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第46話「魔力が変われば、環境も変わる」


 宴会の翌朝、名残惜しそうな顔をした村人達に見送られながら、俺とテオはレーボリッヒ村を発った。

 しばらくは大きな事件も無く、街道沿いを順調に徒歩で進んでいく。




 そして、村を出てから11日目の朝。



――ザアアアア……



「……雨だな」

「うん、雨だね……」



 旅人の野営地に設営したテントで目覚めた俺達2人。

 出発準備を終えテントから出ようとしたところ、目に飛び込んできたのは、降りしきる雨だった。


 エイバス滞在中はずっと晴れの日が続いていたため、俺にとっては、この世界(リバース)にやってきてから初めての雨。

 そういえばゲーム内でも、トヴェッテ辺りではよく雨が降っていたなと思い出す。


 空からまっすぐ落ちてくる雨は大粒で、途切れそうな気配が一切無い。

 地面が砂利っぽいおかげか、ぬかるみそうにないのは幸いかもな。



 俺が無言で入口を閉めた途端、テントに施された【防音加工LV5★】の効果で、スッと静けさが訪れた。



「……どうする?」

「ん~……」


 腕組みをし考えを巡らせるテオ。

 ややあって、1つの結論を出した。


「……なぁタクト。急ぐ旅でもないんだし、雨が落ち着くまでしばらく待つことにしない?」

「別に待つのはいいんだけど……この雨、いつ止むんだろ?」

「たぶん割とすぐ止むんじゃないかな」

「え?」

「そろそろトヴェッテ王国が近いじゃん? トヴェッテの天気って、エイバスと違って凄く変わりやすいんだよねー。で、雨も結構多いんだけど、長く降り続けるなんてめったになくて、大体すぐに晴れちゃうんだっ」

「へぇ、そうなのか」



 雨が落ち着くのを待つと決めた俺とテオは、しばらくテントでのんびり過ごす。





 テオの言う通り、気付けば雨は止んでいた。


 打って変わってカラッと晴れた昼下がり。

 先程の雨の匂いの欠片かけらも無い乾いた空気の中、俺達は歩き出すのだった。





**************************************





 雨を最初に見た日を境にして、街道周辺の景色がだいぶ変わった。


 それまで周りは森や山に囲まれていて、街道の両脇には背の高い木々が鬱蒼うっそうと茂っていることが多かった。


 俺達が現在歩いているエリアはほとんど草原であり、木は所々にポツポツと生えている程度。街道自体もそれまでの蛇行状態と違い、真っすぐ延びる一本道へと変化。




 また、出現する魔物の種類もガラッと変わった。


 少し前までは、土属性を持つゴブリン族や魔獣族――ワイルドラビット、ワイルドウルフなど――の魔物が中心だった。

 現在よく出現するのは、水属性を持つスライム族の魔物である。



 スライム族の魔物には物理攻撃が効きにくく、魔術での攻撃が有効となる。


 周りに他の旅人がほぼ居なかったため、最初のうちは普通に俺の【光魔術】で倒していたのだが、トヴェッテ王国が近づいてくるにつれ人に見られるリスクは高まってしまう。

 万が一【光魔術】を見られては、俺の正体が勇者だとバレかねない……ということで、しばらくスライムへの魔術攻撃はテオに任せようと決めた。




 ちなみにテオに確認したところ、周りの景色や出現する魔物などが変わったのは、ゲームと同様エイバス周辺は『土の魔力』が豊富であり、トヴェッテ王国周辺は『水の魔力』が豊富な地域だから、という理由らしい。


 魔物は体が魔力で出来ているため、元となった魔力の属性に、諸々影響される。


 地形や天候については、土の魔力が豊富なエイバス周辺では土壌が豊かなため、

木々や作物が良く育つとのこと。

 またトヴェッテ周辺に雨が良く降るのは、水の魔力の影響だとされているようだ。





 村を出てから2週間後の昼前、俺達はトヴェッテ王国の王都に到着した。


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