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第49話 悲しい身の上話は同情的になりやすい

前回のあらすじ

襲撃者から色々聞いた


「さて、この二人どうしよっか?」

 聞きたい事を聞き終えた姫姉は俺の方に振り返り、襲撃者の処遇について聞いてきた。

「どうするも何も、コイツら衛兵に突き出しても領主に揉み消されて殺されるのがオチだろ」

 暗殺者を雇って殺しに来るような屑なんだからどうせ何も解決しないだろう。

 こういう手合いのやる事は昔から決まっている。

「それもそうだよね」

 俺と姫姉は襲撃者の二人をどうするか悩んでいると、その当人が話に割り込んできた。

「あの〜出来れば俺たちを見逃して貰えたりはしませんかね?」

「「それは無いっ!」」

 俺たちはふざけた事を言う襲撃者の言葉を一蹴した。

「そもそも人殺しを逃す訳がないでしょ!」

 更に姫姉は殺気を放ちながら怒鳴った。

「もう怒った! コイツはサッサと衛兵に突き出す。コッチの娘はコイツがどうなるか観察してから決める。これで良いわよね」

 有無を言わせない気迫で捲し立てられて俺は頷く以外の行動は取れなかった。


「そうと決まったらコッチの娘の隷属の首輪外しちゃうね」

 今とてつもなく違法な事をやるって姫姉が宣言した気がする。

「ちょっとだけ待って、今首輪外すって言った?」

「そうよ」

 確認のために聞いたが本気でやるみたいだった。

「おい、あんたはバカかっ! 隷属の首輪がそう簡単に外せる訳がないだろ! それは主人の血と奴隷商人の隷属魔法がないと命令の書き換えも解除も出来ないぞ! それに無理に外そうとすれば奴隷は死ぬぞ!」

 襲撃者が親切に隷属の首輪について喋ってくれているが、そんな事は鑑定で俺も姫姉も知っている。それでも姫姉がやるって言う事は何か方法があるんだろう。

 もし失敗してスプラッタになってもコイツらは暗殺者だし最悪隠蔽するから問題はないハズ……。


「それじゃ始めるよ。まずはこの娘に付与強化エンチャントで魔法耐性と呪い耐性と自然治癒力を上げます。そして無限収納アイテムボックスから大きめの魔石と適当な金属と聖水を取り出してこの娘の血と一緒に創造クリエイトします。なんて事でしょう、この娘専用の身代わりの指輪が出来ました! これをこの娘に装備させて、あとは優君が首輪をスティールすれば良いよ」

 まさかの最後の最後に俺に手を下せと。滅茶苦茶責任重大なんだが……。

「大丈夫なのか? マジで」

 責任重大過ぎるので姫姉に確認のため聞いてみた。

「さぁ? 一応死なないとは思うけど保険は掛けまくってるから大丈夫でしょ」

 そう言われると全然大丈夫そうじゃないんですが……。

 どうしようか悩んでいると姫姉からさっさとやれと睨まれた。

 

 あれこれ悩んだが仕方がない、死んだら死んだ時だ。その時はできれば俺を恨まないでください。

「えぇいままよ、スティール」

 襲撃者の首輪が光ったと思えば俺の手にそのまま首輪が握られていた。一応は成功はしたみたいだった。

 これであの娘が生きていれば完全成功なんだが……。

「生きてる?」

 声を掛けてみたが返事がない。だが悲鳴を上げるわけでも、崩れ落ちるわけでもなく襲撃者の娘はゆっくりとだが手を首元に近づけていった。そして自分の首に首輪が無いことを確認すると泣き出してしまった。

 彼女の指に付けていた指輪は彼女が泣き出したと同時にボロボロと砕け散った。

 泣き出してしまった襲撃者の娘を姫姉が抱きしめ頭を撫でて落ち着かせようとしていた。


「おいおい、嘘だろ。そんな簡単に隷属の首輪が外せるのかよ……」

 もう一人の襲撃者が有り得ないものを見たかのように驚き呆然としていた。

 とりあえずは静かなので放っておく。

 手持ち無沙汰になった俺は手に持っている首輪に鑑定をしてみた。


《隷属の首輪(故障)》

隷属魔法を付与した首輪

装着者の魔力を吸い隷属魔法が維持される

主人の命令に逆らうと設定した罰が下される

装着者に異常が発生しているため本来の性能は発揮されません

現在の装着者は¥#$=

現在の主人はユーマ ナギタキ


 スティールで盗んだせいで壊れてしまったみたいだ。

 もしかしたら使えるかも知れないし無限収納アイテムボックスに突っ込んでおく。

 俺が首輪を鑑定している間に姫姉が元奴隷の襲撃者を泣き止ませたみたいだった。

「優君、この娘から話聞くんだけど優君はどうする?」

「聞くよ」

 俺はそう返事をし、元奴隷の襲撃者の話を静かに聞いた。


 彼女は元々この国とは違う他国の村で両親と暮らしていたが、ある日村を襲われ抵抗虚しく捕まって無理矢理奴隷に落とされたらしい。

 それからスキルをチェックされ、その中に

ユニークスキルキャットウォークがあったため暗殺者に買われた。

 その後暗殺術を一から叩き込まれ半年で暗殺者として仕事を始め、それから半年で今俺たちに捕まってしまったみたいだった。


「そんなことがあったのね……。もう大丈夫よ。あなたは私が保護する」

 姫姉が彼女に同情したのかとんでもないことを言い出した。

「それはちょっと辞めた方がいいと思う。彼女が助かりたいが為に嘘を吐いている可能性もある訳だし」

 俺は姫姉の暴走を止める為にそう言うと今度は元奴隷の襲撃者が話しかけてきた。

「そうですよね、私は人殺しです。私の首輪を外してくれるような優しい人を殺そうとしたんです。覚悟は出来てます」

 死んだら死んだでいいかなと思いながらやったのに優しい人とか言われると少しだけ罪悪感がある。

「わかった、わかったから。とりあえず君のことは保留。殺したりはしないから落ち着いて」

 とりあえず元奴隷の襲撃者を宥めながら、窓から差し込む陽の光を見て朝が来たこと知った。


できる限り二ヶ月以内には書くと思います。時間があれば……

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