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異世界保健所  作者: hybrid
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番外編 異世界保健所のソームな人達三千里2

異世界保健所総務課、その執務室にて。


「ふぃー、お疲れさんでーす。馬返してきましたー」


「おーお疲れー、初の衛生課と一緒のドライブはどうだったよ?」


「いやー特に実害は無かったですけど、もう同行はしたくないですねー」


「えー何でよ?衛生課の連中、そんな嫌な奴いないでしょ?」


「嫌な奴はいないですけど、その代わり同行を控えたい奴が多数いましたよ、今回のドライブは」


「そうは言ってもさー、馬車の上でだけの話っしょ?しかも馬車の上は衛生課職員の"割の"まともな方の人達だし」


「まともって、正気ですか、先輩?少なくともまともじゃあなかったですよ?」


「いや、お前は保健所新人だからそう思うかもだけど、食品担当は割とまともなんだって!」


「どこがまともなんですか?こっちは道中、言いたくもない食生活のことまで聞かれたんですから!生肉は好きかーとか、魚はキッチリさばいてるかーとか」


「それが衛生課食品担当のサガなんだって〜。俺なんて衛生課の連中にもっとエグいこと聞かれてるぜ?」


「衛生課に、ですか?エグいこと聞くのは感染症課の十八番だと思ってましたけど」


「衛生課もそう変わらないんだよなぁ…。彼女の調理スタイルを把握してるかとか、親はボケてないか、とかまで聞かれたし。俺彼女なんていないのに」


「へ〜、先輩って彼女いないんですか〜」


「そ、それはどうでもいいだろ?とにかく、感染症課に限らず、衛生課とかの保健所各課は割とエグいことを聞いてくるんだよ。それがわかって勉強になったろ?」


「それはそうですけど。何で衛生課って御者を自前で用意しないんですかね?私、今朝急に"衛生課の職員を飲食店に連れてってやれ"って言われてパニクりましたよ、馬車の扱いは慣れてるので良かったですけど」


「御者を用意したところでコンスタントに馬車を使うことがないからだろ?ほら、食中毒は突発的に起こるものだし」


「食中毒が起きない限り使うことがない馬車の人員に予算は割けないってことですか?衛生課ってケチなんですね」


「衛生課は予算が少ないんだし、しょうがないっしょ。少ない予算で色々とやりくりしてるみたいだし」


「あ、それ知ってます。念写師一人雇えないからって、怪しげな呪具をたくさん備蓄してるって噂ですよ」


「ま、噂じゃないけどね。衛生課の備品庫見たらお前多分チビると思うぜ、呪具ばっかりだし」


「それセクハラですよー。てゆーか先輩、衛生課の備品庫に入ったことあるんですか?」


「年末の大掃除の時に手伝いでな。とにかく呪具のオンパレードだった」


「どんなのがあったんですか?」


「黒い箱が棚に大量に積んであったな。"これ何すか?"って聞いたら、"念写師の代わり"って言われたよ。それで気になって箱の中覗いたらさ、とんでもないものが入ってた」


「え、とんでもないものって何ですか?」


「目玉だよ目玉。俺のことを見つめてて、スゲー気味悪かった」


「先輩、それ大丈夫ですか?呪われたんじゃないですか?」


「俺もそう思って衛生課の奴に言ったんだよ、"この呪具に呪われた"って。そしたらそいつに、"そんなので呪われたら衛生課は労災だらけよ"って言われちゃったよ」


「割とキツイ言い方ですね…。あ、何となくその衛生課の人が誰かわかっちゃいました、猫耳のあの人ですよね?」


「お、よく分かったな。ネイザーさん、結構可愛いのに性格で損してるよな」


「えー、可愛いですか?先輩の好みを疑っちゃうなー」


「可愛いっしょ、ネイザーさん。あの見た目で学院卒なのもギャップがあって惹かれるよ」


「ギャップですか…。!

そういえば私、ネイザーさんのさらなるギャップを知ってますよ」


「え、何々?」


「同期の子から聞いたんですけど、ネイザーさんは馬車に乗るとき、大体は御者の隣に陣取るらしいんです」


「それだけなら普通だな」


「それで御者に振る話題が普通じゃないんですよ!馬のお尻について熱く語るらしいんです」


「馬の尻?」


「そう!やれこの子は経産婦だとか、やれこの子のでんきん?は美味しそう、だとか楽しそうに語るらしいんですよ、ドン引きじゃないですか?」


「うーん、ま、確かに」


「しかも、飲みの席で、何がとは言いませんが"馬並みじゃないとダメ"って言い切ったそうですよ!酒乱ですよ酒乱!先輩はそんな人が好みなんですか!?」


「少なくとも俺は馬並みじゃないな…。ネイザーさん、そんなに馬好きだったとはショックだ」


「でしょ!?それじゃネイザーさんは諦めて、別の人行きましょうよ!ところで私、明日有給取ってるんですけど…」


………

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