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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

合法ロリはおっきくなりたい!!

作者: 青蛙

とある友人との狂気に満ちあふれた会話の中から何故か生まれてしまった謎作品。

暇だったら読んでみてね。

脳味噌が溶ける。ロリィ。

本当に何がしたかったんだろう?

「ティナ~~、起きなさ~い」


「...............むんっ」


 台所で朝ご飯を作っていた母親が呼んでいる。

 二階の寝室のベッドですやすや寝ていた幼女はむくりと起きあがった。


 ん?幼女?


 ちがうもん、幼女じゃないもん。

 確かに身長は130せんちしかないし、胸もぺたんこだけど子供じゃないの。


 ふわぁ~、とあくびをして伸びをする。


 ふわふわつやつやの綺麗な金髪。

 くりくりした茶色のおめめ。

 ちっちゃな身体にほっぺぷにぷに。


 彼女の名前は『ティナ・ロリィタ』。

 今年でもう18になる、れっきとした成人の女性である。


 ひょい、とベッドから降りる。


――とてとてとてとて........


 彼女はぱたぱたと階段を降りて洗面所に向かった。


「う~~~~~あ~~~~~」


 蛇口をひねって水を出す。

 コップに入れてがらがら、うがい。

 ぱしゃぱしゃ顔を洗って柔らかいタオルでふきふきする。


「ん、すっきり」


 後は寝癖を直すだけ。

 櫛で丁寧にとかしてサイドテールをつくる。

 


「ごはんできたわよ~~!」


 母親が呼んでいる。


「ん!今行く!」


 とてとてとてとて...........。


 誰がどう見ても幼女な彼女は食卓に向かう。

 今日の朝ご飯はトーストに焼いたベーコンと目玉焼き、ほうれん草のバター炒め。


「いただきまぁす」


 食材とそれを作ってくれた人への感謝を込めて手を合わせる。

 この国の昔からの風習だ。


 国の名前は『ジッパング』。

 大陸の東の端のさらに先に位置する島国。

 独特の文化が発達したこの国は、世界有数の平和な国だ。

 そして娯楽がめちゃ多い。

 さらにご飯もとっても美味しい。


――もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ


 ちっちゃなほっぺを膨らませてもぐもぐ食べるティナ。

 どう見てもロリィ..........。


「ティナ、そういえば今日はお寺に行く日だったわよね」


「ん、ステータスの祝福を貰うの」


 今年で18歳、つまり成人になる彼女は『お寺』に行って『ステータス』の祝福を受けられる。


 『ステータス』っていうのはその個人の能力を数字で表した物。

 この祝福を受けると、今までよりずっとその個人の能力が上がりやすくなったり、全体的な能力が上がったりする。

 まあ、簡単に言えばパワーアップできるのだ。


「それにしても.........全然成長しなかったわねぇ.....」


「そんなことない!む、胸とかちょっと膨らんだし...........」


 嘘である。

 もうツルツルの貧乳どころか絶壁。

 かろうじて柔らかいものを感じるような感じないような。

 彼女はもう11歳の頃から全く成長していないのだ。

 ご近所の人達は皆知ってるけど、知らない人から見ればもう只の幼女にしか見えない..........。


「ちゃんと祝福して貰えるのかしら~~」


「大丈夫、だもん」


 ぷくぅーーーっ、と膨れてみせるティナ。

 ロリコン歓喜の瞬間である。

 写真に撮って収めたい。


 しかし何故ここまで成長しなかったのだろうか。

 彼女の母親『マリア・ロリィタ』はむしろかなりのボンキュッボンである。

 グラマーな美女なのだ。

 マザコン歓喜。

 しかも元冒険者の彼女は滅茶苦茶強い。

 今まで幾度となくナンパ男を血祭りに上げてきたことか。


 ちなみに父親は冒険者の中でも最も強いSSランク冒険者である。

 しかも彼は勇者の魔王討伐パーティの一員だった男だ。

 つまり滅茶苦茶強い。


 しかし.........何故親子でこんなにスタイルに差が.........。

 

 くそっ!なんであんなおっぱいたゆんたゆんなんだよ!ズルいぞちくしょう!


 ドンッ!とテーブルに拳を打ち付けるティナ。


「あら~?ティナちゃんどうしたのかしら~?」


「ん、おっぱいたゆんたゆんはギルティなんて思ってない」


「あらあら~?」


 心が叫びたがっているのだ。


 (同情するなら胸をくれ!)


