第4発目 探索
ちょっと用事があって待たせてしまいました。申し訳ございません
ミュー達とパーティーを組んでから約1時間、ホーンラビット3組ぐらい遭遇した。そして森の中に入って探索していたらフォレストウルフの群れに遭遇した。フォレストウルフは狼型のモンスターで森の中に住んでいるらしい。それが6匹で襲いかかってきたよ。ほぼ本物の狼と同じ動きだったから対処しやすかった。以前、爺様の特訓で狼を素手で倒す事があったから慣れていた。飛び掛かって来た場合、見切って回避して横から心臓の所を竜拳を放てば心臓が破裂して動かなくなる。もしくは噛み付く前に狼の顔を回して捻じ曲げ首を折るか気道を潰す。これは技を使わない時にやるからちょっと怖いけどね。でも実際にどっちもやったら味方も敵も怯えていたから悩ましいね。みんなはレベルが結構上がっていたみたいだけど、私は1レベルしか上がっていなかった。ステータスは後で上げる事にした。
その後からは普通に蹴ったり殴ったりした。仲間と戦うと味方の隙を突いてくる敵をカバーしないといけない。これは問題ない。でもほぼ一撃で倒せるから戦闘が早く終わって、直ぐに探索に行けるから時間的に結構深く行けた。途中で魔物が落とす事をドロップ品って言って低確率でレアなアイテムも出るみたいだ。倒した敵から得た毛皮や肉以外に薬草とか木の実を採取したりした。みんなで採取したりしたけどセイハくんが一番多く取っていた。これも職業がらみだけど生産職の方が多くの採取ポイントを見る事が出来るみたいだ。そういえばセイハくんってどんな職業をしているんだろう?
「・・・セイハくん、生産、何?」
「ひゃい!?な、なんですか?」
「あ、セイハくんはどんなの作っているのか気になったみたいだね」
ミューが私の言いたい事を正確に聞いて伝えてくれた。ひゃいって、男の子が叫ぶ声じゃないね。
「あ、え〜っと、僕は主に武器を作っています。それと他に裁縫など色々としています」
「お姉ちゃん、セイハくんはね、βテストでも有名だったんだよ。色んな生産職を経験しているからなんでも出来るんだよ!」
「それに料理、木工、調薬もしていて‘生産の神’とか異名を持っていますよ」
「ルチュルちゃん、その名は言わなくていいよ!」
「・・・凄い」
話をさらに聞くと生産職はそれなりに成功率が低い場合もあって失敗するとゴミになってしまうらしい。でもセイハくんは現実世界で料理と裁縫が上手く、物覚えも良いから他の生産を失敗なしに成功させてたみたいだ。それなら神という異名を得られる訳だ。恥ずかしくなったセイハくんは仕返しとばかりにみんなの異名を教えてくれた。ミューは‘救命の女騎士’、ルチュルちゃんは‘神速の双剣’、テルテルちゃんは‘百発百中’、アルファルちゃんは‘疾風の妖精’と呼ばれているみたい。みんな赤面で恥ずかしがっていた。格好いいと思うけど、なんで恥ずかしがっているんだろう?
「ともかく、お姉ちゃんのお陰で問題なく進んでいるしもしかしたらボスまでいけるかも!」
「・・・ボス?」
「そう、ボスを倒すと次の町に行けるの。次の町に進むたびにボスが強くなって多くなるの。さっき私達がいた町の名前はハワンナって言うんだけど、ハワンナには2体のボスがいるの。この森にいるボスの方が弱いけど、それでもボスだから一筋縄ではいかないからね」
「たしかにβテストで倒した事もあるしー、お姉さんがいれば安心だよー」
「そうだな、姉御がいれば百人力だ!」
「私も賛成。ちょっと危ういけど挑戦して見よう」
「僕も大丈夫かと思います」
私、経験少ないけど頼りにされているね。ちょっと不安だけど頑張ってみるか。
そのままボスがいる地域まで探索しながら進んだ。途中でフォレストウルフの群れに遭遇した。さっきと違うのはフォレストウルフの中に一回り大きい個体がいた。
フォレストウルフ LV:3〜4
フォレストウルフ・リーダー LV:6
「フォレストウルフ・リーダーだ!みんな気をつけて。リーダーは仲間にバフをかけたり危険を察知するよ。中ボスだからボスのエリアに近いはず」
「ミュー、どうする?」
「テルテルちゃんとアルファルちゃんはリーダーが指示を出させないように妨害しながら攻撃、残りは目の前の敵を確実に仕留める!」
「「「了解!」」」
