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第76話 バカな悪人の行動は迅速で分かり易い

前回のあらすじ

ギルドで一泊

今後の方針を考える

スライムの館に行く

「お待たせ致しました、私特製の紅茶とクッキーです」

 部屋に戻って来たスライクさんはテキパキと俺たちの前にクッキーと紅茶を置くと空いている席に座った。

「さてだいたいの事情は噂で知っていますが、所詮は噂。真実を知るためにも何があったのか、あなた方の口から聞かせて貰えますか?」

 スライクさんに言われ俺はこれまで何があったのか一から話し始めた。


「……それで昨日馬車での移動中に前を走っているウィンダムさんの馬車と離れ離れにされました。何か変だと思って御者に話しかけたんですが、無視され怪しさが増したので御者席に飛び移って話しかけたら、周りから魔法で攻撃されました。その隙に御者に逃げられ馬車は操作不能になり、俺たちは馬車から飛び降りてなんとか助かりましたが路地裏で迷子になりました。その後いろいろあって路地裏から脱出し、冒険者ギルドで一晩明かして今日ここに知り合いを探しに来たんです」

 長い長い俺の話が終わるとスライクさんは何か納得した様な顔をした後、お茶のおかわりを持って来ますねと言い残し部屋から出て行った。


 十分もしない内にスライクさんはおかわりの入ったポットを持って戻って来た。そして俺たちのカップに紅茶を注ぎ、全員分を終えてから再び席に着いた。

「お待たせしました。それで皆様はお知り合いを探しに来たと仰いましたがそれはウォレン様ですね」

 スライクさんは俺たちが誰を探しているのかハッキリと言い当てた。

「はい前回来た時にウォレンさんを見かけましてここでならば騎士に襲われずに話が出来ると思いやってきました」

 俺がそう言うと姫姉から睨まれた。

(はいそうですね、俺じゃなくて姫姉が気付いたんでしたね。でもここで言い争うのは困るので許してください)

 俺はそう姫姉に念話で話しかけなんとかなだめることができた。

「そうですか、ですが本日ウォレン様はこちらに来る予定は無いはずですので会う事は難しいと思います」

「「そうですか」」

 俺と姫姉はそう良いながら肩を落とした。

「ですが私からお呼びすればもしかすればお越し頂けれるかもしれません」

「「本当ですか!」」

 俺と姫姉は同じタイミングで立ち上がりながら聞き返していた。

「ええ、こちらから新種のスライムを見つけたかもしれないと声をお掛けすれば早くて本日、遅くても明日の昼までにはお越し頂けれると思います。と言いますか先ほどお声を掛けておきました」

「「「ありがとうございます」」」

 俺たちはスライクさんの迅速な行動に驚きながらも頭を下げてお礼を言った。

「いえいえ、それほどの事でも無いですよ。私の直感ではあなた方を助けるべきだと判断致しましたので。それよりも私がウォレン様に手紙で連絡を取った際に騎士が取り継ぐ筈です。この事は騎士にも漏れていると考えるべきですので、ウォレン様がお越しになるまでの時間稼ぎの準備をしませんと」


 それからスライクさん主導で今日スライムの館に来ていた人達を帰し、館の窓や扉に机や椅子でバリケードを設置していった。

 全ての窓や扉にバリケードを設置し終えて警戒しながら待っていると予想通り完全武装の騎士が百人近くこっちに向かって来ていた。

「スライクさん騎士が完全武装でこっち向かって来てます。数は百はいると思います」

「そうですか、ならまずは私が前に出て話をしてきます。向こうが強硬手段を取ってきたら皆様も館のことは気にせずに抵抗して下さい」

 スライクさんが俺たちにこの後どうするか話していると館の扉を乱暴に叩く音が聞こえたそのあとに怒号が響いた。

「ここに国家反逆者がいると聞いて来た! さっさとこの扉を開けろ!」

「では少しお話をしてきます。多分別働隊がいるはずですのでそちらにお気を付けください」

 スライクさんはそう言い残し館の外に出て行った。

 俺は隠れて外の話声を聞きながら透視で周囲の警戒をした。


「お待たせ致しました。それほど強く叩かれなくても聞こえていますよ」

 スライクさんは先頭に立っていた騎士に向かって話しかけた。

「貴様がここの主人か? ここに国家反逆者が逃げ込んだと報告があった。調べさせてもらうぞ!」

「それは困りますね、とある方と友人を迎えるための準備が無駄になってしまいます」

 騎士の発言にスライクさんはわざとらしく困った顔をして見せ、騎士を中に入れる事を渋る事を言った。

「そんなものどうでも良い! 抵抗すれば貴様も国家反逆者として捕まえるぞ!」

 そんなスライクさんの発言にイラついているのか騎士は口角泡を飛ばしながらスライクさんを脅し始めた。

「そんな事しても良いんですか? 私は何もしていないというのに」

「騎士である俺に楯突く事自体が罪なのだ! 貴様のような無能は這い蹲って俺に従っていれば良いのだ!」

 スライクさんと騎士が話している間に後方に控えていた騎士達が館を取り囲むように動き始めた。

「言いたい事はそれだけですか? ならば今すぐ回れ右をしてお帰りください。そうでないとあなた方は国家反逆罪で一族郎党処罰の対象になりますよ」

「何を馬鹿な事を……、平民風情が調子に乗るなァ! お前達こんなあばら屋壊してしまえ!」

 騎士の言葉で館を取り囲んだ騎士や周りに居た騎士達が皆抜剣し、館へ今にも襲いかかろうとしていた。

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