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第71話 追い詰めすぎると暴挙に出る事がある

前回のあらすじ

メイドと襲撃者を尋問

やっと衛兵がやって来て襲われる

傑作のドラゴン像が壊された


「貴方はまさかウィンダム・ラグウェスト様なのですか?」

 俺に襲いかかって来た衛兵はウィンダムさんを見るなり顔色を変え、本人なのか確認を取りにきた。

「嗚呼、まさしく私がウィンダム・ラグウェストだがそれがどうかしたのか。それよりも君たちはいつまで私たちに剣を向けておくつもりだ?」

 ウィンダムさんが睨みを利かせてそう言うと衛兵達は急いで俺たちに向けていた剣を納刀した。


 全員が納刀したのを確認した後、ウィンダムさんは続けて衛兵達に話しかけた。

「それにしても私たちが襲われていたというのに遅い到着だな? もしや此奴らの仲間などということはあるまいな?」

「ち、違います。我々は賓客が男女二人組に襲われているという話を聞き直ぐに駆けつけました! そしてここに来てみればそこの怪しい男ともう一人の女が立っていたので捕らえようとしただけです」

 ウィンダムさんの疑いの眼差しを受けて衛兵は何故ここに来たのか、そして何をしたのかを語った。

「ほう、直ぐに駆けつけたか……。それはおかしいな、私たちが襲われてからかれこれ四半刻しはんとき以上はっているはずだが?」

 衛兵の言葉を聞き更に衛兵達への疑念が深まっていきウィンダムさんの眼は更に厳しくなった。

「そんなはずは……、私たちは確かに通報から数分でここに来ました」


「そうか、君がそう言うならそうなんだろうな、君の中では……。それでは何故彼らに剣を向けたかを聞いて良いか?」

「それは報告のあった男女の二人組だったので襲撃者だと判断して拘束をする為仕方なく」

「そうか。ユーマ様、彼はああ言っていますが本当ですか?」

 ウィンダムさんはわざわざ俺を様付けにして敬語まで使って話しかけて来た。それになんだか悪巧みをしている顔をしていたので話を合わせておくことにした。

「その説明では不十分だな。彼はいきなり剣を振りかぶって襲いかかって来たし、俺が被害者だと言ったのに一切取り合わず攻撃の手も緩めなかった」

「ユーマ様はこう言っているが、君たちは何か言いたい事はあるか?」

「ウィンダム様、そんな何処のどいつとも分からぬ男の言う事など嘘に決まっています!」

 ウィンダムさんに睨まれ続けた衛兵は焦り、俺の言葉が嘘だと決め付けかかってきた。

「ほう、ユーマ様を何処のどいつとも分からぬ男か……。君はこの国の騎士になって何年だ?」

「私めはこの国に仕えて十三年で、王国騎士軍おうこくきしぐん第四師団だいよんしだん第三大隊だいさんだいたい隊長を先日から任されています」

 大隊長は待ってましたとばかりに嬉々として話した。

「そうか、それなら君は今すぐに騎士を辞めるべきだな」

「何故ッ!? 私ほどこの国に尽くしているのに何故辞めろと仰るのですか?!」

 ウィンダムさんにいきなり騎士を辞めろと言われた大隊長は驚き、その理由をウィンダムさんに声を荒げながら問うた。

「何故も何もユーマ様の胸元を見れば一目瞭然だ」

「胸元……、ッ!! 何故貴様のような襲撃者がソレを付けている!?」

 大隊長は俺の胸元にある勲章を見て驚き、詰め寄って来た。

「何故って貰ったから付けてるだけだよ。つーか近寄るな、キモい」

 俺は今にも掴みかからんとする大隊長から距離を置きながら質問に答えた。

「そんな……筈は。ソレを最近貰ったのは勇者だけ。だがその勇者も元の世界に帰って行ったはず。このままでは私が国家反逆罪、そんなはず、そんなはず、そんなはずは無いッ! ソレは偽物で貴様も偽物だ! ウィンダム様も騙されているんだッ! この詐欺師め! この私が斬り伏せてやる!」

 精神的に追い詰められたのか大隊長は始めブツブツと呟きながらうつむき、急に大声で俺を偽物と叫んだ後、剣を抜き放ち俺に斬りかかって来た。

 咄嗟とっさに俺は後ろに飛び下がりながら剣撃を避けて無限収納アイテムボックスを使い服装を戦闘用に着替えて構えた。

「あぶねーな、殺す気かよ。なあウィンダムさん、こうなったら本気でやるからな。文句は受け付けない。スティール」

 俺はウィンダムさんに怨みを込めてそう言い大隊長の武器をスティールで取り上げ無限収納アイテムボックスに仕舞い、ソレに驚いている大隊長の顔面に拳を叩き込んだ。

 他の兵士達は一瞬の出来事について行けずその場で立ち尽くしていた。

「どうせここにいる奴等全員、国家反逆罪で処罰されるんだから俺が代わりに罰を与えるけど良いよな。さーてと、次は誰にしようかな」

 俺は立ち尽くしている兵士達をざっと眺めて他よりも装備のいい奴に向かってスティールを使い、そのまま丸腰状態の胴体に飛び蹴りをかました。

「い嫌だ! 俺たちは隊長の命令に従っただけだ! 許してくれ!」

 仲間が攻撃を受けて恐怖した兵士達は口々に自分達は悪くないと言い訳を言い始めた。

 俺はソレを聴きながら近くにいる兵士から順番に武器を奪い殴る蹴るを繰り返し、遂に逃げる者や剣を抜き反撃に出ようとする者も現れだした。

「抵抗するのは良いがその程度で俺を止められると思うなよ! それに逃げたところで罪は消えねーぞ!」

 俺は全員に聞こえるように叫びながら抵抗する者の武器を奪い、逃げる者の意識を刈り取っていった。

 十分もしない内に立てる者はいなくなっていた。

読んでくださりありがとうございます

皆様も体調に気をつけてください

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