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ブレイブリバース!~会社員3年目なゲーマー勇者、器用貧乏系な吟遊詩人。男2人で気ままに世界を救う旅。  作者: 鳴海なのか
トヴェッテ王国

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第69話「フルーディアの街の、冒険者ギルド(1)」


 引き続き俺達は、フルーユ湖へとゆっくり箱馬車で向かっている。


 御者席ではジェラルドが馬車の手綱を握り、その横にはイザベルが座る。

 そして箱馬車の中では。



「うわぁ、すっごーい……」


 すっかり目を覚ましたナディが窓にしがみつき、外の景色に心を奪われていた。




 窓の外に広がるのは、地平線の向こうまで広がる美しい緑の草原。

 空はというと青く晴れ渡っており、今のところ雨が降りそうな気配はない。


 生まれてからずっと、白い建物が所狭しと立ち並ぶトヴェッテ王都の塀の内側で暮らしてきたナディにとって、これはきっと初めて見る夢のような光景なのだろう。




 俺もテオもネレディも、そんな様子を微笑ましそうに見守っていると、ナディが何かに気が付いた。


「ん?? お母さま、あれなあに?」


 大人3人は座ったまま、ナディが指さすほうに目をやる。


「あれあれ! あのいちばん大きな雲みたいなの!」



 ナディが見つけたのは、地上から空高い所まで、どんよりとした灰色の特大雲のような物体で覆われたエリア。

 遠くのほうに見えるそれは、緑の草原や青い空とは明らかに異質で、異様な空気を放っている。


 その光景には見覚えがあった。

 ゲームと同じならば、あれこそが今回の目的地であり、そして()()()()()()()()()()場所でもある。




「……ああ。ナディ、あれがフルーユ湖よ」


 ネレディが優しく答える。


「あ、これからいくとこだっ! ねぇお母さま、フルーユ湖ってどんなとこなの?」

「それは……」


 キラキラと期待を込めた瞳でたずねるナディ。

 一瞬言葉に詰まったネレディは俺達と顔を見合わせるが、すぐに笑顔に戻り言う。



「……それは、着いてから教えてあげるわね」

「はぁい! たのしみだなぁ~」


 ナディは明るく返事をすると、またニコニコと窓の外を眺め始めた。




 先程と違い、その後ろ姿を複雑な顔で見つめる大人3人であった。





**************************************





 数十分後。


 俺達を乗せた箱馬車が止まった。

 窓がコツコツと小さく叩かれ、すぐ横に座るネレディが窓を開けると、ジェラルドがうやうやしく報告をする。


「失礼いたします。ネレディ様、フルーディアの街の正門前に到着いたしました」

「ありがとう。じゃあ皆、降りましょう!」



 ジェラルドが開けた馬車の扉から、真っ先に飛び出したのはナディ。

 そして嬉しそうに、わぁっと歓声を上げながら、緑色の草の絨毯の上をぐるぐると駆け回っている。



「まったくもう……ナディ、こっちにいらっしゃい!」

「はぁーいっ!」


 続いて降りたネレディが呼びかけると、ナディは元気に返事をし、ネレディの足元へと抱き着いた。



 その後はテオ、俺の順に馬車を降りる。


 俺達の前にそびえるのは、乳白色の塀で囲まれた街と、アーチ型の門。

 優雅なデザインの彫刻が施されているあたり、トヴェッテ王国首都の塀や門と似ているが、首都のそれよりは塀も低く、全体的にコンパクトな印象だ。



「ではネレディ様。事前の打ち合わせ通り、私は馬車用の門へと向かい、後ほど合流する形でよろしいでしょうか?」

「ええ」


 一礼するジェラルド。


「それじゃあ、まずは街に入りましょう。イザベル、案内よろしくね」

「かしこまりました。それでは皆様、こちらへどうぞ」




 イザベルの先導で、一行はフルーディアの街の正門へと向かうのだった。


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