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第81話 お風呂は日本の心

前回のあらすじ

お風呂屋さんに行く

男性客が全然いない

湯船を俺たちで独占できる

「「あ゛あ゛あ゛あ゛」」

 俺と田中さんは体を洗い終わると普通の温度の湯船に体を浸し、身体の芯に染み渡る温かさに声をあげた。

「大人になってからは久しぶりの温泉だけどいいものだね」

 田中さんはそう言いながら肩まで湯船に浸かり全身の力を抜いて湯船に浮かんだ。

「そうですね、やっぱり日本人の心ですよね。それにしてもこんなにデカいお風呂なのに客が俺たちしかいないのは不思議ですけど、まぁこの広い湯船を独占できるのは嬉しいですけど」

「そうだね~、確かにどうしてこんなに人が居ないんだろう」

 俺たちは周りを眺めて他の客が一人も居ないことに疑問を抱きながらも、広いお風呂を独占できる優越感に浸り湯船を楽しんでいた。

「それじゃ僕は他のところも入ってみるよ」

 ゆっくりと湯船から立ち上がり田中さんは泡風呂の方に移動した。俺も他の湯船を味わおうと思い露天風呂がありそうな外への扉を開けた。

 扉を開けた向こうには思った通り露天風呂が二つあり片方には小さい滝のようなお湯が高い位置から流れ出ている場所があった。それ以外にも奥に一つ扉がありその横の壁にはサウナと書かれた看板が付いていた。

 俺はまず小さい滝を頭や肩に浴びた。滝の勢いはそこまで強くなく水流が肩や頭に当たる感触は心地いい。

 俺は10分ほど滝に打たれた後軽く湯船に浸かってからサウナに向かった。


 サウナ室は真っ白に曇っており中には誰も居なかった。俺はサウナ室に並ぶ木の椅子に座りタオルを頭の上に乗せ体から噴き出る汗を感じていた。

 5分もすれば全身汗だくで体も芯から熱くなっていた。それからさらに5分後。俺は限界を迎えサウナ室から出て傍にあった水風呂から桶で水を掬い体の汗を流してから水風呂に入り体の熱を冷ました。

 徐々に冷やされ全身から熱が抜けたところで俺は再びサウナ室に入った。サウナに入って数分した頃サウナ室に田中さんが入って来た。

「やあ、こんなところにいたんだね」

「ええ、俺は二回目なんですけど気持ちいいですよ」

 俺たちは一言二言言葉を交わしたのち俺たちはサウナと向き合っていた。

 先にサウナを出たのは俺だった。俺は汗だくになったので無理をせずサウナ室から出て汗を流し水風呂で体を冷やした。

 水風呂に浸かっていると田中さんもサウナ室から出てきた。田中さんも水風呂から水を掬って汗を流したのち水風呂に浸かった。

「それじゃあ俺は他の湯船も浸かってみたいんで中に戻ります。ああそれとあの滝肩に当てると気持ちいいんでおすすめです」

「そうなんだ、なら後で試してみるよ」

 俺は田中さんと言葉を交わした後、内風呂にある泡風呂に入った。


 それから色んな湯船を楽しんだ後俺は着替えを済ませロビーで売っていた牛乳を飲みながら皆が出てくるのをのんびりと待っていた。

 しばらくすると田中さんがロビーにやって来て、俺が飲んでいる牛乳を見て田中さんも買って飲みだした。

 牛乳を飲み終えて手持ち無沙汰になった俺たちは売店で売っていた串焼きを買い食いしながら姫姉たちが戻ってくるのをのんびりと待っていた。

 最終的に姫姉たちが来るまでに1時間ほどかかり、姫姉たちは戻って来たと思ったら牛乳を買って飲みだし、飲み終えたところで俺たちはやっと宿に戻った。

 宿に戻ってベッドに入った俺たちは最低限の警戒はしながらもすぐに眠りについた。

 

 翌朝お風呂に入ったおかげかスッキリと目覚められ、体も軽く疲れもしっかりと取れていた。

「あぁよく寝た、お風呂に入ったおかげか体が軽いな」

「今日は早起きだね、ふぁぁ」

 俺はそう呟きながら軽く伸びをし体をほぐしていると田中さんがあくびをしながら声を掛けていた。

「朝食までもう少し時間があるし俺はちょっと外の空気を吸ってきます」

「行ってらっしゃい」

 田中さんに見送られ俺は宿を出て宿の周りをふらふらと歩き出した。

 早朝なのに多くの人が一日の準備に取り掛かっていて静かに喧騒が広がり始めていた。そんな中俺はそんな生活の始まりを見ながらのんびりと大通りを歩いていた。

 大通りを歩いているとどこからか嫌な視線を感じた。俺はそれを気にしつつもあえて確認はせずに朝食の時間まで適当に歩き回った。


「そろそろ時間かな」

 俺は空を見上げ太陽の位置を確認して朝食時間かなと感じ宿に戻るために回れ右をした。

 帰りはフラフラせずに宿まで一直線に向かった。

 宿に帰り着くと食堂にはチラホラと人が入っており食事をしていた。俺は一度自分の部屋に戻り田中さんに朝食を食べに行こうと声を掛け、隣の部屋にいる姫姉たちにも同様に声を掛けて俺たちは食堂に向かった。

 食堂は先ほどよりも人が増え始めており俺たちも看板娘の少女の案内で四人掛けのテーブル席に着いた。

「いらっしゃいませ、朝食のメニューは通常パンとベーコンエッグとスープになりますが、貴方方はご飯が好きそうなので追加料金30シアでパンをおにぎりに変更可能です。どうしますか?」

 席に着いたところで看板娘の少女からメニューについて話しだしよく聞くと、なんと朝食ではおにぎりが食べられると伝えてきた。


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