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第91話 尋問2日目

前回のあらすじ

尋問一日目終了

飯食って風呂入って寝る

久々にステータスをみる

 俺の部屋まで呼びに来たメイドに案内されて昨日と同じ尋問のための部屋までやって来た。先に来て待っていた王女様に挨拶をして着席すると王女様が容疑者を連れて来るように騎士に命じ、少しして騎士が男を一人連れて来た。


 連れて来られた男は第四師団第三大隊隊長だいよんしだんだいさんだいたいたいちょうの下にいたらしく俺の顔を見るなり男は第四師団第三大隊隊長と同じように「俺の罪は免除めんじょされたんじゃないのか! だましたのか!」と怒鳴どなりだした。

 俺は第四師団第三大隊隊長に説明したことと同じことを目の前の男に伝えた。それを聞いた男は「詐欺さぎだ!」と格子こうしつかみながら叫び続け騎士に取り押さえられた。

 取り押さえられた男はその後も恨み言をつらね続け、王女様は話にならないと判断したのか騎士に男を下がらせるように命じ騎士は男を連れて行った。


 その後も第四師団第三大隊隊長の下にいた兵士たちが連れて来られ、それぞれ説明を聞き罪を受け入れる者やなげき悲しむ者などがいたが逆に罪を受け入れられない者や怒り狂う者もいた。それでも何とか魔道具を駆使し暴れる者には頭を冷やす時間を与え、そして今日一日かけてなんとか第四師団第三大隊の兵士たちを全員裁さばくことが出来た。

「お疲れさまでした、ユーマ様。これで第四師団第三大隊全員の判決が決まりました。明日からは第四師団団長だいよんしだんだんちょうとその配下だった者たちを尋問していくのでよろしくお願いします」

「わかりました。それで一つ確認したいんですがその第四師団団長って誰ですか?」

 色々な騎士に襲われ過ぎて誰の事を指しているのか分からず俺は王女様に第四師団団長の事を尋ねた。

「えーとその、第四師団団長はユーマ様方とスライク様を襲った際にそれを先導していた者です」

「ああ思い出した。街の兵士たちに捕まった奴か」

「そうです。今も街の方の牢屋に入っています」

「へぇ、まだ逃げ出してないんだ」

 俺は第四師団団長が逃亡していない事に心の底から感心してそうこぼした。

「当たり前です! そんな簡単に逃げ出されるほど落ちぶれてはいません」

「いやぁ買収とか脅しとかいろいろやってそうだったし、とっくの昔に逃げ出して捕まった事実ごともみ消してるものとばかり」

 俺の言葉に少し怒った王女様に俺がなぜそんな事を言ったのか、その理由である俺の考えを伝えた。それを聞いた王女様は何か思い当たる節があるのか顔を顰め牢で何があったのか語った。

「うっ、たしかにそのような事をしようとしていたみたいですが、牢の兵士たちは誰も取り合わなかったようです」

「あはは、牢屋の兵士の方が真面目に仕事してるな。もういっそのことそいつ等を師団の団長にした方がいいんじゃないか」

 王女様の話を聞いた俺は上と下の勤勉きんべんさの差に呆れつつも牢屋の方の兵士達の仕事ぶりを褒め、その後俺は心の中で思ったことをつい口に出して呟いてしまった。

 そんな俺の呟きを聞いた王女様は顔を怒りで真っ赤に染めながら反論してきた。

「それは出来ません! 貴族でもない上に何の功績もない一兵士が師団の団長になるなどありえません! 師団の団長は優れた者にのみ勤まる栄誉えいよある仕事です!」

「優れた者ねぇ。王女様の言う優れた者って他人を脅したり、冤罪えんざいを掛けて口封じをしたりするんですね」

 俺は反論してきた王女様に事実を皮肉って言うと「そ、それは……」と言ったところでその後に続く言葉が出て来ず、最終的にうつむいて黙り込んでしまった。

「はぁ、今のはそんな事は無いって言い返すところでしょ。そんなんだから配下の騎士たちに見下されて、正しい情報も貰えずに最悪の事態におちいる。やっぱり王女様は王女に向いてないですね。さっさとやめた方が身のためですよ。そんなんだと神輿みこしとして担ぐだけ担ぎ上げて、用が済んだら殺されますよきっと」

 あまりに見るに堪えない王女様の姿に俺はため息を吐き、現状の王女様の状態と俺でも分かる王女様の未来の一つを告げる。

「そ、そんな事あるわけが」

「無いって言いきれるか? 謁見の間では誰もアンタの命令を聞かなかったのに? 俺ならあんな奴等、即刻そっこく辞めさせるけどな」

 俺が王ならあの時どうしてたか伝えると王女様は真っ向から俺の意見に反論してきた。

「そんなことできません! 彼らは我が国の騎士で私と国民を守るために必死に働いているんです」

「でもあいつらのせいで俺らとの関係は最悪なまでに悪化したけど? これがもし他国の偉いさんなら国同士の問題になってたところだし、あの場では嘘でも騎士を解任するなりの処罰を相手に見える形で下した方がまだマシだと思うけどな」

 俺は偉いさんでも何でもないからどうでもいいのかもしれないけど姫姉の祖父さんがこのことを知ったらまた暴れるとか考え付かなかったのかな? 一応前回やって来た時に釘さしてたと思うんだけどな。

 俺はそんな事を考えながら王女様に反論した。

「それはそうかもしれませんが、私の一存で処罰を下すなんて……やっぱりできません」

 王女様は最初こそ勢いよく言ったがだんだんと声の大きさとスピードが落ちて行き一度止まった後、小声になりながらそう言った。 それを聞き終えた俺はこれ以上は話にならないと見切りをつけてさっさと帰ることにした。

「そうですか、ならもういいです。明日も尋問には付き合いますので今日のところはこれで」

 俺はそう言って部屋を出た。


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