 テーブルをぺちぺち叩く幼女(仮)。

 母親は微笑ましい様子でそれを眺めている。


「もぐもぐもぐ.........ごっくん。ふぅ、ごちそうさま」


「うふふ、おそまつさまでした」


 ちっちゃなおててをあわせてごちそうさまの挨拶をするティナ。

 とてもロリロリしている。 

 

 食器を片づけるとお着替えしてお寺に行く準備をする。


「じゃ、行く」


「はいはい、気を付けて行ってくるのよ」


「ん!」


 ビシィッ!と手を挙げて行ってきますアピールをするティナに行ってらっしゃいをするマリア。

 ティナは元気よく返事をすると家を出た。





 町を歩いてお寺へと向かう。

 お寺があるのはこの町の西に行った方だ。


 お寺の名前は『勇山寺』。

 初代勇者発祥の地とも言われ、強くなりたい冒険者等がよくお参りに来るお寺だ。

 そして、もう一つ有名なのがこのお寺のお坊さん達。

 何を隠そうこのお寺の坊さん達は超強い。

 全員が達人クラスまで鍛えられた猛者であるのだ。

 そういった点でも参拝者に強くなりたい男達がわらわらやってくる。


 そんな脳筋なお寺に向かっている見た目幼女のティナ。


「おっ、ティナちゃん朝早いねぇ。お寺に行ってくるのかい?」


「ん、お寺」


「そうかいそうかい、良いステータスが貰えると良いねぇ」


「おお、そうかぁ、もうティナちゃんも大人になるんだな」


「見た目は全然変わってないけどなぁ。ハハハ」


 ご近所のおじさんやおばさんがティナに話しかけてくる。

 ちみっこのティナはご近所さん達にも可愛がられているのだ。


「あ!ティナ!お前もこれからお寺まで行くところなのか?一緒に行こう!」


 と、ここでティナを見つけて満面の笑みで駆け寄ってきたのは幼なじみの男の子『カイト・ユージア』だ。

 彼も今年で成人になり、お寺にステータスを貰いに行く所だったのだ。


「ん、良いよ」


 ぐっ、と真顔のままサムズアップしてみせるティナ。


「おう、んじゃ行こうぜ!(よっしゃああああ!!! ティナと一緒だああああ!!!)」


 内心歓喜するカイト少年。

 彼は小さい頃からティナの事が好きでたまらないのだ。

 周りの人達も、彼がティナの事を好きなのには気付いているが、ティナが鈍すぎるせいで全く進展できていない。

 可哀想な子なのだ。


 しかし、ティナを好きになるとはロリコンの気があるのだろうか.............?