ミューが適切な指示を出してくれた。私も目の前の敵を確実に仕留めよう。さっきと同じように飛び掛かって来たフォレストウルフを避けて竜拳を叩き込んだ。仕留めたと思ったけど、先ほどより固い感触だった。HPをみると3割ほど残っていた。リーダーが吠えたと思ったら、弱った仲間をカバーしながら戦い始めた。追い討ちをかけようとしたが他のウルフに阻まれた。またもやミューが間に割り込んで守ってくれた。なるほど、これは厄介だね。それだったら動きを止めよう。
「【威圧】」
【威圧】を放ったらフォレストウルフの内4匹が怯んでいた。リーダーに一番近かったフォレストウルフはリーダーを守る姿勢でこちらを警戒していた。みんな動きが止まっているフォレストウルフを逃さず確実に仕留めていた。テルテルちゃんとアルファルちゃんも怯んだフォレストウルフを攻撃していた。目や急所を的確に外さず狙撃するテルテルちゃんは凄かった。性格は緩い感じなのに戦闘時は動きが早い。アルファルちゃんは風の魔法使いみたいだ。風の斬撃を飛ばしてウルフを切り刻んでいる。セイハくんは瀕死で動けなくなっている敵をハンマーでトドメをさしていた。生産職は戦闘向けでは無いからみんなが弱らせてそれを攻撃する形となっている。ルチュルちゃんが動きが素早く、ヒットアンドアウェイで敵にダメージを蓄積させるスタイルで攻撃していた。敵に回復係がいない限り頼もしいね。ミューは盾で敵の攻撃を防ぎ、直ぐに片手剣で斬りつける確固たる戦い方だった。味方が危なくなった時には割り込んで防いでくれるから安心して戦える。
順調に仕留めて残ったのはリーダーだけだった。でも手下より動きが早く、攻撃も鋭く急所を狙っていた。でも流石に6対1で有利だったから倒すのは時間の問題だった。みんなが隙を作ってくれたから竜撃を3回放ったらリーダーのHPは0になった。
『今の戦闘によってレベルが5に上がりました。特定の行動でスキル【精密行動】、【関節技】、【気配感知】を習得しました』
おお、またレベルが上がった。みんなはレベルが8に上がったそうだ。削れた体力は回復ポーションを飲んで回復した。味も再現されているのが凄かったけど、ポーションはあまり美味しくなかった。
「お疲れ〜。このままボス前のセーフポイントでドロップ品の確認とステを振ろう」
「「「賛成」」」
「・・・セーフポイント?」
「あ、セーフポイントはね、モンスターが出てこない場所があるの。そこで一休みしたりできるの」
なるほど、確かにゲームとはいえずっと戦いが続いたら疲れるよね。程々に休める場所が無ければ心置きなく休める事も出来ないね。みんなはどこにあるのか知っているように森を突き進む。私はみんなに着いて行くだけだ。本当に役に立っているかな?
しばらく森の中を歩いていると、目の前に広く木が少ない場所に着いた。ここがセーフポイントみたいだ。みんな適当に腰を下ろして休んでいた。私も腰を下ろして自分のステータスの調整をした。変わらず全部STPに入れよう。
プレイヤー名: コクマ
レベル: 5
職業:闘士
HP:400
MP:100
STR:155(+15)
VIT:20
AGI:50
DEX:40
INT:20
MND:50
LUK:10
ステータスポイント: 0
スキル: 【拳闘術LV4】、【威圧LV8】、【天龍家武闘術】、【精密行動LV1】、【関節技LV1】、【気配感知LV1】
順調に強くなってスキルも増えた。説明を読んでみよう。
【精密行動】: 所持者の全ての動きを補助し、行動の精密さを上げる。レベルが上がればさらに精度が上がる。
【関節技】: 相手の関節をより良く縛り外したり砕ける。レベルが上がればさらに確率が上がる。
【気配感知】: 敵の気配を感知する。レベルが上がればさらに正確に把握できる範囲と精密さが上がる。
ミューに見せたら驚いていたから良いスキルを習得したみたいだ。みんなでさっき倒したフォレストウルフ・リーダーのドロップ品を確認した。リーダーは丈夫な毛皮と肉を落としてた。セイハくんがホクホクした顔で喜んでいた。そういえば籠手を作れるのかな?後で聞いてみよう。
「10分ぐらい休憩したらボスエリアに行くよ〜!」
「「「了解」」」
ついにボスか。どんなボスがいるんだろう?
ボス戦間も無く開催。