第95話 第四師団団長は男尊女卑
前回のあらすじ
見張りを倒す
メルリアさんを味方につけた
第四師団団長まで突撃
バンッ!
扉を勢いよく開けた俺はそのまま部屋の中に飛び込んだ。部屋の中には第四師団団長と護衛の騎士がソファーや椅子に座って寛いでいたが、いきなり部屋に飛び込んできた俺に驚き、隙だらけになった彼らから俺はスキルスティールで武器を素早く奪い盗った。
「第四師団団長、アンタの負けだ! さっさと牢屋に戻れ!」
奪い盗った武器を無限収納に仕舞いながら俺は第四師団団長の方を向き降伏勧告をした。
「五月蝿い、五月蝿いウルサイ! 私はまだ負けておらん! 貴様さえ、キサマさえ居なければ私があの能無しの女に変わってこの国を支配し王になれたものを。よくも、よくもヨクモォォ! キサマだけはここで殺してやる、喰らえぇ!」
俺から降伏勧告を受けた第四師団団長は口角泡を飛ばしながら負け惜しみ言い、最終的に拳を振り上げ俺に向かって殴りかかって来た。
俺は殴りかかって来た第四師団団長に反撃を入れようと剣を握り振るおうとしたが、俺と第四師団団長の間にメルリアさんが急に割り込んで来てその勢いのまま第四師団団長の腕を斬り飛ばした。
「ゥガァア! オンナァ! 何しやがる!」
腕を斬り飛ばされて体勢崩し床に片膝をついた状態の第四師団団長は、左手で切り飛ばされた腕の断面を押さえ見上げる様にメルリアさんを睨み怒鳴りつけた。
「それはこちらのセリフです。私は王室騎士団第三師団団長メルリア・グライツ、あなたに女呼ばわりされる筋合いはありません」
第四師団団長に睨まれたメルリアさんは逆に第四師団団長を睨み返しながら毅然な態度ではっきりと言い返した。そう言い返された第四師団団長はその迫力に少したじろいだがその程度で第四師団団長の性根が変わるはずもなく、メルリアさんの迫力に対抗するかのように怒りに任せて口を開いた。
「女を女と言って何が悪い! お前ら女など子を産む道具でしかないくせに偉そうに、道具は道具らしく大人しく子を産んでいればいいんだ!」
「ふざけるな! 私たちは道具なんかじゃない!」
「そうです、ヒメナ様の言う通り私たちは道具ではありません。貴方のような人を人とも思っていない人には分からないでしょうけど」
第四師団団長の発言を聞きそれまで影に潜んでいた姫姉が怒りを迸らせながら影から出て言い返し、それに続くようにメルリアさんが静かに怒りながら自分たちは道具ではないと言い返した。
「貴様らに何が分かる! 私のような選ばれた人間こそが正しいのだ! 女は男に従っていればいいものを!」
「はぁこれ以上は話しても無駄なようですね。ユーマ様、この人の手足と口を塞いで貰えませんか?」
「あっはい、わかりました」
俺は言葉の端々に怒気を纏ったメルリアさんの指示に従い無限収納から取り出した金属をスキル形状変化で形を変え第四師団団長の手足を縛り上げ、口には金属で作った筒を噛ませてそれを外れないように固定した。
それから武器を奪われ俺の降伏勧告で戦意を喪失し無抵抗だった第四師団団長の護衛達の手にも同じように手枷を掛けた。
「この度はお客人である皆様のお力添え感謝いたします。それでお手数なのですが残党の処理と信用のおける兵士を呼んでくるまでの間彼らの見張りをお願いできませんか?」
部屋の外に倒した兵士たちも拘束した後、メルリアさんが拘束した第四師団団長やその護衛に今拘束した人たちの見張りをお願いしてきた。
俺は今日はもう動き回りたくないなと思ったためメルリアさんの頼みを了承することにした。
「ええ俺は良いですよ」
俺がそう言うと姫姉たちも俺と同じように見張りをすることになった。
「それでは私が戻ってくるまでのあいだお願いいたします」
メルリアさんは俺たちに頭を下げた後部屋を出て行った。
メルリアさんが出て行ったあと唸り声を上げる第四師団団長を部屋の隅に転がしその他の騎士や兵士を密集しない様にしてから俺たちは外から誰かやって来ないか見張っていた。
だが見張りを始めてから誰も来ず、いつの間にかお昼の時間になっていた。
「腹が減った」
俺がそう呟くと耳聡くそれを聞いた姫姉が話しかけてきた。
「あ~私もお腹空いたな~。そう言えば優君って無限収納に食べ物入れてるよね」
目でさっさと食べ物を出せと言っている姫姉に俺は無限収納から買い溜めしていたコンビニのおにぎりとタレが滴り湯気が立つ肉の串焼きそしてペットボトルのお茶を取り出し、姫姉と田中さんと少女に一つずつ渡してから自分の分を取り出して食べ始めた。
捕まっている兵士たちが恨めしそうに見ている中、俺たちが昼ご飯としておにぎりと旨そうな匂いを漂わせた肉の串焼きを食べていると部屋の外の方がだんだんと騒がしくなってきた。
俺はその騒がしい音が徐々にこの部屋に近づいているなと思いスキル透視で音のする方を覗いてみると、メルリアさんが女性の兵士を多数引き連れてこっちに向かって来ていた。
やって来るのがメルリアさんとその仲間たちだと分かった俺は二本目の肉の串焼きを取り出し、それを食ながらメルリアさんがやって来るのを待つことにした。