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鉄の世界に咲く花は  作者: イロハ
一年生
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訓練

今日の1時間目の始まり。

クラス委員の谷本さんがお願いしますと挨拶をする。

それにつられるように、もはや条件反射の如くみんなが頭を下げる。


最初の授業は弓道。

腕と胸筋を鍛えるとともに、精神力の向上を図るための授業らしい。わたしはこの授業が好きじゃない。

花の女子高校生に精神統一し、無になって集中せよ、なんてあまりに酷じゃないか。

それでもみんな、一生懸命になって弓を引く。

集中して集中して矢が的の中心を射抜いたときは何だかんだで嬉しいし気持ちいい。

そういったことに快感を得るあたり、やっぱり向いてるんだな、と改めて思う。


はじめて弓を引いたときは弦のかたさに驚いた。葉菜といっしょになって、


「こんなの無理じゃない?」


「私もそう思う」


なんて話をしていた。

今は引けるんだけどね。

学校の1時間の授業は50分。

的の数はクラスの人数分あるわけではないので実際に引く数はそう多くはない。

その上、深く集中しているわけだから体感時間はとても短く感じる。終わりのチャイムが鳴るときは未だに短いな、と思う。

そして、教室に戻るときには毎回恒例、今日の調子の発表会だ。


「ねぇ紗愛!今日どんな感じだった?私は敢ジャニが頭から離れなくてもうぼろぼろさ…」


「ふふっ、流石と言うのはおかしいけど、まあ相変わらずね。私は真ん中に2本くらいはいったかな」


なんて感じに話している訳だ。


「ほら葉菜、はやく行くよ。制服に着替えないと、2時間目始まっちゃう!」


2時間目は数学。兵士訓練校とはいえ一応高校生。一般的な勉強も行うのだ。


教室に戻り、着替えを始める。

数学はやはり苦手な人が多く、保健室を求める声も上がっている。

それでもしぶしぶ席につき、机から教科書とノートを取り出し、ため息をつく葉菜。

みんなが席につくと、2時間目の始まりを知らせるチャイムがなった。

前の扉が開き、宮井先生が入ってくる。


いつもなら挨拶お願いしますと口癖のように言う先生だが、今回の一言目は違っていた。


「今日の2時間目は数学の予定でしたが、急遽変更となりました」


この一言でクラスのみんなの雰囲気が明るくなるのがわかる。

そんなに嫌なのかな、数学。

まあ確かに、変わってくれるのは嬉しいんだけど。

2時間目は何になったのか。


「みなさん、廊下に並んでください。2年生の授業の見学に行きますよ」


これで明るくなった雰囲気が膨張、喜びの声があがる。

上級生の授業は実習。

1年生の私たちとは内容が大きく変わっている。


「これからグラウンドに行きます。そろそろ、上級生の『機体』が出てきていると思いますよ」


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