 しばらくして二人はやっと『勇山寺』までやってきた。

 このお寺、ちょっとした山の上にあるのでお寺に着くまでも長い階段を上っていくのでとても疲れる。

 カイトは割と平気な様だが、ちみっこのティナは疲れてへとへとになってしまった。


「ティナ、大丈夫?」


「だい、じょぶ......」


 心配そうに声をかけるカイト。

 ティナは大丈夫だと言うが、ふらふらしていて歩きが覚束ない。


「はは.......ティナは変わらないね」


 カイトは少し苦笑いすると、ひょいっとティナをお姫様だっこした。


「おっ!?」


 思わず変な声が出てしまうティナ。


「疲れてるんだから。その、俺も男だし、幼なじみだろ? だから、少しは頼れよ........」


「おーー?」


 少し顔を赤くして腕の中のティナに言葉を掛けるカイト。

 ティナは「あのカイトも大人になったんだなぁ」と目を細めて感慨深げにその顔を眺める。


「ちょっ、何だよその顔は!」


「カイト、大人になった。いい子、いい子」


「大人にいい子いい子はしないよ!?」


 彼の頭に手を伸ばしていい子いい子し始めるティナにカイトは顔を真っ赤にして反論する。

 今日も鈍感なティナと、それに振り回されるカイトだった。






「おお、よく来ましたね。お二人共ステータスの儀式ですね?」


 本堂に来ると、お寺の偉いお坊さんが出て来て中に二人を入れてくれた。

 ツルツル頭に筋骨隆々だが、顔はとても穏やかな優しそうなお坊さんだ。

 二人の事も前から知っているので、すぐに『成人のステータスの儀式』を受けに来たのだと理解していたようだ。


「ん、よろしくおねがいします」


「宜しくお願いします」


「ええ、此方こそ宜しくお願いしますね」


 ぺこり、とお辞儀をする二人ににこやかな笑顔を向けて応えるお坊さん。

 二人はお坊さんに連れられて、本道の中にある神様の像の前まで来た。

 おでこにまん丸の巻き毛があるふくよかな男の神様だ。


「それでは、二人ともここに正座して神に祈りを捧げて下さい」


 畳の上には、二人用の座布団が敷かれて、その上に二人は正座して座る。

 そして、二人は言われたとおりに神に祈りを捧げ始めた。

 すると、優しい色をした光が射し込んできて、二人の身体を包み込む。


「ふむ、ちゃんとステータスを貰えたようですね。それでは確認の為に此方に手を」


 お坊さんが取り出したのは鏡だ。

 『鑑定水晶』と同じ能力を持つこの鏡は『心眼の鏡』と呼ばれている。


 まず最初にカイトがそれに手を伸ばした。

 すると、


「こっ、これはっ!??」



カイト・ユージア 人間 男 18歳

職業:勇者

Lv.1

HP180/180

MP90/90

力  120

守り 100

速さ 110

魔力 120

技能:剣術Lv.1 光魔法Lv.1 格闘術Lv.1

称号:光の勇者



「「勇者ああああ!??」」


「ゆーしゃ?」


 同時に驚いて声が裏返るお坊さんとカイト。

 ティナは凄い凄いとぺちぺち手を叩く。


「ちょっ、凄いじゃないよ!ティナは何も思わないの?!!会えなくなるかもしれないんだよ?!」


「ん?ゆうしゃでしょ?どうして駄目なの?」


「だって、そりゃあ――」


 そうして、カイトは勇者について話し始める。

 勇者とは世界に魔王が現れたときに同時に現れる者。

 世界に数人現れ、そうして勇者になった者は、半強制的にその国の王都まで連れて行かれて魔王討伐に向かわされる。

 生きて帰れるかわからない危険な旅だ。

 そして魔王を倒した後の勇者がどうなるかといえば、男の勇者なら大抵その国のお姫様と結婚させられることになる。

 勇者の子供には優秀な者が産まれやすいからだ。


 つまり、


「だから、もう会えなくなるかもしれないんだぞ?ティナは、何とも思わないのかよ.........」


「ん、カイトはお姫様と結婚して偉くなる。凄い」


「ううう.........」


 カイトの言いたいことを理解していないティナに頭を抱えるカイト。

 それを見ていたお坊さんも「あちゃー」とでも言うように顔を手で押さえている。


「?カイトが落ち込むこと無い。むしろ喜ぶべき」


「なんで、俺ってこんなに運が.........」


 可哀想なカイト少年は頭を抱えたままうずくまってしまう。


「じゃあ、次は私の、番」


 そんなカイトは置いといて、ぴとっと小さい手を鏡の縁に当てるティナ。

 そこに現れたのは、普通のステータスでは無かった。



ティナ・ロリィタ 人間 女 18歳

職業:世界最強

Lv.しゅごい

HP なくならない

MP むげん

力  まぢやば

守り ぷにぷに

速さ びゅんびゅん

魔力 ちょうぜつ

技能:なんでもできるよ

称号:合法ロリ



「「...........は?」」


「おっ?」


 思わずシンクロしてしまったお坊さんとカイト。

 ティナも本日二回目の「おっ?」が出る。


 何だこの意味不明なステータスは。

 数字が殆ど無いっていうか、この『世界最強』ってなんだ!??

 わけわかんないぞ!??

 

「えっと.........」


「お坊さん?」


「何なんです?これ?」


 初めて見た意味不明なステータスに唖然としてしまうお坊さん。

 カイトが話しかけても、口をぱくぱくさせて固まってしまっている。


「えっ、何コレ?ティナ?」


「..............」


 先に気を取り戻したカイトがティナに話しかけるが、ティナは耳の先まで赤くして、俯いたままプルプルと震えている。


「ティ、ティナ?だいじょ――」

「み゛ゃあ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁッッ!!」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!??」


「なんでぇ!?なんでステータスまでそんなこというのさぁ!!

