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第85話 王女様と再度話し合い

前回のあらすじ

王女様の命令を聞かない騎士に襲われ返り討ちにする

王女様に責任追及をする

王女様は決断できない

「怒るのは分かるがまぁ少し待て」

 怒りに任せて謁見の間を出て行こうとする俺にウォレンさんが待ったをかけた。

「なんですかウォレンさん?」

「儂に免じてもう少しだけ王女様と話し合いをしてやってはくれんか?」

「はぁ……。まぁ此処までこれたのはウォレンさんのおかげですしもう少しだけ付き合います」

「そうかそうか、なら今度は儂も話し合いに参加しようかの」

「そうですね、その方がまだ有意義な話し合いが出来そうですしね。それじゃあ再開しましょうか」

 俺は王女様の方をチラッと見ながらそう言った。言われた王女様は一瞬顔をゆがませたがすぐに平静を取り繕った。


 話し合いの再開という事で俺から話し始めた。

「それじゃあさっきの続きからで。俺たちを襲撃してきた第四の団長と裏で命令していたガネトリー・ダイカーンについて、まずガネトリーについては一緒に襲撃されたウィンダムさんからもたぶん報告が上がっているはずだが……」

「そんな報告は受けておりません。それよりなぜ貴方方がウィンダム様と一緒に王都に来ているのかが謎なのですが」

 王女様は本当に知らないといった顔で答えた。その上で俺たちがウィンダムさんと一緒にいたことを疑問に思い言葉を漏らしていた。

「それについてじゃが儂の方には報告書が届いておったぞ。ガネトリーが脅してこやつらを襲撃させた者たちを捕らえたこととそこで聞いた話をまとめた報告書。王女様にも届ける様に儂からも念押ししておいたから知らないはずが無いと思っておったんじゃが……」

 王女様の言葉を聞きウォレンさんは自分のところには報告書が来ている上に、王女様にも報告書を届ける様に言ったとまで証言した。

「そんなはずは……。届けられた報告書には一通り目を通しているので、そんな報告書は無かったです!」

 王女様はウォレンさんの話を聞き明らかに焦った様子で顔色を変え怒鳴るようにそう言った。

 ウォレンさんには届いているのに王女様には届いていないとはこれいかに。

「あっそ、王女様がそう思うんならそうなんだろ、王女様の中ではな。それじゃあ次、第四師団だけどまずは第三大隊の連中がガネトリーのすぐ後に襲ってきた。どうせこれも知らないだろうし次。それからウィンダムさんと待っていたらお迎えがやって来て、そこでウィンダムさんと分断されて襲撃に遭った。連中がどこの所属かまでは知らんがたぶん騎士だろ。その辺もウィンダムさんに聞けば何か分かるかもな。それで最後に第四師団団長が直々にしかも名前まで名乗って襲って来たからスライクさんが返り討ちにした。その後衛兵がやって来て詰所に連行されていったから今頃は牢屋の中だろ」

 一気に喋って少し疲れたがまぁこんなものだろう。

 俺の話を聞いていた王女様は話が進むごとに顔色を悪くしながらだんだんうつむいていった。

「どれも報告を受けていないことばかりです。そんな事小耳にも挟んでません。それよりもその第四師団団長を返り討ちにしたスライクさんって誰ですか?」

 王女様はどれも報告を受けていないことに消沈しつつも、第四師団団長を倒したスライクさんに興味を持ったのかスライクさんについて質問してきた。

 スライクさんの事をほとんど知らない俺は直ぐにウォレンさんに視線で助けを求めた。

「それについては儂から答えよう。彼は一人で軍隊規模の戦闘を可能とするスライム専門のモンスターテイマーじゃ。昔は冒険者としてドラゴンすら倒した実績もある。団長が負けるのも当たり前じゃ。そんな事は置いといて、第四師団に関しては証拠もあるし処分しても良いと思うがの」

 ウォレンさんはスライクさんについて話した後、第四師団の処遇について意見を述べた。

「分かりました。第四師団団長は解任の後投獄、その他の騎士たちは罪に応じて罰金、解任、投獄に処します」

 王女様はウォレンさんの意見を受け第四師団団長については処分を決め、その他の騎士についても処罰を与えると決めた。


 王女様がそう決断した時、謁見の間に複数の走る足音が向かって来た。

「王女様ッ生きておられましたか! 今賊を捕らえます!」

 謁見の間に飛び込んできた鎧を装備した男はそう叫ぶと俺や姫姉の方に剣を向けて斬りかからんとめてきた。

「待ちなさい! 彼らはぞくではありません! 今すぐ剣を納めなさい!」

「しかし我々は通報を受けてやって来たのですが」

 王女様の言葉に狼狽うろたえながらも剣を納めはしなかった。

「彼らは賊ではありません。賊はそこに転がっている騎士たちの方です。私の命令も聞かず彼らに襲い掛かった反逆者です。倒れている騎士たちを牢屋に連れて行きなさい」

 再度王女様が命令するが騎士たちはいう事を聞こうとはしない。

 本当に王女様は役に立たないと俺は呆れてため息を漏らした。

「そんなバカな……。分かった彼らにそう言えと脅されているのですね! 今そこの賊を打倒して王女様をお救いいたします!」

 勝手な解釈かいしゃくをした騎士たちは王女様の命令を聞かずに俺たちへ襲い掛かって来た。

 俺と姫姉が迎え撃とうとした時、ウォレンさんが声をあげた。

「世話が焼けるのう。お前たち王女様の命令が聞けないのなら儂が命ずる、剣を納めよ」

「ウォレン様までそう仰られるのですか」

 ウォレンさんの言葉に騎士たちはそう言いながらも止まった。

「ああ、彼らは儂が面倒を見る。お前たちはそこに転がってる馬鹿どもを牢屋に連れて行け」

「そこまで仰られるのでしたら分かりました。その命に従います」

 ウォレンさんが俺たちの事について責任を持つと言うと何とか騎士たちはそれを受け入れ、ウォレンさんの命令通り転がっている騎士を数人がかりで運び出し始めた。

「さていつまでもここで話すのもなんじゃし儂らも移動するかの」

 俺たちはウォレンさんの言葉に同意しウォレンさんの案内の下謁見の間から移動した。





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