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第61話 やっと解放された

前回のあらすじ

領主夫人と話す

バカ息子にも魔法で襲われる

この服動きにくい

「ファイアァボール!」

 馬鹿が放った手の平サイズの炎の玉は俺に向かってノロノロと近付いて来た。

 あまりにも遅いので何か他に罠があるのかと思い警戒しながら炎の玉を避けたが炎の玉はノロノロと進み続け、最終的に壁に当たり壁を少し焦がして消えた。

「えっと、コレだけ……?」

 俺は拍子抜けな結果に唖然としながら馬鹿に問いかけた。

「ッ! 貴様この僕をッ馬鹿にしているのか! 炎球よ我ガッ」

 馬鹿は逆上してファイアボールを撃とうと棒立ちで詠唱を始めたので、いつも通り無限収納アイテムボックスからミスリルを取り出し投げつけて詠唱を妨害した。

「ッ、貴様! 邪魔をするなァ! 炎ギュッ!」

 馬鹿は学習せずにまたしても棒立ちのまま詠唱を始め、俺はミスリルを無限収納アイテムボックスから取り出して投げつけて妨害した。

「お前、馬鹿だろ。次攻撃して来たら今度は……、分かってるよな」

 俺はミスリルをスキル形状変化でナイフに変えて馬鹿の足元に投げつけた。


「ひッ、き貴様ッこの僕に手を出して、タダで済むと思うなよ!」

 足元に飛んできたナイフに悲鳴を上げながらも虚勢を張って脅し返して来ながら、少しづつ扉の方へ後退りしていた。

「逃げるのか?」

 俺は無限収納アイテムボックスから魔銃デュアルガンド取り出し、馬鹿に向けて構えながら挑発した。

「ばっ馬鹿にするなァ! この僕が貴様如き相手に逃げるかッ!」

「ならそこで大人しくしてろ」

 俺はそう言って馬鹿から目を離してソリアさんの方に身体を向けた。


「さてソリアさん、悲しい結果になって残念です。普通に話し合いができると聞いていたんですが……。こうなってしまった以上、俺からは一切合切譲歩はしないと思って下さい」

「はい、それはもちろん理解しております」

 俺はわざときつめの口調でソリアさん達を脅すように釘を刺したがソリアさんは一切動揺を表に出さず、毅然な態度で領主や息子の非を認めた。

 ソリアさんが全面的に非を認めたので俺はこれ以上の話し合いは時間の無駄と判断して帰る事にした。

「それは何よりです、では俺は帰りますね。ああ、一つ言い忘れてました。雇うなら金に糸目を付けずにドラゴンクラスを殺せるのにした方がいいですよ。そっちの方が俺も楽しめそうだし」

 俺は帰る事を伝えるついでに分かり易く暗殺者を送って来いと挑発をかまして部屋を出た。


 俺が部屋を出て廊下を歩いていると後ろからアリシアさんが追いかけてきて、俺に話しかけてきた。

「待ってくれユーマ君、館の外まで私が送るから」

 俺はそれの真意をくみ取ってアリシアさんに外まで送って貰うことにした。

 道中俺たちの間には特に会話はなく、俺は館の外まで何事もなく出ることができた。

「私はこの後、夫人と話があるからここで。それでだな……、その今回は本当にすまなかった」

 館の門を出たところでアリシアさんは俺の前に立ち頭を下げて謝りだした。

「アリシアさん、頭を上げて下さい。と言うか謝られたところで俺は許すつもりも、手加減するつもりもありませんから無意味です」

 無情かもしれないが俺の怒りは当の昔に限度を超えている。ここで暴れない様に理性で耐えているのが奇跡なくらいだ。

 今はもうさっさと宿に戻って寝るか、街の外に行って魔物相手に暴れる事しか考えたくない。

 俺は後ろでまだ何か言っているアリシアさんを無視して取りあえず宿屋に向かった。



 ところ変わって……。

「母上、今すぐギルドに暗殺させましょう! あんな奴、寝込みを襲えば殺せますッ!」

 はぁこの子はなぜこうも馬鹿に育ったのでしょうか、頭が痛いです。

「貴方は本っ当に話を聞いていたのですか? 彼は私たちにSランク冒険者を殺せるくらいの暗殺者を送りこんで来いと挑発してきているのですよ」

「だからこそッ奴はドラゴンクラスの暗殺者なら殺されると自分で言っていたじゃないですかッ!」

 どこをどう解釈すればそのような思考に至るのか理解に苦しみます。

「たとえそうだとしてもわざわざ挑発をしている以上、彼だって対策を講じている筈です。それに彼は衛兵一部隊相手に一人も殺さずに倒しています、無論彼は無傷で」


 私がバカ息子に彼相手に暗殺者を仕向ける事がどれだけ無意味か理解させようと四苦八苦していると、アリシアが彼を門まで送り届け戻って来た。

「奥方様、ただいま戻りました」

「お疲れさま、それで彼の様子はどうだった?」

 私は無駄だと理解しながらも一縷の望みに掛けてアリシアに頼んだことの結果を聞いた。

「はい。彼は、たぶんですが限界だと思います。次に何かあれば、歯止めが利かないかもしれません。怒りが殺気となって滲み出てました」

 私はそれを聞き頭を抱えたくなったがそうもしていられない。もし本当に彼が暴れてしまったら、被害を考えるだけでも恐ろしい。

「それほどですか……、早急に対応しなければ手遅れになりそうですね」

「はい、それが良いと思われます」

 私とアリシアの意見は一致した。後は今も話の蚊帳の外にいるこのバカ息子とあの人の身動きを封じて何もできない様にしてから、このバカ達に簡易裁判で罪を確定させて投獄する。やることが多い。

「アリシア、最初の命令です。このバカ息子とあの人を拘束して逃がさないようにして下さい。私は簡易裁判の準備をします」

「了解しました」

 アリシアの返事を聞いたあと、私たちはそれぞれやるべきことに向けて動き出した。


まだまだ続きます

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