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第55話 領主の館に突入

前回のあらすじ

ミスリルでドラゴン像を作った

アリシアさんに正体バレした

ドラゴン像は食堂に置きっぱです

「うぅ、どうしよう。異世界勇者だったなんて……。これが他の貴族、いや王族にバレたら伯父様にも迷惑が掛かってしまう」

 アリシアさんは頭を抱えながら独り言のようにブツブツと呟いて苦悩している。

 放っておこうかとも思ったがどうせ後で面倒になりそうなのが目に見えていたのでアリシアさんに話しかけた。

「アリシアさん俺が言うのも何ですが、元気出して下さい。まだこの事はギルドマスターとアリシアさんしか知りませんから。アリシアさんたちが俺たちの正体を内緒にして、今回の件を早急に解決すればもしかしたらバレないかも……」

 馬鹿な貴族供なら騙せるかもしれない。


「それは出来ません、私は騎士です。騎士が嘘を吐くなど言語道断、騎士道精神に反します。こうなったら直接領主様に会いに行きましょう。そこで貴方方の正体を知ってもらいましょう。そうと決まれば行動、さあ行きますよ」

 アリシアさんはそう言うとまだグロッキー状態の衛兵たちにテキパキと命令を出してから俺の手を取り歩き出した。


 俺は衆人監視の中騎士であるアリシアさんに手を引かれ、無駄に目立ちながら領主の館に辿り着いた。館というにはサイズ感が違い過ぎる。

 というかまんま城だった。

「騎士団団長のアリシアだ。事件に進展があったので領主様に報告しにきた」

 アリシアさんが門番にそう話しかけると門番は敬礼した後、アリシアさんに手を引かれている俺に視線を向けて来た。

「あぁ、彼は今回の件の関係者だ。領主様にも直接聞いて貰いたい情報を持っているので連れて来た。責任は私が持つから通してくれ」

 アリシアさんが説明すると門番たちは渋々といった感じで通してくれた。


 門を抜けて館に入ってから数分ほど階段を上ったり歩いたりしてやっと一つの部屋の前にやって来た。

「この先が領主様の執務室だ。頼むから問題は起こさないでくれよ」

 アリシアさんは俺に釘を刺して来たが俺としては喧嘩を売られているので一切聞くつもりは無かった。


 俺は用心のためユニークスキル透視を使って部屋の中を覗き、怪しい物がないか探った。

 中には領主っぽい男が机に向かって何かを書いているのと側に執事と思しき男が立っているくらいで他には誰もおらず、部屋の中も書類が積み重なっていたりするが怪しい道具などは見当たらない。

 俺が無言で突っ立て覗きをしていると緊張していると思ったのか、アリシアさんが話しかけて来た。


「安心しろ、領主様は悪い人ではない。ちゃんと話せば理解してくれるさ。騎士団団長アリシアです。事件について進展がありましたので報告に上がりました」

 アリシアさんは俺を励ましてから執務室の扉をノックしてから用件を告げ、返事が返ってきてから扉を開けた。


 執務室に入ると透視で見た通り領主っぽい男が椅子に座って机に向かっており、執事らしき人は紅茶を入れ始めていた。

「団長、進展があったらしいな。まぁ立ち話もなんだ、座ってくれ」

 俺は領主っぽい男に言われた通り高級そうなソファに座った。

 俺が座った後アリシアさんも俺の隣に座り、領主っぽい男は対面のソファに座った。

 領主っぽい男が座ると同時、執事らしき人が全員の前に紅茶を音も無く置いていった。

 その動作には一切の無駄は無く俺たちのちょうど良い所に置いていった。


「さて話を聞きたい所だが、君が連れて来た彼は誰かな?」

 領主っぽい男は俺を横目に見ながらアリシアさんに話しかけた。

「彼は今回の件の関係者ですよ。くだんのDランク冒険者です」

 アリシアさんに紹介されたので俺からも名乗った。

「どうも、Dランク冒険者のユーマです。短い間だけですが宜しくお願いします」

「そうか、君がギルドマスターや受付嬢と揉めた冒険者か。騎士団長、彼を今すぐ牢に入れなさい。領主命令だ」

 俺が自己紹介をすると領主は顔色を変えてアリシアさんに俺を捕まえるように命令した。


「待ってください領主様、彼は被害者ですよ。そんな彼を捕まえるのは騎士道に反します」

 アリシアさんはいきなりの命令に驚きながらも俺を庇うように説明した。

「そんな事は関係ない。ソイツは我が友人のギルドマスターを脅してでもいるんだろう。そうでもなければたかがDランク冒険者如きに彼がここまでの事をする筈がない」

 領主はそう言って俺を睨みつけて来た。


 というかギルドマスター俺たちの事領主に話したりしてないみたいだな。

 俺たちが隠しているのを知ってか変な気を回したんだろうけどこの場合逆効果になっているな。

 ない事を好き放題言われて少しイラッとして来た。コイツの話は聞くに耐えないくらいの根拠のない憶測でしか無い。

 まだ詐欺師の方がマシな嘘を吐いてくる。


「あの、別に俺はギルドマスターを脅したりはしてないですよ。逆に脅されたりしてるのは俺の方ですし。どっかの誰かさんは柄の悪い冒険者と結託して俺から金を脅し取ろうとするし、他の誰かさんも暗殺者に依頼したりするし、それが失敗すれば今度は箝口令と衛兵を使って殺しにくるしね」

 俺はやられた事を領主を馬鹿にするように話した。

 この後領主がどういう行動、若しくはどういう発言をするか見ものだな。

これからも10日ペースで上げたい(切望)


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