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鉄の世界に咲く花は  作者: イロハ
一年生
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修学旅行 #5

バスの荷台に荷物をのせ、私たちはバスに乗り込む。

宮井先生の点呼が終わると、運転手がアクセルを踏む。


「みなさん、見学でたくさんのことを学ぶことはできましたか?今度のレポートのためのメモはとりましたか?みなさんの間での情報のやり取りはおっけーとします。今のうちからレポートのイメージをしておいてくださいね」


情報共有がおっけーされたことで数人から安堵の雰囲気が見てとれる。

メモを取り忘れていた部分があったのだろう。

私ももしかしたら取り忘れがあるかもしれない。

あとでまわりに聞いてみよう。


「今からホテルへ向かいます。夕食のためにも、あまり飲食はしないようにしてくださいね」




地面から数十メートル上に架かる高速道路を走るバスのなか。

私と葉菜は先生の言葉を守ってお菓子は食べず、ずっと会話をしていた。

途中、葉菜が前の座席の中嶺(なかみね)(さち)黒森(くろもり)(ゆう)にちょっかいを出したため、いつのまにか4人での会話になっていた。

幸は葉菜と同じでとっても元気。

運動が得意で勉強は並少し下といったところだろうか。

それとは対極で、夕は基本無口。

本が好きで、放課はよく読書している姿を見かける。

そんな相対するような2人だが、何かしら通ずるものがあるのだろう。

よく一緒にいるところからして仲がいいのだと思う。

幸の一方的なグイグイとは思えない。

夕も決して嫌がっているような感じはなく、むしろ幸といるときは楽しそうであった。


それでも、いい意味でやかましい幸と物静かな夕が一緒にいる様子は端から見ると実にミスマッチであった。

そんな4人の会話はたわいないもので、昨日見たテレビの話だとか新しくできたあのパン屋知ってる?だとか将来乗りたい機体は何かなどなど……。




数十分後、会話に飽きてどういうわけかにらめっこをしていると、


「みなさぁん…つ、着きますよ~…。荷物、まとめて、く、ださい。寝ている人ぉを起こしてあげてくださ…」


相も変わらずヘロヘロな宮井先生の声がして、にらめっこはおしまい。

言われた通りに荷物をまとめ、座席の角度を戻す。

寝ている子の肩をゆすって起こしている子もいた。


バスをおりると、正面に立派な出で立ちの建物が建っていた。

薄く淡い黄色、いわゆるクリーム色を基調とした壁には窓がきれいな長方形を描いている。

階数は窓の数から察するに7階だて。

栞を読んだ記憶では私たちの使う部屋は3階だったような気がする。



先生を先頭に2列に並んだ私たちはホテルの入り口へと歩き出す。

入り口前にはホテルの従業員らしき人が3人、笑顔でお出迎えしてくれた。

そのうちの1人が一歩前へ進み出て、両手を重ねて美しい丁寧なお辞儀をし、


「みなさん、本日は当鈴蘭(すずらん)ホテルご利用いただきありがとうございます」


とこれまたご丁寧な挨拶。

その後、先生と少し話をしたあと、「こちらへどうぞー」と手を上げながら私たちをホテル内へと案内してくれた。


立派なホテルのドアをくぐると、真正面大きな白い階段が目に飛び込んできた。

そのとなりにはエレベーターが3つ。

そしてまたとなりにはフロントがあった。


私たちの右手側にはお土産屋さんがあり、たくさんの品物が並べられている。

葉菜と幸がこっそりお土産屋さんへ行こうとしているのを谷本さんが見つけて連れ戻されているのを見て苦笑い。

お土産屋さんの奥にはカフェがあり、コーヒーのいい香りがここまで漂ってきている。


ふと、宮井先生の姿が見えないことに気がつく。

辺りを探すと、先生はフロントにいた。

どうやらチェックインを行っているようだ。

しかし、先生を見つけた直後、既に私の視線は先生には向けられておらず、そのとなりにある壺の群れへと向けられていた。

大小様々、色も形も一つ一つ異なる壺の群れは、白が目立つロビーでは異質な存在感を放っていた。


私が壺郡に目を奪われていると、横から葉菜と幸の会話が聞こえてきた。


「なあなあ葉菜!あの壺、すっげー高そうじゃないか?」


「私も思った!いくらするんだろうねー…」


各壺の足元にはそれぞれ値札が置いてあった。

少し距離があるので詳しい数字は見えないが、明らかに桁数がおかしいとこは見て取れた。


「あちらの壺、気になりますか?」


私たちを案内してくれるホテルの人が葉菜たちに声をかけた。2人は同時に頷くと、ホテルの人が壺のことを軽く教えてくれた。


「あそこの壺たちは、先代の社長が集めたものなんですよ。どうやら壺マニアだったそうで。せっかくだから、ホテルに宿泊してくださったお客様に壺の魅力を少しでも知ってもらいたいと売り出すことにしたそうです。あそこにおいてあるのはレプリカ、つまり偽物ですが、安いものでも30万、一番高いものだと450万のものまであります」


みんながほうほうと話を聞くなか、葉菜と幸は「たっけーー!」とオーバーな驚き様。

その驚き方にまたホテルの人がびっくり。

クラスのみんなはやれやれと苦笑い。

なんとも平和である。


「はい、みなさん静かに!」


と、チェックインを済ませた宮井先生が戻ってきた。


「これから私たちの使うお部屋へ案内していただきます」


ホテルの人と先生がお互いに頷く。


「ではいきましょうか。こちらへどうぞ!」


ホテルの人に続き、正面の大きく真っ白な階段へ部屋へ、3階へと向かう。


どうもこんにちはこんばんはおはようございます、

イロハです。


ようやく修学旅行1日目の締め、ホテルへと到着しましたー。

長かった!

正直もうちょっと簡単なイベントにするつもりだったんですけどねー…


まあ今さら振り返っても遅い!ということで先の話をしたいと思います。


ホテル!もちろんご飯があり、寝る前のお話があったり、お風呂があったりと1つの場所で複数のイベントができる作者のための場所であるようなホテル。

どのくらいの話になるかはわかりませんが、お付き合いいただけると嬉しく思います!


では、また次回!読んでいただきありがとうございます!下に新キャラの紹介があります!


《新キャラ紹介》

中嶺(なかみね) (さち)

とても活発とても元気な破天荒女子。活発な葉菜と相性がよく、入学してまもなくから仲良し。夕とは幼いときからの友達で、よく一緒にいる。


黒森(くろもり) (ゆう)

物静かで無口な性格。決して暗い性格ではなく、人見知りなだけ。身長が低く、とても愛らしくみんなの妹的存在。自分の加減に合わせた態度で接してくれる幸が大好き。


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