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第58話 やっと一眠りつけそう

前回のあらすじ

領主の謝罪を断った

領主逆ギレして魔法を使う

領主をボコボコにする


「ひぃぃ! やめてくれ! まだ死にたくないッ!」

 俺が撃った不可視の弾丸で目の前の扉が壊され領主は大声で悲鳴を上げた。

 扉が壊れたためか領主の悲鳴は館に響き渡ったらしく廊下から何人もの駆ける足音が聞こえてきた。

「どうしましたか領主様!」

 一番に駆けつけたのは全身鎧に包まれた衛兵だった。

「コレは……、敵襲ッ! 敵アガッ」

 駆けつけた衛兵は部屋の中を見て叫ぼうとした。

 すかさず俺は叫ばれないように衛兵にもエアバレットをフルフェイスの兜に撃ち込んだが少しだけ叫ばれてしまった。

 撃ち込んだエアバレットは衛兵の兜を凹ませ、その衝撃で衛兵は後ろに仰け反りながら倒れた。


 駆け込んできた衛兵を気絶させたはいいが、後々の事を考えてアリシアさんを叩き起こすことにした。

「流石にこの館の衛兵全員は一人で相手するには面倒だしな……。アリシアさん再起動!」

 俺は呆然としているアリシアさんの頬を思いっきり平手打ちし、気を取り戻してもらった。

「つぅっ、あれ私は一体……。コレは?!」

 アリシアさんは扉が壊れたり衛兵が倒れている惨状を見て一瞬思考を停止させていたがすぐに館に響く声で叫んだ。


「賊は私、騎士団長のアリシアが捕らえたッ! 館の警護隊長は直ちに執務室まで来い! 賊は私、騎士団長のアリシアが捕らえたッ! 館の警護隊長は直ちに執務室まで来い!」

 アリシアさんが叫ぶとこちらに向かっていた多数の足音は減り、数人だけがこの部屋にやってきた。

「騎士団長、警護隊長のグラントと以下三名参上致しました。それでこの惨状は一体……」

 やってきた警護隊長は執務室を見回してから状況の説明をアリシアさんに求めた。


「どこから話したものか……」

 アリシアさんはどう説明したものかと悩んでいるようだったので、俺は思考を戦闘から警戒に変更して話に割って入る事にした。

「そこで倒れてる惨めな男が俺に攻撃魔法を使ってきたから俺が止めてやったんだよ」

「それは一体どういう事だ。貴様が領主様を襲ったのか」

 俺が話しかけると警護隊長は腰の剣に手を掛けて俺を警戒した様子でそう聞き返してきた。

「ハァ、その耳は飾りかよ。俺が、領主に襲われたの。ったくどういう教育してんだよ」

 俺が言ったことを正しく理解したのか、警護隊長は腰の剣を抜剣した。


「貴様ッ領主様を愚弄するか! この場で罰してやる!」

 警護隊長は抜きはなった剣で俺に斬り掛かろうと振り下ろしたが、その間にアリシアさんが飛び込んできて警護隊長は剣を止めた。

「騎士団長ッ何故邪魔をするのですか! 奴は領主様を侮辱したのですよ!」

「何故邪魔をするか、か。それは彼の言い分が正しいからだよ。警護隊長、このままでは君も領主様と一緒に罰しなくてはいけなくなるかも知れない。そうなりたくなければそこに倒れている領主様を別室に連れて行って見張っていてはくれないか?」

 警護隊長はアリシアさんの話を聞いて悩んだが、渋々といった様子で剣を収めた。

「分かりました、命令に従います。ですがそれはこの場で詳細を聞いてからです」

 警護隊長の要求に応えてアリシアさんは何があったかを細かく説明した。


「そんな、領主様がそんなことを……。騎士団長、それは事実なのですか?」

 警護隊長はアリシアさんの説明を聞いてもまだ半信半疑なのかそう聞き返していた。

「残念ながら事実です」

「はぁぁ。それでこの後どうするんですか騎士団長?」

アリシアさんのその返答を聞いて警護隊長は大きな溜息を吐いてから、今後について相談しだした。

「どうもこうも彼が騎士団と大立回りをした事は大勢に見られている。他にも彼が暗殺者に狙われていたことや、それを指示したのが誰かもその時に仄めかして言ったらしい。しかもそれを仄めかした瞬間騎士団が襲い掛かったらしい」


 俺を蚊帳の外に追いやってアリシアさんと警護隊長が話しているので二人に聞こえるように独り言を言ってみた。

「俺が暗殺者に襲われたの、アリシアさんに紹介された宿屋だったなぁ」

「ユーマ君、何が望みなんだ」

 俺の独り言に反応してアリシアさんが俺の望みを聞いてきた。

「何が望みかと聞かれたらそれは一つ、枕を高くして寝たい」

 俺は聞かれたまま今最も欲しいものをアリシアさんに告げた。

「それはあれか。今すぐに領主様を罰して欲しいって事なのか?」

「うん、さっさとゴミを処刑して俺を自由にして欲しいって言ってる。ぶっちゃけ俺って逃げようと思えば逃げれるし、あと徹夜で眠い」

 俺は本音で今思っていることを伝えた。


「それはまだ無理だ。だが早急に解決するから、取り敢えずそこのソファで静かに寝ててくれ。私が守るから」

 俺の要望を聞いたアリシアさんは頭を抱えて悩みながらも俺にソファで寝ることを許してくれた。

「それなら寝させてもらいます」

 俺はアリシアさんに一言言ってすぐさまソファにダイブし、無限収納アイテムボックスから枕と毛布を取り出した。

「それじゃ何かあったら起こして下さい。あと襲わないでくださいね」

 俺はアリシアさんたちにそう釘を刺してから大きな欠伸をして目を閉じた。

 

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