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第87話 王女様たちと晩餐

前回のあらすじ

場所を変えて話し合い

王女様との話し合いが終わる

メルリアさんと再会した


「メルリアです。夕食の準備が出来ましたのでお呼びに参りました」

 姫姉が自分の部屋に戻り俺はベッドの上でのんびり寛いでいるところにメルリアさんが部屋の扉をノックしてから要件を伝えてきた。

「分かりました、今行きます」

 俺は素早く身だしなみを整えてから部屋を出た。部屋を出るとメルリアさんが俺に向かってお辞儀じぎをしたあと、「他の方々にも声を掛けてきますので少々お待ちください」と言って田中さんの部屋と姫姉の部屋に声を掛けた。全員がそろったところでメルリアさんは俺たちを食堂に案内した。


 案内された食堂に入ると縦長いテーブルがありそのテーブルの一番奥にある上座、いわゆるお誕生日席に王女様が座り、その右側の席にウォレンさんを始めウィンダムさん、ソリアさんそしてアリシアさんが座っていた。

 俺たちはウォレンさんとは対面に位置する王女様の左側の席に田中さん、俺、姫姉そして暗殺者の少女の順に席へ案内され座った。

 俺たちが座り、俺たちの前にグラスが置かれたところで王女様が口を開いた。

「本日はお集まりいただきありがとうございます。いろいろ誤解がありましたが今宵こよいは一度それらを置いて晩餐ばんさんをお楽しみください。それではグラスを手に……乾杯かんぱい

「「「「「「「乾杯」」」」」」」

 俺たちは王女様の後に続きグラスを手に持って乾杯の合図に合わせてグラスを王女様の方へ少しかたむけた後、グラスに注がれた紫色の液体を一口飲み、グラスをテーブルに置いた。

「なんだジュースか……」

 俺は飲んだ後そう溢すとそれを聞いたウォレンさんとウィンダムさんが笑い出した。

「ハハハ、向こうではまだ子供の君たちに飲酒はさせられんよ」

 一通り笑い終えたウィンダムさんは俺と姫姉と暗殺者の少女を見ながらそう言い、ウォレンさんもそれを聞いて頷いていた。

「それにしてもひどい目にったみたいだね、私と分断された後の事情は大体聞いてるよ。私の方からもそこの王女様にしっかり報告したはずなんだけどね。まぁ無事で何よりだよ」

 ウィンダムさんは王女様の方を睨むようにチラッと見ながら俺たちに話しかけてきた。

「そうですね、まぁ色々ありましたが何とか生きてますよ。それに王女様が襲って来た人たちをちゃんと処罰すると約束して貰ったので、その約束がしっかり守られれば今回の件はこれ以上追及しないことになってます」

「そうか……君達がそれでいいならいいんだが。そうなると私が一緒に襲われた件はもう一度話し合わないと行けなさそうだな」

 俺が王女様との話し合いで決まった事をウィンダムさんに伝えるとウィンダムさんが自分が一緒に襲われたことは別件扱いで追及すると王女様に視線をやりながらこぼした。


御歓談中ごかんだんちゅうではございますが前菜の準備が整いましたのでお運びします」

 俺たちが話していると知らないメイドさんがやって来てそう伝えた後、ワゴンと他のメイドさんが数人入って来た。メイドさんたちはワゴンで運んできた前菜を俺たちの前に手早く配膳はいぜんしていった。

 前菜は輪切りのトマトの間にチーズが入っており、その上からオリーブオイルと黒胡椒くろこしょうをかけた地球でもたまに見る物だった。

「これってカプレーゼだよね」

 姫姉はこの料理の名前を知っていたのか料理名を言いながら俺に聞いて来た。

「カプレーゼって名前は知らなかったけどそっくりだしそうなんじゃないかな」

「やっぱり君たちも知っているんだね。この料理は大昔にやって来た異世界人が教え広めた異世界の料理だ。他にも色々な料理を広め異世界の料理人として有名だよ」

 俺が曖昧に答えていると目の前に座っていたウィンダムさんが俺たちと同じようにこっちにやって来た人が伝えたと教えてくれた。

「それでは皆様の前に料理が行き届いたところで、本日も食事が頂けることを神に祈りましょう」

 俺たちの話が終わったところで王女様が食前の挨拶をした後、手を組んで数秒お祈りをした。それに合わせてウォレンさん達も同じようにお祈りをし、王女様がナイフとフォークを持ったタイミングでウォレンさん達もナイフとフォークを手に取り食事を始めた。

 俺と姫姉はウォレンさん達のお祈りが終わったタイミングで「いただきます」と言い、田中さんも俺たちに釣られ「いただきます」と言ってからウォレンさん達と同じように料理に手を付けた。


 全員が前菜カプレーゼを食べ終えたタイミングで次の料理が運ばれてきて、俺たちの前に配膳された。匂いと見た目で目星はついていたが一口味わって確信した。カリカリのクルトンが美味しいコーンスープだった。

 コーンスープを飲み終えれば今度は肉料理が運ばれてきた。肉料理は骨付きの肉に赤いソースがかかったものだった。姫姉が言うにはラムチョップに似ていると言っていた。

 それを食べ終えればデザートとしてティラミスが出てきた。それを見た姫姉は目の色を変えてティラミスを食べ始めた。ものの数分で食べ終わり満足そうな顔で気分が良さそうだった。

 そして俺たちもデザートを食べ終え食後のドリンクが運ばれてきたところで王女様が口を開いた。

「皆様、晩餐をお楽しみ頂けたでしょうか。本日はここらでお開きとします」

 王女様はメイドに椅子を引かせて立ち上がり、俺たちに向かって一礼してからメイドに連れられるようにして食堂を退室した。

「では儂もおいとまさせて貰うとするかの」

 続いてウォレンさんがそう言って部屋を退室し、それに続いてウィンダムさんソリアさんアリシアさんが一礼したのち食堂を退室していった。

「それでは皆様を部屋までご案内いたします」

 最後まで食堂に残っていた俺たちにメルリアさんが声を掛けてきた。俺たちはメルリアさんの言葉に従い彼女に連れられそれぞれの部屋に戻っていった。

 部屋に戻った俺は手早く風呂に入り、明日に備えて床についた。

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