表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女番長さんとVRMMO  作者: Banapan
第一章 最初の拳とVRMMO
3/5

第2発目 初戦闘

最近忙しくて大変ですね。コクマのイメージ図も描かないといけないし。

恥ずかしながら扉を潜った先は想像を絶する光景だった。ゲームとは思えないほど現実世界と変わらない風の感覚と緑の匂いだった。周りは中世時代の建築物が多く、歩く人達は早かったり遅かったりそれぞれの歩みで歩いている。中世時代の洋服、武器を装備している人、露店で商売をしている人達で溢れかえっていた。現実以上に幻想的な風景に私はドキドキしながら動かずに立ち止まっていた。しばし周りを眺めていると、誰かに肩を叩かれた。みゆかな?振り返ると見知らぬ男性が3人ほど立っていた。誰?


「君、今一人かい?良かったら俺達と一緒にパーティー組まない?」

「見た感じ初心者の闘士みたいだな。オレ達が手取り足取り教えてやるぜ」

「キャラメイクすっごいね。時間かけたの、それともリアル?」

「・・・?」


話しかけて来た男達は上から順に青髮に軽装備の長剣使い、金髪に魔法使いみたいなローブと杖、赤髪に私と同じ闘士風の服装と籠手を装備していた。一瞬戸惑ったよ。最近学校や道端で男性に気軽に話しかけられる事がほぼ無くなった。ほとんどが私に話しかける前に配下の不良達が阻むからね。新鮮だったから何話しているか聞こえなかった。


「・・・何?」


またやってしまった。もういいやこのままで。みゆが色々と考えてくれたのにゲームが本物みたいでついコミ症が出てしまう。


「おいおい、そう警戒するなって。俺達が親切に教えてやるって言ってるんだよ」

「オレ達ベータテスターだからこの辺りを色々と知っているんだぜ。いい狩場を教えてやっから」

「君にとって悪い話じゃないよ。むしろお得だよ」


言いたい事はだいたい分かった。でも行く理由にならないし、みゆが待っているはずだ。ここは断っておこう。


「・・・妹、待ってる」

「それじゃ妹ちゃんも一緒にパーティー組もうよ」

「妹も初心者だろ?一緒に可愛がってやるからよ」

「・・・あ”?」


今なって言った?可愛がる?みゆに手を出そうとした?いい度胸だね。ちょっと脅かすために殺気を出して見たら、3人とも怖気ついて一歩後ろに下がった。もう一押しかな?


「・・・失せろ、腰抜け」

「なっ!?」

「腰抜け?下手に出ていたら言いたい放題言いやがって」

「これは実力行使だね」


いや、言いたい放題言っているのはあんた等なんだけど・・・そう言いたいけど上手く喋れないから意味なし。


『プレイヤー名:青牙からPvPを申し込まれました。受けますか?Yes/No』


何これ?目の前にパネルがあらわれた。三人の方をみると、どうやら青髮が私に決闘を申し込んだみたいだ。面倒くさいな。みゆも待っているだろうし早くコイツ等を片付けようか。


「・・・一人、三人、変わらない」

「貴様、人を舐めるのも大概にしろよ!」

「その顔ボコボコにしてやんよ」

「ライフゼロで負け、所持金とアイテム全て強奪にしちゃえ」

「・・・どうでもいい」


Yesを押した途端、決闘開始のカウントダウンが始まった。


「後悔してももう遅い!初期スタートは金がたくさん貰えるからな、いいカモだぜ」

「この期に新しい装備を新調しようぜ」

「楽しみだね」


何人だろうが誰が来ようが関係ない。


・・・5、


たとえゲームでもいつも通りに馬鹿どもを懲らしめるだけ。


・・・4、


爺様の教え通りに実行するだけ。


・・・3、


装備とか差があっても構わない。


・・・2、


相手は武人じゃない限り、


・・・1、


負ける気がしない。


・・・0!


数字が0になった瞬間、瞬時に走り出し青髮の懐に入った。青髮が驚いて剣を振り下ろそうとしたが、それは悪手だ。私は構えを取り、技の名を小さく囁く。


「天龍家武闘術一の形、竜拳」


隙だらけの腹に拳を一発叩きつけた。すると青髮が後ろに10メートルほど飛んで行った。ここまでが約3秒経った。


「ゴフッ、な、何が!?」


青髮は何が起こったか分からないままヨロヨロと起き上がった。頭の上に表示されているHPを見ると残り1割までに削られていた。ゲームだから手加減しないで殴ったんだけどタフだね。良さそうな装備のおかげかな。アイツ等が強いのは確かみたいだ。


「ひ、【ヒール】!」


金髪が呪文みたいな言葉を唱えた途端に青髮のHPが半分に回復した。回復はずるいよ。何度も回復されたら長引く。あの金髪を優先的に潰そう。金髪の元へ向かおうとしたら赤髪に阻まれた。


