」
そういうと、新富士さんは自分の机に向かい、引き出しをあけた。
「ほら、こんな風に僕もお菓子やらゲームやらを常に持っているしね。これで休憩時間にリラックスするんだよ。みんな、食べるかい?」
新富士さんは人数分のチョコを持ってきて、私たちに手渡してくれた。
「さて、次は会議室に行こうか。絶賛会議中だから、新機体の開発会議がみられるかもしれないよ」
こんにちは、イロハです。
本話を読んでいただきありがとうございます。
修学旅行2話目、いかがでしょうか。
本当なら会議室まで入れるつもりだったのですが、なんとなく長くなりそうだったのでここで切りました(汗)
おわかりの通り、次の話は会議室見学の話になります。
どうかお付き合いください。
改めて、読んでいただきありがとうございます!
感想など書いていただけると1人で泣きます。
では、また次話でお会いしましょう。