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第93話 尋問4日目にはならなさそう

前回のあらすじ

尋問3日目を迎える

第四師団団長が逃亡する

まだ捕まえられていない

 第四師団団長だいよんしだんだんちょうが逃亡してから一夜明け、朝早くから城内が騒々しく俺はその音で目が覚めた。

 目が覚めた俺は騒々しさからまだ第四師団団長が捕まってないんだろうなと考えながら二度寝をしようとしていた。

 だが城内の騒々しさがだんだんと俺たちが泊まっている部屋の方に向かって来ていた。何かがおかしいと思い俺は即座に武器を無限収納アイテムボックスから取り出し、ベッドに誰かが寝ているかのように細工を施してから他の皆にも状況を伝えるために部屋を出た。

 部屋を出てまず最初に田中さんがいる部屋をノックした。ノックしてから数十秒後、寝ぼけ眼の田中さんが扉を開けて顔を出した。

「おはようございます。急いでいるので一旦中に入れて下さい」

「なんだか分からないけどどうぞ」

 俺は田中さんに断りを得てから部屋に入り、扉に鍵を掛けてから田中さんの後に付いて行った。


「ふぁ~、それでこんな朝早くにどうしたんだい?」

 田中さんは欠伸あくびをこぼしながら俺がわざわざ朝早くに部屋に訪れた理由を聞いて来た。

「実はちょっと外の騒がしさが気がかりでして……。もしかしたら問題が起こるかもしれないので一つの部屋に集まった方がいいかなと思って」

「その問題ってもしかして……」

 田中さんは俺の考えを聞いて何かを察したのか冷や汗を垂らしながら問題の内容について質問してきた。

「まだ可能性の段階ですが最悪の場合、命を狙ってくることも考えられます。とりあえず姫姉たちもこっちに来るように伝えますね」

 俺は田中さんにそう言ってからスキル念話を使って姫姉と暗殺者の少女に田中さんの部屋に来るように伝えた。

 姫姉たちに念話をしてから数分後部屋の扉を誰かがノックしてきた。

 俺はスキル透視で誰がノックしてきたのか確認して、それが姫姉だったので扉の鍵を開けて姫姉たちを中に招き入れてからもう一度扉に鍵を掛けた。


「それで、本当はもう何が起きてるか知ってるんでしょ」

 姫姉はソファに座るや否な俺をジト目で見ながら説明を求めてきた。

「まぁ姫姉が来る前に透視である程度城内の様子を伺ってたからなんで騒々しいかは分かったよ」

「それで何があったのよ」

 俺は姫姉がやって来るまでの間に透視を使って城内を見て回り、盗賊に見間違えそうなくらい乱暴に兵士や使用人たちを縛り上げたのち動けない彼らに暴力を振るう兵士がそこら中に居るのが分かった。そんな彼らの口元に目を凝らして見れば俺たちの事を口汚くののしりながら探している様子だった。

 それらの見聞きしたことを事を要約ようやくして皆に伝えた。

「そう、ならそいつらがやってくるまでに対策を練らなといけないわね。まぁやれることは立ち向かうか逃げるか籠城ろうじょうかくらいだけど」

「残念だけど逃げるにしても取り囲まれかけてるから戦闘は避けられなさそうだな」

  俺は現在も透視で逐一ちくいち周りの状況を確認していて城内のほとんどが制圧されかかっているから逃げるのは難しいだろうと思いそのことを伝えた。

「うーんでも立ち向かうか籠城にしても戦闘が避けられないなら捕まっている人たちを助けて少しでも戦力を増やした方がいいわね」

 それを聞いた姫姉は唸りながらも出来る限り最善であろう案を提案してきた。それを聞いていた田中さんはその案に賛成し、俺もそれが最善と判断した。

 そのうえで何処から助けに行くのが良いか透視で見渡し、一つの候補見つけた。

「そうなるとまずは一番近くに捕まっている使用人たちや兵士がいるところに向かうのが無難そうだな。そこにメルリアさんも捕らわれているみたいだし」

「ならそれで決定ね。メルリアさんが味方に付いてくれれば戦いもずいぶん楽になるしね」


 それから俺たちは俺たちを探している兵士たちに何度か見つかりそうになりながらも何とかメルリアさんたちがいる部屋の近くまでやって来た。

 分かり切っていた事だが部屋の前には見張りの兵士が二人立っていた。

「やっぱりいるわね。私の透明化インビジブル影移動シャドウムーブでも確実に仕留められるのは一人だけだし」

「俺はそう言う暗殺系の能力は持ってないぞ」

「あの、私がやります」

 俺と姫姉が見張りをどうしようか相談していると暗殺者の少女が会話に割り込んできて自分がもう一人を無力化すると言い出した。

「でも良いのか?」

「はい、私がやります」

 俺は暗殺者の少女に無理していないか聞いたが少女の決意は固く、その瞳には静かに燃える意思が見て取れた。

「分かったなら頼む」

「はい」

 俺は少女の意思を尊重して今回の件を任せることにした。姫姉も俺と少女の会話で納得したのか特に何も言わず、これから行う作戦の内容を詰め始めた。

「それじゃ私が片方の見張りを倒して、その間に優君が念話でもう一人の見張りの気を引くからその隙にあなたが無力化する。もし失敗しても私か優君がカバーするから。それでいいよね優君」

 俺は姫姉の問いに頷いて了承し、少女も真剣な面持ちで頷いた。

「なら決定、それじゃ私は先に行くから。5分後に作戦開始ね」

 姫姉はそう言い残して廊下の隅の影に沈んでいった。俺と暗殺者の少女は肩を寄せ合い作戦開始の時間になるのを今か今かと待っていた。



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