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第48話 詰問タイム(拷問じゃないよ)

前回あらすじ

襲撃者を返り討ちにして薬漬け


「マジで眠い……。もう寝たい」

 俺はもう一人の襲撃者に聞こえるように呟いてみたが眉一つ動かさない。

 感情を表に出さないように訓練していてこの状況下でもビクともしないのであれば裏社会では相当な凄腕なはず。

 それなら情報も持っているはずなんだが、どうしたものか。

 そうこうしている内に姫姉の詰問リンチがひと段落したみたいだった。


「優君、アレ潰れたから起きるまで見張っといて。今度はコッチのとお話しするから」

 姫姉の言葉を聞いて向こうを見れば詰問を受けていた襲撃者は泡を吹き、時折ビクビクと痙攣していた。

「りょ、了解。一応聞くけどアレ、死んでないよね」

「私がそんなヘマするわけ無いでしょ」

 満面の笑みで俺の質問に答えるが、どう見てもその笑顔は悪役の笑顔だった。

「さいですか」

 俺は今から詰問を受けるであろう襲撃者の無事を祈りながら気絶している襲撃者の元に移動した。


 俺が死に体の襲撃者がポックリ逝かない様に様子を見ていると、もう一人の襲撃者を詰問していた姫姉がいきなり大声で俺を呼んだ。

「優君! ちょっとコッチに来なさい!」

 なんか怒られる様な事したかなと思いながらも呼ばれるまま姫姉の元に向かった。

 姫姉の近くに来てやっとなんで怒っているのかが分かった。

 そういえばコッチの襲撃者が猫獣人の女の子で奴隷だって事言うの忘れてた。

「すいませんでした! 眠くて普通に忘れてました」

 完全に俺の落ち度なので即座に土下座して謝った。

「はぁ、今度からはちゃんとしてよね。それにしてもこの娘が奴隷か。奴隷だと主人の命令で話せない様にしているはずだし、やっぱり向こうの寝てる奴に聞くしかないのかな」

 姫姉は未だに気絶している襲撃者を見ながら頭を抱えていた。


 少しして姫姉は気絶してる襲撃者に近づくと無限収納アイテムボックスから水を取り出して襲撃者の顔にぶち撒けた。

「ゲホッゴホッ、何しやがる!」

 水をぶち撒けられた襲撃者はさっきまで気絶していたとは思えない速度で反応した。

「やっぱり起きてたんだね。これならもう少し話が聞けそう」

 姫姉が邪悪な笑いを浮かべ、無限収納アイテムボックスから小瓶を数本出しながら襲撃者に近づいた。

「や、やめろ! 分かった、話す。話すから! それはやめてくれ!」

 姫姉が小瓶を数本出して近づくと襲撃者は

青い顔をして怯え出した。

「やめてくれ? 言葉遣いがなってないんじゃないかな」

 姫姉は瓶の蓋を開け、襲撃者の顔に近づけた。

「お、お願いします! なんでも話します。だからそれだけは、それだけは。やめてください」

 襲撃者のその言葉を聞いて姫姉は小瓶の蓋を閉め、襲撃者に質問を始めた。


「それじゃあ簡潔に『誰』の依頼で『目的』は何か答えなさい」

 姫姉に睨まれながら質問を受けた襲撃者は少しの間悩み、だが姫姉から注がれる視線に身体を震わせて口を開いた。

「お、俺は組織の幹部から『空からゴブリン退治の依頼だ』と聞いただけだ」

 暗殺者同士の符号かなんかだと思うが、ゴブリンが俺たちを指しているのは分かった。

「その『空』とか『ゴブリン』はどう言う意味なのかな」

 怒りのオーラを放ちながら拳を構えた姫姉が襲撃者を問い詰めた。

「ひぃ、『空』は貴族を表します。『ゴブリン』はDランク冒険者の事を指しています」

 襲撃者の話を聞いてイラッとはしたが、よくよく考えればあれだけの事をしておきながらまだゴブリン扱いなのは変な話だ。

 しょうもない理由かも知れないが、一応聞いておいた方が良い気がして襲撃者に質問した。


「俺から一つ聞きたいんだが、あんな事をやらかした俺たちが何故ゴブリンなんだ?」

 俺の質問に対して襲撃者は何故そんな事を聞くのかという表情で答えた。

「お前たちがギルドで問題を起こしたのは知っているし、英雄の孫とか言われている事も知っている。だがそいつらは英雄が迎えに来て帰ったはず。だから上もお前たちは他人の空似って判断を下したんだ」

 なるほど、確かに帰ったはずの俺たちがこんな辺境に来るなんて普通なら考えないか。


 だがギルドマスターには俺たちが次元の裂け目から来たことは話したはず。

「そうか……。でもギルドマスターは俺たちが本人だって知ってるし、この通りギルドカードも持っている。それにこの事は冒険者ギルドの受付嬢もペラペラ喋っていたぞ」

 確か問題を起こした翌日冒険者ギルドに行ったらギルド内がお通夜状態で、受付嬢に話を聞くと俺たちが英雄の孫とか色々喋ってくれた。

 よく考えたらあの受付嬢、個人情報ペラペラ喋ってたな。あの時はやらかした事で焦ってて気づかなかったけどコレって問題じゃ……。

 まぁ今は置いておこう。


「それで私たちの事を過小評価していたのは分かったわ。で、その依頼主の『空』はこの街の領主って事で良いのかしら?」

 俺が思い出し怒りをしていると姫姉が話を先に進めていた。

「はい、多分ですが『空』は領主です。でも証拠は残って無いハズです」

 襲撃者は震えながら依頼主の正体と聞いていない証拠についても話した。

「証拠が処分されている事は予想通りだから気にして無いわよ」

 さて犯人は分かったがこれからどうしたものか……。

 爺さんの迎えが来る前に解決しときたいんだがな。


マイペースに書いているので首をろくろ首にして待って下さい。

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