表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/267

第72話 分断は基本

前回のあらすじ

衛兵とお話し

衛兵に詐欺師扱いされる

いつまでここに居なきゃいけないんだろうか

「ウィンダムさん、コイツらの罪に対する罰はコレくらいで良いですよね?」

 俺は死屍累々になっている兵士達を見回しながらウィンダムさんに問う。

「そうだな、普通なら極刑だが被害者である我々が自ら罰を与えたとなれば他の誰にも口出しなどできないだろうよ」

「それなら良かった。お前ら聞いたか? コレでお前らの罪に対する罰は終わりだ。今後は二度と同じ過ちを繰り返さないようにしろよ。それじゃ解散」

 俺は死にかけている兵士達にそう告げて部屋に戻った。


 部屋に戻りソファにダイブしてダラけていると廊下の方からウィンダムさんの声が聞こえて来た。

「良かったな、彼はこの程度で許してくれるそうだ。だが今回の件、目に余るものがある。君達から正直に団長や王へ報告しなさい。もしそれが行われていないと私の耳に入った場合、貴様等の命だけでは済まさんぞ」

 ウィンダムさんは嘘の報告をしないように、そしてもしかしたら何処かで覗いているかも知れない今回の首謀者のスパイにも聞こえるように大声で釘を刺していた。

 ウィンダムさんはそう告げた後、俺と同じ様に部屋に戻ってきてソファに深く腰掛けた。

「ふぅ、コレで少しは落ち着けば良いのだが。多分そうはいかないだろうな」

 ウィンダムさんはため息吐き思案顔をした。


 兵士達を追い返してから更に一時間経過した頃、部屋の扉を誰かがノックをした。

 俺はすぐ様スキル透視を発動して誰が扉をノックしたのかを確認した。

 扉の向こう側には燕尾服を着た初老の男がひとりとメイド服の若い女が二人、そして鎧に身を包んだ兵士が六人立っていた。

 俺はその情報を姫姉にスキル念話で扉の向こう側にいる人と警戒する事を伝えて、無限収納アイテムボックスから刀を取り出した。

「ウィンダム様とお連れの方々、お迎えに上がりました」

「今開けます」

 俺は扉の向こうから聞こえる声に返事をし刀を構えつつ扉を開けた。

「?! 貴様ッ! 我らに剣を向けるとは何事だ!」

 扉の向こう側にいた兵士達は俺が武器を構えて扉を開けたのを見て驚き次の瞬間、剣を抜きながら叫んだ。

「お前達、止めろ!」

 だがその兵士達を燕尾服の男が睨みつけつつ兵士達を止めた。兵士達も燕尾服の男の言葉に従い剣を収めた。

「申し訳ございません。我々は貴方方に危害を加える気はありませんので矛を収めて頂けませんか?」 

 燕尾服の男は俺に頭を下げて頼んできた。俺はどう判断すれば良いのか悩んでいるとウィンダムさんが声を掛けてきた。

「ユーマ君、彼は大丈夫だよ。あとは私に任せて貰えるかな」

 俺はウィンダムさんの言葉に従って刀を鞘に収めて後ろに下がった。

「我々は先程兵士達に襲われて気が立っていてね。もし何か言いたい事があるなら後ほど聞くが?」

「いえ、結構です」

 ウィンダムさんの質問に兵士達は全員首を横に振って断った。

「それなら良かった、では案内を頼もう。今度は不手際の無いように頼むよ」

 ウィンダムさんの最後の一言で一瞬空気が凍り付いたが燕尾服の男は気を取直し、俺たちを先導して歩き出した。


 燕尾服の男の案内で俺たちは外に出た。

 そこには馬車が二台止まっており、右に止まっている方にウィンダムさんとソリアさんそしてアリシアさんが乗り込んだ。残った俺たちは左の馬車に乗ることになった。

 俺たちが乗り込むと馬車は直ぐに動き出した。

 馬車の中からは外が見えない様になっていたので俺はスキル透視を使い前を走るウィンダムさんが乗った馬車を眺めていた。

 馬車が十分ほど走った頃、徐々に前の馬車と俺たちの乗る馬車の間が開き始め、数分後俺たちが乗った馬車が急に前を走る馬車とは違う方に進路を変えた。

「おい! この馬車どこに向かってる!」

 俺は御者がいる方に向かって大声で話しかけた。だが返事が帰ってこない。

 透視で御者がいることは分かっているので俺は馬車の壁を蹴って同じ質問を繰り返した。が何度聞いても返事が返ってこない。

 痺れを切らした俺は馬車の扉を開けて外から御者に話しかけようとした。しかし扉は鍵を掛けられたように固く、開かなかった。

「やられた。姫姉、少し派手にやるから後はお願い」

 俺は姫姉にそう言ってから扉を蹴って無理矢理開けた。

 扉を蹴破り俺は御者席に飛び移った。

「おい、この馬車は何処に向かってるんだ?」

 俺は御者の首に無限収納アイテムボックスから出した刀を突き付けながら話しかけた。

「そんなこと教えるかよ。お前みたいな騎士を馬鹿にする様な奴には特にな」

 御者がそう言った途端、何処からかともなく炎の玉が複数飛んできた。それらを無限収納アイテムボックスから魔銃を取り出して全て相殺した。

 だが魔法に目を向けていた隙に御者が御者席から飛び降りて逃げていた。

 そしてさっきの魔法で馬車を引く馬が驚いた末に暴れ出し、俺たちが乗る馬車は制御不能となった。

 このまま馬車に乗っていても事故を起こすだけなので俺は姫姉達に馬車から降りる様念話で伝え、姫姉達が馬車から飛び降りたのを確認してから自分も馬車から飛び降りた。

 

今のところまだ感染はしていないのでいつものペースで投稿します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