#007「四つ葉」
#007「四つ葉」
@クローバーズマート、店舗
――食料品と消耗品の購入に立ち寄った店は、何とフィッシャーの三人の姉が経営する店だった。コンビニのような店だが二十四時間営業ではなく、年中無休でもないらしい。店舗の裏手にはガラス工房が併設されていて、一階に焼き窯、二階にアトリエを兼ねたギャラリーがあるのだという。
アマンダ「アドルフは元気にしてる? 元気がありすぎて迷惑を掛けてなきゃ良いんだけど」
シュエット「風邪ひとつ引いてませんよ、アミー。健康そのものです」
――今、シュエットと話してるのは二女のアマンダ。愛称はアミー。絵心があり、水彩画を描くそうな。長女曰く、発想力の塊でアイデアに優れるが、少し夢見がちすぎるらしい。他の二人より、どちらかといえばフィッシャーによく似ている。三姉妹は三つ子で、二つの卵に三つの子種が入ったのだと説明された。チョウザメなのか? あっ、そうそう。アドルフというのは、フィッシャーのファーストネーム。
アレクサンドラ「ショージ、ポップは書けたかしら?」
東海林「はい。こんな感じでよろしいでしょうか?」
東海林、描き終えたポップをアレクサンドラに渡す。
アレクサンドラ「充分よ。ごめんなさいね、急にお願いしちゃって。本当、アマンダは遠慮が無いんだから」
東海林「いえ。お役に立てて光栄です、アリー」
――彼女が、長女のアレクサンドラ。愛称はアリー。マイスターとしての資格を持つガラス職人で、基本的にはシッカリ者だが、たまにミスをすることもあるのだとか。見た目が三女と似ているので、初めは双子だと勘違いしてしまった。
アマンダ「ポップ作りのお礼に、この缶詰をオマケしよう」
アンジェリカ「ちょっと、アミー。お会計が済んでから商品を足さないでって、いつも言ってるじゃない。あとで在庫数が合わなくなるんだから」
アマンダ「これくらい融通利かせてよ、アンジー」
アンジェリカ「駄目駄目。経理を預かる身として、いい加減なことは見逃せません」
――今、アマンダと言い争ってるのは三女のアンジェリカ。愛称はアンジー。三姉妹の中では、一番頭の回転が速い。ただ、よく風邪を引いたり熱を出したりするそうな。ここまででお分かりのように、四人の名前は全てエーで始まる。
東海林「クローバーズマートだけに、紙袋には四つ葉が描かれてるんですね。緑が三枚と赤が一枚」
アレクサンドラ「そう。本当はアドルフにも店を手伝って欲しいんだけど、あの子にはあの子の夢があるから」
――あぁ、やっぱり、そういう意味合いが込められてたか。駄目だったときの保険で、いつでも受け入れ準備万端という訳だ。帰る場所が保障されているから、果敢に冒険できるんだろうな。
シュエット「こちらの紙袋をお願いできますか?」
シュエット、紙袋を東海林に渡す。
東海林「アッ、はい」
東海林、慌てて紙袋を受け取る。
――感傷に浸ってる場合じゃない。買い物に来たんだった。取っ手がないから、しっかり持たないと。