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第105話「コべリの港と、大陸を結ぶ小船(1)」

 

 俺とテオはニルルク村を目指し、街道沿いの宿場町の宿屋に泊まったり、休憩や戦闘訓練などを挟んだりしながら徒歩で進んでいく。


 戦闘訓練の一環として、ひたすらスキルを習得しまくった俺は、ある程度めぼしいスキルを覚えたところで習得をいったん中断し、実際にスキルを使っていく段階へと切り替えた。

 テオに教わりつつ真面目に練習した甲斐もあって、俺は数日でそれなりにスキルを使いこなせるようになったのだった。





 原初の神殿を出発してから9日目の昼前。


 街道を進んでいた俺達は、小さな港町・コべリに到着した。

 ニルルク村は別大陸となるため、エイバスから陸路で向かう場合でも、コべリの街の港から定期船に乗り海を渡るのが一般的となっている。


 まずは閑散とした街中を通り抜け、港にある船舶案内所へと直行。

 窓口にて、大陸を結ぶ定期船便の乗船チケットを購入しようとしたのだが……。




「え、定期船便出てないの?!」

「すみません……現在、向こうの大陸に渡る旅人の方がほとんどいらっしゃらないもので、全便欠航となってるんですよ」


 思わず大きな声を出したテオに、若い女性窓口職員が申し訳なさそうに謝った。

 俺も横から質問する。


「定期船の欠航って今日だけなんですか?」

「いえ、1ヶ月前からです。魔王が復活してから、向こうの大陸は魔物の動きが活発になっているという話が広まったんですよ。その頃から徐々に、大陸を結ぶ定期船便の乗船客が減っておりまして……それでも半年ほどは1日1便に減らすなど、経費を切り詰めて何とか存続させていたのですが、赤字続きでさすがに厳しいという話になり、無期限で欠航とさせていただいております」

「再開の目処めどは?」

「今のところは何とも」

「そうですか……」



 ゲームでは、この街からの定期船便が欠航するなんて事態は見たことがない。

 詳しくは分からないが……これまでと同様、何かしらの『現実とゲームの違い』が影響している可能性があるかもな。



「言われてみればさー、4年前に来た時より街を歩いてる人が減った気がするかも」


 考えこんでいたテオが口を開いた。


「そうなのか?」

「前はもっと街がにぎやかだったぜ。ほら、さっき商店街通った時、閉まってる店も結構あっただろ?」

「ああ、あったな」

「たまたま時間が早いだけかもとか思ったけど、たぶんそうじゃないんだろなー。コベリに来るまでの街道からして、人通りが少なくなってた気もするし。だよね、お姉さん?」

「そうなんです……大陸を渡る旅人の方を相手に商売している店が多かったもので、土産物店や飲食店などがここ最近、軒並み店を休業なさってるようでして……あ」



 何かに気付く女性職員。



「……定期船便は欠航中ですが、チャーター可能な船なら幾つか登録がありますよ」

「え?!」

「マジで?!」


 女性職員は「はい」と答え、手元の資料をぱらぱらとめくっていく。


「本日出発可能な船ですと……小型の漁船が1そうだけですね。明日以降で宜しければ他の船もご紹介できますが、どうしましょうか?」

「テオはどう思う?」

「う~ん……早いに越したことないし、小型漁船でいいんじゃないかなぁ」

「了解」


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