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#004「お財布」

@シュエットの家、ダイニング

――まさか、ここへ来てジャポニカ米にありつけるとは思わなかった。そして食卓に並ぶ海老、アボカドなど色鮮やかな料理の数々。造り付けのキッチンは、さながらシュエット専用のコックピットだ。見る見るうちに苺はソースになり、オレンジはジュースになり、葡萄はシャーベットになった。

ビクトリア「カーッ! シュエットの料理は、ワインが進むね」

シュエット「お褒めいただき光栄ですが、その態度はいささかハシタナイですよ、ビッキー。せっかくの美人が台無しです」

――ビッキー、バツの悪い顔をしてる。イケメンのシュエットが言われたんじゃ、返す言葉がないよな。

フィッシャー「でも、煙草を吸うシュエットだって、残念な姿だと思うぜ?」

東海林「アレ? スモーカーなんですか、シュエットは」

ビクトリア「あぁ、そうだよ。人前では吸わないけど、一歩部屋に入ると紫の煙で渦巻いてるんだ。あれは、いただけない」

――フィッシャーのフォローで、形勢逆転かな。

シュエット「そういうフィッシャーは、甘い物を食べすぎではありませんか。またアイスを買ってきましたよね? 糖尿病になりたいんですか?」

――オヤ。フィッシャーは甘党だったのか。動力源はグルコースなんだな。

フィッシャー「あれは、明日のお楽しみだから。食べちゃ駄目だからな!」

ビクトリア「誰も食べないって。よくもバケツサイズを一人で完食出来るものだよ」

東海林「バケツサイズ?」

シュエット「おおよそ五リットルの糖液が入る蓋付きバケツ型の容器で売られてるアイスがあるんです。冷凍スペースを圧迫されるので、あまり買い置きして欲しくないんですけどね」

フィッシャー「だったら、新しい冷蔵庫にしよう。今の冷蔵庫、ずいぶん古いぜ? ショージが住み始めたわけだから、食材だって増えるじゃないか」

ビクトリア「良い機会だな。どうだい、大蔵大臣?」

シュエット「僕としては、まだ使えるのに新しく買い換えるのは、不経済だと思います」

――財布の紐は堅実なんだな。それとも、ビッキーとフィッシャーが適当すぎるのか?

  *

@シュエットの家、東海林の部屋

――三人について、忘れないうちに簡単にメモしておこう。

シュエット。元モデルの作家。寡黙で物知り、かつ堅実な常識人。愛煙家。梟亜人で、両腕を翼にできる。空を自由に飛べる。

ビッキー。元アイドル歌手のヘビーメタルドラマー。竹を割ったような性格。酒豪。狼亜人で、月夜には首から上が狼になる。昼間は運送屋。怪力。

フィッシャー。オーケストラ入りを目指すバイオリン青年。大雑把な性格。甘党。鮫亜人で、水に濡れると下半身が鮫になる。昼間は海の監視員。人懐っこい。

――今日一日で、三年分くらいの気力を使い果たした気がする。滞在日数は未定だが、身体が保つか心配になってきた。


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