「君の相手は僕だよ、【マシンガンブロウ】!」

「天龍家武闘術二の形、壁竜」


赤髪の素早い連打を正確に()()()()()()私の拳を叩きつける。一発ずつ相手の力より強く叩きつける事で拳へのダメージを多くして戦闘不能にさせる。殴り合っていたら赤髪が動きを止めた。案の定、拳が潰れて動かす事ができずに腕を下に下げていた。どんな戦いでも構えを取らなければ終わりだよ。渾身の回し蹴りで頭を蹴ったら、ガラスが割れる感触とともに赤髪の男は砕け散った。HPが終わるとそのような演出があるみたいだね。一瞬キレイだなと思って笑ってしまったよ。


「ば、化け物め!【ファイヤボール】」


む。年頃の女の子に化け物なんて事を言うなんて許すまじ。大きな炎の玉がこちらに向かって飛んでくる。


「 天龍家武闘術三の形、竜巻」


炎の玉に向かって脚を斜め上に蹴り上げた。すると蹴り上げた衝撃で目の前に小さな竜巻が発生して炎をかき消した。口を開いたままの金髪を殴ったらすぐに砕け散ってしまった。あまりHPが少なかったのかな?

残った青髮の方を向いたら、ひぃと小さい悲鳴をあげて尻餅をついていた。その反応も傷つくよ。一歩ずつ近ずくたびに青髮は徐々に激しく怯えながら命乞いをした。出来れば何もせずに放置したいけど、以前にこのやり取りで見逃そうとしたら、懲りずに襲いかかってきたバカがいたからトドメを刺そう。青髮の顔面に強烈な一撃をお見舞いしたら砕け散った。目の前にKOと勝利宣言の文字が浮かんでいた。


『PvPに勝利しました。全ての所持金と所有品を入手しました』

『今の戦闘によってレベルが3に上がりました。ステータスポイントが3ポイントになりました。特定の行動でスキル【拳闘術】、【威圧】、【天龍家武闘術】を習得しました』


おお、レベルが上がった。スキルってなんだっけ?技か何かかな?ステータスを開いて確認してみよう。 最初にポイントを全部STPに入れよう。


プレイヤー名: コクマ

レベル: 3

職業:闘士

HP:400

MP:100

STR:140(+15)

VIT:20

AGI:50

DEX:40

INT:20

MND:50

LUK:10

ステータスポイント: 0

スキル: 【拳闘術LV2】、【威圧LV5】、【天龍家武闘術】


ポイントを全部入れた。でも問題はスキルだ。


【拳闘術】: 闘士専用スキル。レベルが高くなるほど打撃系の攻撃力の威力が上がる。


【威圧】: 任意で相手に威圧をかけて動きを封じる事が出来る。レベルが低いとレジストされやすい。


【天龍家武闘術】: 天龍家で限られた者に伝承される格闘術。使用者は限られていて、過酷な訓練を全て乗り越えた者だけに技を伝授される。技の一つ一つが強力な威力を発揮する。訓練法は伝承者以外は知らないので詳細は不明。実行した技は事前に登録されて、技名を唱えると魔力が消費して動作を意識せずとも発動する。


最初の二つは何となく分かるけど、天龍家武闘術がスキルになるなんて。たしかに説明通りに伝承者は少ないのにここまで情報が知られているなんて。どうやって調べたんだろう?

まあいいや。考えるのは後にして手に入れた物を確認しよう。ステータスの要領でアイテムと念じてみた。するとスクリーンに色んなアイテムが表示された。武器、装備品、アクセサリー、ポーション、素材などなど様々なのアイテムが入っていた。腰抜けどもの物なんて使いたくないね。みゆを探してどうすればいいか聞いてみよう。

そういえばみゆが何か登録したから呼んでねと言ってたような。やり方を聞くのを忘れていたな。どうすればいいか悩んでいる時、また肩を叩かれた。またかと思いながら振り返ると、どこかで見覚えのある女騎士がいた。


「・・・みゆ?」

「そうだよ、お姉ちゃん!」


可愛らしい妹が抱きついてきた。さっきまでのイライラが収まり、癒される気分だよ。


「・・・顔」

「そう、お姉ちゃんが見つけられるように元に戻したの」


ゲームの広告より現実のみゆの顔に変わっていた。あれもカッコ可愛くて良かったけど、やっぱりそのままの顔が一番だね。


「あ、私のプレイヤー名はミューだよ」

「・・・コクマ」

「間をとったんだ。いい名前だね。でも、ちょっと場所を変えようか」

「・・・?」


周りを見ると人盛りが出来ていて見られている。たしかに落ち着かないね。み・・・ミューに手を引かれながらその場を離れた。通ろうとした瞬間に人達が道を開けてくれたのですんなりと通れた。親切な人が多くて楽しく遊べそうだ。


成敗完了!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