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第60話 親が馬鹿だと子もだいたいバカ

前回のあらすじ

二度寝失敗

イタズラ成功

枕と毛布を忘れてきた

「あれ、聞こえてないのかな?」

 俺は立ったまま反応を示さない青年と女性の目の前で手を振りながら声をかけた。

「おいユーマッ、バカなことをするな!」

 俺がそんなことをしているとアリシアさんに腕を掴まれ怒られた。

「申し訳ありません奥方様、次期領主様。この場はご容赦ください」

 アリシアさんが謝ってやっと二人は開けっ放しの口を閉じて再度俺を認識した。

 そして次期領主様と呼ばれた青年は自分に対して行われた事を理解し、顔を真っ赤に染めて怒り出した。

「貴様ッこの僕が次期領主だと知っての狼藉か! この場で叩っ斬ってやる!」

 青年は怒鳴り腰に携えた装飾ゴテゴテの剣を抜……けなかった。つばの装飾が服の装飾に引っかかって醜態を晒していた。


「っくく、それで俺に話があるって聞いたんですけど?」

 俺は笑いを堪えながら醜態しゅうたいを晒している青年を直視しないように奥方様と呼ばれた女性へ話しかけた。

「あっはい、そうです。話があって貴方を呼びました。そういえば自己紹介がまだでしたね。私はこの街の領主の妻でソリア・グアウェストです。この度は夫と息子が無礼を働き申し訳ありません」

 奥方様と呼ばれていた女性のソリアさんは自己紹介をした後、俺に向かって頭を下げてきた。


「頭を上げてください。領主夫人であるあなたが頭を下げても何の意味もないですから」

 まさか頭を下げてくるとは思わず俺は少し狼狽うろたえたが、ここで何か言葉を返さないと相手に主導権を握られるかもしれないので嫌味を加えながら返事をした。

「それは……、分かっています。ですがここで謝罪をしなければそれこそ貴族の責務の放棄になりません。なので受け入れられなくてもいいので謝らせてください」

 そう言って領主夫人のソリアさんは頭を下げ続けたが、醜態を晒した青年が話に割って入ってきた。

「母上、そんな奴に頭を下げる必要はありません! そんな奴、無礼打ちで処罰してしまえばいいのです!」

 醜態を晒した青年はまさかの俺を無礼打ちで処罰すれば良いと言ってきた。


「はぁ、あなたは何故こうも周りが見えないのですか。彼の服をよく見なさい」

 そんな馬鹿な発言を聞いてソリアさんはため息を吐き、青年に俺の服を良く見るように指示した。

 青年は俺の頭からつま先までじっくり観察してから少し考えてから口を開いた。

「身形は良いですがこんな顔の奴は見たことありません。どこの家の者か知りませんが我が家よりも上ではないでしょう。もし家の者が何か言って来ても我が家と本気で事を構えれば勝つのは我が家です。ですのでこの場で処罰しても問題ありません母上」

 青年は俺を観察してもなお、その程度しか考えが至っていなかった。


「残念です。本当にそう思っているならあなたは次期領主失格です。出て行きなさい」

 ソリアさんは青年から馬鹿な発言しか出てこなかったことで頭を抱えながら、青年に退室するように指示をした。

「何故ですか母上! 何が間違っているというのですか!」

 ソリアさんに出て行けと言われ青年は憤慨してソリアさんに食って掛かった。

「はぁ、言われないとわからないのですか。まず彼の服装ですが王家御用達の店の品です」

「そんな、馬鹿な! あそこの店は我が家でも手が出しにくいくらい高級なのにソイツなんかが買えるはずがない!」

 ソリアさんが俺が着ている服が王家御用達の店の服だと言い青年はあり得ないと反論した。


「買えるか買えないかは問題ではありません。現に彼は王室御用達の店の服を着ている。それに彼の胸元に付いている勲章くんしょうを見なさい」

 ソリアさんは青年の反論を一蹴して、俺の胸元で主張するように存在感を放つドラゴンを象った勲章を見るように青年に言った。

「うーん、ただのドラゴンの飾りじゃないですか? 良くできているとは思いますがそれが何だというのです」

 馬鹿は飛竜討伐勲章を見てもコレが何かも理解せず、ただの飾りだと言った。言ってしまった。

「あなたはなんてことを……。彼の胸に付いているのは飛竜討伐勲章です! 国が功労者に送る栄誉ある勲章を飾りなどと言うなんて、国家反逆罪ですっ! アリシア、その子を捕まえなさい!」

 青年のあまりにも無知な発言を聞いたソリアさんはまたしても頭を抱える羽目になり、青年を射殺すように睨みつけながら青年を怒鳴りつけアリシアさんに青年を捕らえる様に命令した。

 アリシアさんはソリアさんの命令に従い青年を捕らえようと近づいて行こうとしたがそれよりも先に青年が動いた。

「母上ッ何を馬鹿なことを言っているんですか! こんな冒険者風情が飛竜討伐勲章を持っている筈がありませんッ! それにもしソレが本物だとしても、たかが冒険者の一人や二人殺したところで問題ありません。冒険者などいくらでも替わりがいるではありませんか!」

 青年は冒険者の全てを敵に回すような発言をしながらアリシアさんから距離を取り、俺やソリアさんからも離れたところで魔法の詠唱を始めた。

「喰らえッ炎球よ我が敵を敵を焼け、ファイアァボォールゥ!!」


このペースで余裕を持って書いていきます

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