表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/267

第88話 王女様による尋問

前回のあらすじ

ウィンダムさんたちと再会

皆で晩餐

地球の料理が出た

 眠りから目覚めた俺は欠伸あくびを噛み殺しながら洗面台で顔を洗って眠気を追い払い、こっちの世界に来てから着回している普段着に着替え終えたタイミングで部屋の扉がノックされた。

「メルリアです、ユーマ様お目覚めでしょうか?」

「はい、起きてますよ。おはようございます」

 俺はそう返事をしながら部屋の扉を開け、メルリアさんに朝の挨拶をした。

「朝食の準備が整っておりますので食堂までご案内いたします」

 メルリアさんは姫姉たちにも声を掛けた後、俺たちを食堂まで案内した。


 食堂には昨日の晩餐と同じように王女様を始めウォレンさん、ウィンダムさん、ソリアさん、アリシアさんが昨日と同じ席に座っていた。

 俺たちも昨日と同じように席に座った。

「今朝もお集まりいただきありがとうございます。朝食をいただける事を神に祈りましょう」

 王女様たちは晩餐の時と同じようにお祈りをしてから朝食を食べ始め、俺たちも手を合わせて『頂きます』をしてから朝食を食べ始めた。

 朝食にはトマトのソースがかかっていてとろーりとしたチーズが入ったオムレツとベーコンがお皿の上に乗っており、そして一人ひとりの目の前に白いパンが籠いっぱいに入っていた。

 俺はオムレツとベーコン、そしてパンを3つ食べお腹いっぱいになったところで一息ついていると王女様も食べ終えたのか話しかけていた。

「ユーマ様、お口に合いましたでしょうか?」

「美味しかったですよ」

「それは良かったです。それで本日ですが昨日話していた通りユーマ様方を襲った騎士たちの処遇を決めたいのでお立会い頂けますでしょうか?」

「そうですね、良いですよ」

「それでは後程メルリアに呼びに行かせますのでお部屋でお待ちください。タナカ様とヒメナ様、そちらのお嬢様はどういたしますか?」

「僕は遠慮させて貰うよ」

「私は面倒だから優君に任せるわ」

「分かりましたではユーマ様だけ参加という事で。それでは私は先に失礼します」

 王女様はそう言って食堂を後にした。

 残された俺たちもそれぞれメイドさんたちに案内されて食堂から出て行った。


 食堂を出て与えられた部屋で待っていると直ぐに部屋をノックする音が聞こえた。

「メルリアです。ユーマ様、お迎えに上がりました」

「はい、今行きます」

「それではご案内いたします」

 俺はメルリアさんの後ろについて行き、一つの部屋の前までやって来た。

 メルリアさんはその部屋の扉をノックしてから声を掛けた。

「失礼します王女様、メルリアです。ユーマ様をお連れしました」

「どうぞ」

 中から王女様がそう答え、メルリアさんが扉を開けて俺たちは部屋の中に入った。

 部屋の中は中央で向こう側と行き来が出来ない様に鉄格子があり、その中ほどにテーブルと椅子が鉄格子の向こうとこちらに一つずつ置いてある。向こう側にある椅子は金属製で地面に固定されていて、こちら側のテーブルの上には台座の上に乗った水晶が一つ置かれていた。

 王女様はこちら側のテーブルの前にある椅子に座っていたが俺たちが入って来たタイミングで立ち上がって話しかけてきた。

「お待ちしておりましたユーマ様。これから一人ひとりの罪をこの魔道具で質問をし水晶が赤く光れば嘘で青なら本当の事を言っています。それらの結果で罰を与えます。取り調べではユーマ様も騎士に質問をすることも可能ですがどうしますか?」

 王女様は机の上に置かれた水晶が魔道具だと説明しながらこれから始まる尋問で俺も参加するか否か問うてきた。

「必要な時だけ参加します。それ以外は後ろで見させてもらいます」

 俺は全員の尋問に参加するのは面倒だと思い気になった人だけ参加することにした。

「分かりました。それでは騎士の尋問を開始します」

 王女様がそう言うと奥に控えていた騎士が奥の扉を開け少しした後手足を鎖で繋がれた男が連れて来られた。


 連れて来られた男は椅子に座らされ、手枷を椅子に繋げられた。

「これからあなたの尋問を開始します。尋問にはこちらの魔道具を使います。それではあなたはこちらにいるユーマ様に襲い掛かりましたか?」

 王女様は魔道具に触れながらそう質問した。

「違う、俺は命令されてソイツを捕まえに行ったんだ」

 男が答えると水晶は赤く輝いた。

「嘘ですか」

「待ってくれ! 本当だッ嘘じゃない! 信じてくれ!」

 王女様がため息交じりに呟くと男は怒鳴りつける様に嘘はついていないと叫んだ。

「ですが水晶は赤ですよ」

「それが故障してるんだ! そうに違いない!」

 男は苦し紛れに水晶が壊れていると言い出した。

「そうですか……。ユーマ様お手数ですが貴方は男性ですか?」

 漢の言葉を受けて王女様は少し考え込み、少しした後俺の方を向いて水晶に触れながら質問をしてきた。俺は王女様の意図に気付き「はい」と答えると水晶は青く光った。

「次にユーマ様は女性ですか?」

 二つ目の質問に俺はまた「はい」と答えると今度は水晶が赤く輝いた。

「残念ですがこの水晶は故障していません。ですのであなたは嘘を吐いていたことになります。もう一度質問しますが貴方はユーマ様達を城門前の詰所内で襲いましたか?」

「クソがッ、ええ襲いました! また口封じの違法逮捕だと分かっててそいつ等を捕まえに行きました!」

 男がそうやけくそ気味に答えると水晶は青く光った。

「はぁ、そうですか。では貴方は権力の不当行使で強制労働5年の刑に処します。ユーマ様も宜しいですね」

 王女様は最後に俺に確認を求め、俺はそれに頷いて答えた。

「では次の人をお願いします」

 王女様がそう言い放つと奥で控えていた騎士が男をどこかに連れて行き、部屋に静寂せいじゃくが訪れた。

 こんなのがまだまだ続くと思うと気が滅入めいりそうだと思いながら次の人がやって来るのを待った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