 『合法ロリ』ってなんなんさ!?ロリ認定するなよぉ!!それになんか違法薬物みたいな言い方でやだぁ!!」


 床に四つん這いになって崩れ落ち、そのまま床に拳を何度も打ち付けて喚くティナ。

 メキメキと音を立てて床がへこみ、お寺の本堂が揺れる。


「ちょっ!?ティナ!落ち着いて!やばいって!」


「まだ!まだ、ステータスがひらがなだけってなら許せたよぉ?でもっ!なんなのさっ!『合法ロリ』って!私はロリなんかじゃなぁーーーいっ!!」


「だ、大丈夫だって!ティナは可愛いからっ!」


「可愛いって言うなぁ!!!」


 半泣きである。

 ティナは自分の幼女体型をとても気にしているのだ。

 同年代の女友達が皆大人っぽく成長していくのが羨ましくて仕方がなかったのに。

 ここに来てこの仕打ちかっ!!と彼女は気持ちが抑えきれなくなってしまったのだ。


「希望が.........まだ成長するって希望が........」


「ティ、ティナぁぁ.........」


 そのまま力を失って崩れ落ちたティナをひしっ、と抱きしめるカイト。

 小さな妹を抱きしめて慰める兄の図である。


「ティ、ティナちゃん。何はともあれ、中々凄いステータスだったと思いますよ?」


 実際ティナの貰ったステータスは半端じゃなく強い。

 先程までティナが叩いていた床はもうボロボロである。


「うっ、床.........ごめんなさい.........」


「えっ、ああ、大丈夫ですよ。これぐらいすぐに直せますから気にしないで下さい」


「ううぅ........」


 ティナはしょぼんと落ち込んでしまう。

 感情に身を任せてやりすぎてしまった.........。


「うーん。そうですねぇ...........。あっ、そういえば、こんな話を昔聞きましたよ」


「話...........?」


「ええ。魔王が現れると同時に現れる魔王城の何処かに、スタイルと容姿をその使用者の理想にする薬があったはずです」


 ティナの目に希望の光が宿る!


「ま、まおーじょー...........。ハッ!?カイト!」


「取ってこいって言うんだよね?!わかってるよ、もう!」


 カイトは勇者になったらしい。

 それならカイトにその薬を取ってきて貰えば万事解決だ。

 だが、


「ん、やっぱりカイトだと抜けてるとこあるからアテにならないかも」


「酷いこと言うね!??一応勇者になったんだよ?!僕!!」


「やめほぉぉーーー」


 ティナのほっぺをつまんでむにぃっとのばすカイト。

 おこだよ!としつつもちゃっかりティナを愛でているあたり男の子なのである。

 いや、大きなお友達の方が近いだろうか..........?

 『YESロリータNOタッチ!』の教えは何処に行った、カイトよ。


「ま、まあティナのためなら取ってきても――」

「よし!私魔王城に行く!」

「ふぁっっ!??」


「えっ!?やっ、それはちょっと考え直した方が」


「いいもん!私強くなる!強くなっておっきくなる薬を取りに行く!」


 あわてて止めようとするお坊さんの制止も聞かずにお寺を飛び出すティナ。

 それを見たカイトも慌てて彼女を追いかけるが、


「ちょっ、はっや!速っっ!!」


 ステータスを得たティナは目にも止まらぬスピードで参道の階段を降りていくのだった。












「おかーさーーーん!!」


 バンッ!と家の扉を開いて駆け込むティナ。

 どうしたのかと母親のマリアがでてくる。


「あらあら、どうしたの?ティナ?」


「おかーさん!私を強くして欲しいの!旅に出たいの!」


「旅に出たいなんて突然どうしたのかしら?そんなに強いステータスが貰えたの?」


「よくわかんないけど、全部ひらがなだった!!」


「へっ!??」


 ポカン、とした顔になるマリア。


「ちょっと何言ってるかお母さんわかんないわぁ?」


「ん、気にしない気にしない」


「気にしないって..........職業はちゃんとでたの?」


「ん、世界最強って出てた」


「あら~?お母さんが鍛える意味あるのかしら~?」


 顔に手を当てて首を傾げるマリア。

 顔は笑っているけど内心混乱しまくりである。

 と、そこへ、


――バンッ!


「はぁはぁ.........ティナッ!!」


「あ、ゆーしゃだ」


「勇者!??」


 駆け込んできたカイトに「おつかれさん」と背中をぽんぽん叩くティナ。

 ティナの「ゆーしゃ」の一言にマリアは笑顔のまま硬直している。


「ティナ?えっと、ゆーしゃって言うのは...........?」


「ん?ゆーしゃはゆーしゃだよ?」


「あっ、『勇者』の職業を貰ったんですよ。俺みたいのが勇者なんて意味わかんないですよね」


「は、はぁ」


「とにかく、強くなりたいから鍛えて欲しいの」


「まあ.........ええ、良いでしょう。家の裏まで行きましょうか」


 そして家の裏手にある広場にやってくる三人。

 

