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第54話 正体バレは面倒事の始まり

前回のあらすじ

最初に襲い掛かってきたのが分隊長だった

話合いをしていたのが副隊長だった

仲間外れにされた


 仲間外れにされてしまった俺は暇潰しに無限収納アイテムボックスからミスリルゴーレムの残骸を取り出して、アリシアさんがビックリしそうな物でも作ろうとスキル形状変化を使った。


 ミスリルゴーレムの脚部だった物は徐々に形を変え始めた。

 長方形っぽい形だったそれはだんだん小さくなっていき八つの球体に分かれた。

 八つの球体の中でも一番大きな球体を手に取って尻尾の生えた胴体に作り変えた。

 次に残った球体の中から大きいのを二つ選んで胴体を支えれるくらいの太い脚を作る。

 そしたら今度は四足歩行になった時に折れない程度の太さを持った腕を作り上げた。

 腕が出来たらあまり重くならない様に気を付けながらでも胴体と同じくらい大きい翼を作った。

 後は残った球体で頭を作り上げたいがここがどうにも上手くいかない。


 何か無いかと無限収納アイテムボックスを漁っているとスタンピード後に貰った勲章を見つけた。

「そう言えばこんなの貰ったな。貰って速攻で無限収納アイテムボックスに突っ込んだからよく見てなかったけど、これってドラゴンの顔をかたどってたのか……。とりあえずこれでも見ながら頭作ってみるか」


 俺は飛竜討伐勲章を見ながら細部までこだわってリアルなドラゴンの顔を完成させた。

 あとはこれらのパーツを全部くっ付けてちゃんと自立させれれば完全完成する。

 俺は早速パーツをくっ付けたり、二本足で自立するように胴体や腕の中を空洞にしたりしてどうにか完成させた。

「出来たぁ!」

 俺は完成に喜び大声で叫んだ。


 俺の大声でアリシアさんと副隊長は何事かとコッチを見た。

 そして俺の側に俺と同じくらいの大きさのドラゴンがいることに驚き目を見開いていた。

「ド、ドラゴン! おいお前これは何だッ?!」

 アリシアさんは俺に問いながらも抜剣していつでも斬り掛かれる体制をとった。

 副隊長は悲鳴を上げながら腰を抜かして後退りしていたが……。


「ププッ、何ってただのミスリルで作ったドラゴン像ですよ」

 俺はアリシアたちの反応に笑いを噛み殺しながらドラゴン像に触れて答えた。

「ドラゴン像……、なら動いたりはしないんだな」

「流石に動きませんよ」

 俺が笑いながら答えるとアリシアさんはやっと剣を収め肩の力を抜いた。

 それからアリシアさんは近づいてきてリアルなドラゴン像をじっくり観察し始めた。

「それにしてもどうやったらこんなに本物に近い顔が出来るんだ? それにこの腕の結合部、繋ぎ目が一切見当たらない」

 アリシアさんはドラゴン像の顔や腕と胴体の結合部を観察しながらブツブツと頭の中の考えを声に出していた。

 アリシアさんが俺のドラゴン像を観察しながら疑問を浮かべている姿を見て俺は解説することにした。


「そこに気付くとはお目が高い、それでは解説しましょう。まず腕や脚などの結合部ですが、スキル形状変化を使っているのでほぼ結合部は見えません。このスキル形状変化と言うのは俺のユニークで、俺が装備品だと認識出来る物の形状を作り変えることが出来るスキルです。それを使って結合部などの上から鱗を彫り込んでいるので普通に見たくらいでは分からなくなっているんです。次に頭部ですが、これはこの間王都が飛竜や地竜に襲われ俺が飛竜を一人で倒した際、王女様から頂いたこの飛竜討伐勲章を見ながら作りました。それなりにはいい仕上がりになったと自負しています」

 俺はオタク特有スキル『好きなものについて語ってしまう』を発動してしまい、アリシアさんに自分のスキルなど余計な事までドヤ顔で飛竜討伐勲章を見せつけながら喋ってしまった。


「なるほど、だから繋ぎ目が一切見当たらないのか……。なあ今王都で飛竜を一人で倒したと言っていたがどう言う事だ? 私が聞いた話では飛竜を倒したのは異世界から召喚した勇者の筈だが。しかも彼らは先代の勇者様が連れ帰ったと聞いているんだが?」

 アリシアさんが物凄く訝しんだ目で俺と飛竜討伐勲章を見つめている。

 俺は咄嗟に飛竜討伐勲章を無限収納アイテムボックスの中にしまい込んだ。

「いや今のは違くて……、そうちょうど王都で飛竜討伐の現場を見ていたんですよ。さっきの勲章は俺の祖先が残した自慢の品でして」

 俺は必死に誤魔化そうとテキトーな事を言ったが誤魔化そうとすればするほどアリシアさんの視線が鋭くなっていく。


「そうか、ならさっきの勲章を私に見せてみろ」

 アリシアさんが痺れを切らしてそう言ってきた。

 俺はアリシアさんから注がれる視線に屈し、無限収納アイテムボックスから飛竜討伐勲章を取り出して渡した。

「ふむ、祖先から受け継いだ遺品にしては新しいな。殆ど傷も無いし何より裏に彫られた日付が最近だな。それも王都でのスタンピード後の日付だ。何か言う事は?」

 万事休す、これで俺たちが召喚勇者だとバレてしまった。仕方がないので本当の事を話す事にした。

「はい、俺と姫姉が異世界召喚された勇者です。異世界に帰ってからあの次元の裂け目からこっちにまた来てしまいました」

 アリシアさんはそれを聞くと溜息を吐いた後、頭を抱えて誰が見ても分かるくらいに苦悩し始めた。





どうにか10日ペースで上げれました

これからもこのペースで上げていけたら上げます

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