第89話 第四師団第三大隊隊長を尋問
前回のあらすじ
朝食を食べる
尋問開始
気が滅入りそう
「もうこんな時間、昼食の時間過ぎてますね。一度休憩ににしましょうか」
あれから20人近くの尋問に精神をすり減らしながらも立ち合い、すっかり太陽が空の頂点に到達したタイミングで王女様が休憩がてら遅めの昼食を食べないかと誘って来た。
「そうですね、気分転換に少し休ませて貰います」
俺は王女様の誘いに乗って休むことにした。
「では直ぐに準備させますね」
王女様はそう言い懐から出したベルを鳴らし十数秒するとメイドさんがやって来た。王女様はやって来たメイドさんに昼食を頼むとメイドさんは一度外に出たあとすぐに戻って来た。
「アウリア様、ユーマ様昼食の準備まで少し時間が掛りますが食堂までご案内します」
俺と王女様はメイドさんに連れられて晩餐や朝食を食べた食堂に案内された。
食堂に入ると他に人はおらず俺と王女様の二人っきりで少し居心地が悪かったが、それも遅れてやって来た昼食を持ってきたメイドさんのおかげで少しマシになった。
「お待たせしました、昼食はあっさり目が良いと思いましてBLTサンドイッチとローストビーフサンドイッチにポトフです。宜しかったでしょうか?」
メイドさんに尋ねられ王女様と俺は問題ないと返した。
「それは良かったです。それではお飲み物は何に致しますか?」
「私は紅茶で」
「俺は果実水でお願いします」
「承りました」
メイドさんは俺たちのリクエストを予想していたかのようにワゴンに乗っていたティーポッドに茶葉とお湯を入れ、その間にカップにお湯を注ぎカップが温まったところでお湯を捨てて王女様の前に置き、そこに紅茶を注いだ。
次にグラスを俺の前に置き、ワゴンの下から出したボトルのコルクを手早く開けてグラスに中身を注いだ。
「それでは食にありつけることを神に感謝します」
王女様は神への祈りをしてからサンドイッチを食べ始めた。俺はいつも通り頂きますをしてからBLTサンドイッチに手を伸ばした。
食べ始めると意外にもお腹が空いていたのか王女様も俺も黙々とサンドイッチなどを十分ほどで食べ終えて、腹がいっぱいになった俺がのんびり寛いでいると王女様が話しかけてきた。
「ユーマ様、そろそろ尋問を再開しようと思うのですがいかがでしょうか?」
俺が良いですよと答えると王女様はそれを聞いてメイドさんに何かを伝え、立ち上がった。
王女様が立ち上がったタイミングでメイドさんが俺の傍にやって来て話しかけてきた。
「ご案内しますね」
俺はメイドさん促され席を立ち、王女様と一緒に尋問に使っていた部屋に戻って来た。
「それでは尋問を再開したいと思います」
王女様がそう宣言すると向こう側の部屋にいた騎士が一人の男が連れられてきた。連れられてきた男は俺の方を見たかと思うといきなり話しかけてきた。
「お前は確かウィンダム様と一緒にいた……。そ、そうだ! お前確か俺たちの罪はお前が罰を与えたことで罪にはならないって話だったよな!」
俺は男の話を聞いて思い出した。この男は確か第四師団第三大隊隊長を名乗っていた男だった気がする。
「彼はああ言ってますが何か知っていますかユーマ様?」
王女様はどこか焦った様子で俺に問い掛けてきた。
「ええ、彼が言っていることは覚えてますし報告書にも記されていたと思いますが内容が少し違います。あの時俺が言ったのは俺たちを襲ったという事実に対する罰を与えたというだけで、騎士の規律に口出しをした訳では無いです。騎士の規律で罰を与えるのなら俺は口出しするつもりはありませんし、口出しする権利もありません」
「そうですか、ユーマ様の話と報告書に書かれていた事に間違いがないと判断して彼の尋問を続けます」
俺がそう答えると王女様は何処かホッとした様子で尋問を再開した。
「そんな俺は許されたんじゃなかったのかよ!」
「許されていますよ、彼を襲ったという罪自体は。ですが騎士としての権力の不当行使に対してはこれから罰することになります」
王女様の言葉を聞き男はやっと理解が追い付いたのか魂が抜けたかのように項垂れてしまった。
「それではあなたに問いますが彼を襲った事を認めますか?」
「はい」
王女様の問いに第四師団第三大隊隊長は消え入りそうな声で答えた。魔道具はそれを真実だと示すように青く光った。
「では何か言いたいことはありますか?」
「なにもありません」
それから王女様の質問が何度か続き、第四師団第三大隊隊長はそれに対して一度も嘘を吐くことは無かった。
「それではあなたの判決を言います、貴方は大隊の隊長という上に立つ立場でありながら権力の不当行使を行ったとして強制労働6年を言い渡します。先に明言しておきますがこれはユーマ様を襲ったことについての罪は一切含まれていません。この罰は権力の不当行使についてだけです。もしあなたから他の罪が出てくれば別途罰が加算されると思って下さい」
王女様がそう言い終えると男は力なく立ち上がり王女様に向かって一礼をしてから待機していた騎士に連れられて部屋から出て行った。
毎回書いてて思いますけど第四師団第三大隊隊長って長い上にルビに『たい』が多くて読みにくくないですか?
自分は読みにくいです。