 マリアはティナに木刀を渡すと、


「じゃあ、どれぐらい戦えるか見るから。これでお母さんに打ち込んできて頂戴」


「ん、おー」


 くにぃぃっ、と伸びるように手を挙げて了解するティナ。

 カイトは心配そうに少し離れたところからそわそわして見ている。


「おかーさん、じゃあいくよ?えいっ!」


 途端に「ボッ」という音が鳴り、(ティナ)の姿がかき消える。


「えっ!!えっ!!?」


 まさか自分の目でさえ追えない速度で動くとは予想できずに狼狽えるマリア。


「ちぇっく、めいと」


「あらあら........」


 後ろから首筋に木刀が突きつけられる。

 マリアの完全敗北だった。


「おかーさん、私、つよくなれる?」


「もう充分強いわ、ティナ」


 マリアは「色々ぶっとんでたけど、これなら旅に出ても安心だろう」と思い、ティナのことを抱き締めて撫でる。

 カイトは何故か感極まって号泣している。


 今夜はカイト一家も交えてご馳走だった。

 お赤飯もりもりだった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「えっ、着いてくるの?」


「うん。よく考えたらまおーじょーのばしょ、しらなかった。カイトについていけば、だいじょぶ」


「ガイドがわりですか........」


 嬉しいやら悲しいやらでがくっと肩を落とすカイト。

 結局ティナは『おっきくなるお薬』を手に入れるためにカイトについて行くことにしたのだ。


 そんな訳で二人は今王都までの道を騎士達に守られながら歩いている。

 ティナがついて来れたのは、カイトの推薦もあったが、ティナが無手にて騎士達を全員ノしてしまったからだ。

 その後お母さんが慌てて治療しに来たけど。


「ないすばでぃが、私を、待っている!!」


「さいですか........」


 勇者と幼女の冒険はここから始まったのだ!



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 王都近くのとある森にて。


「ブヒィ、ヨウジョ、ハラマセ、コポォォ、ブピッ」


「寄るな、ロリコン。寄らば、斬る!」


 オークに対峙するロリ。

 ハァハァよだれを垂らして発情しているオークにロリは恐怖からか、ぷるぷると震えている。


「ブピィィィィ!ヒメキシ!オンナセンシ!ムラムスメ!ヨウジョ!オンナエルフ!プゴッ!プギィィィ!!」


「いやあぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「ハラマセ!セッ○ス!セッ○ス!セッ○スゥゥ!」


「いぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


――ボッ!


 幼女の姿がかき消える。


――ボッ!ズガン!


 一瞬にしてオークの真後ろに現れた幼女が蹴りを入れると、オークの腕がパァン!と音を立てて弾け飛ぶ。


――ボボボボボッ!ズドン!


 連続で宙を蹴って飛び回り、オークを粉々にしていく幼女。

 オークの気持ち悪さに半分涙目である。


「オークいやぁぁぁぁぁぁぁ!!」


――ボゴン!!!


 パァァァン!と風船が割れるような音を立てて完全に弾け飛んでミンチになるオーク。

 結局斬るんじゃなくて無手で撲殺してしまった........。

 そして、少し離れた所にしゅたっ!と幼女が飛び降りた。


「カイト.......オーク、怖いぃい.......気持ち悪いぃ」


「いや、もうティナが自分で倒しちゃったんですが........」


 ティナに抱きつかれながらも白い目になっている勇者カイト。


「なぁ、これ本当に俺たち必要なのか?」


 首を傾げる筋骨隆々の男戦士。


「魔法とか........使ってなかったわよね?今の.......」


 苦笑いする女魔法使い。


「というか.......カイトさんより強い気が.........」


 遠い目をする聖女のお姫様。


「俺の存在意義ってなんだろ.........」


「ううぅ、早くおくすり取ってきて帰るぅぅぅぅ」


 理想の『ぼん!きゅっ!ぼん!』になるにはここで諦めるわけにはいかないのだ!

 ティナはカイトにしがみつきながらも、ぐっ!と手を握り締めて「なんとか魔王城までガイド(カイト)についていけるように頑張ろう!」と意気込む。

 気持ち悪いモンスター達に終始涙目だけど。


 そんな訳で、勇者パーティとおっきくなりたい幼女(仮)の旅はまだまだ始まったばかりだ。


読んで下さりありがとうございます。


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[一言] 面白かったです! ロリはロリのままがいいなぁ。
[一言] 自分としては、面白いと思う。 連載版にしてほしい!
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