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第46話 腹が減ると考えがまとまりません

前回のあらすじ

ギルマスと受付嬢の処遇が決まった。

時間遡行の魔法があればアニメを見に戻れるのに

「どう言うことよ! なんであんな奴らが無罪で解放されるのよ!」

 宿の部屋に戻って直ぐに姫姉が殺気を放ちながら怒鳴りだした。

 姫姉の言い分は最もだがそれだけではどうにもならないのが政治の世界だ。今回の場合は少しおかしい部分はあるが……。


「仕方ないだろ、この街では領主の言うことが絶対なんだから。それを覆すにはそれこそ王様とかじゃないと……。そういえば今はお姫様が代行だったけ?」

 あれからそんなに時間は経ってないはずだから、まだお姫様が政治に携わっているはずだよなと思いながら姫姉を宥めた。


「こうなったらあのお姫様を連れて来てどうにかして貰うしか……、いやいっそ私達で領主か受付嬢でもボコボコにしてお姫様が向こうから来ざるを得ない状況に持ち込んだ方が楽かな……。でもそれだけじゃ足りないかもだから王都にも見えるくらいのデカイ花火でも打ち上げようかな……」


 だんだん姫姉が恐ろしい事を言い出した。

 このままだと本当にやらかしかねないのでどうにかして止めないと。

 俺が頭の中で策を巡らしているとドアが外からノックされた。


「すいませんアリスです。お兄さんとお姉さんはいますか?」

 ノックをしたのは看板娘のアリスちゃんだった。

「いるよ、アリスちゃん」

「良かった、夕食の時間になっても降りてこないから心配しましたよ。ご飯食べるなら降りて来てくださいね」

「もうそんな時間だったのか、教えてくれてありがとうアリスちゃん」


 俺が返事を返すとアリスちゃんはどういたしましてと言いドアの前から離れて行った。

 ちょうどいいか、腹が減った状態で考えても良いことはないし姫姉を連れて腹ごしらえに行こう。

「姫姉、アリスちゃんも言ってたしとりあえずご飯でも食べに行こ」

「いやそれよりもドラゴンでも捕まえた方が早いかも……、どうしたの優君?」

 なんかもの凄い不吉なことを呟いていた気がするが聞かなかったことにしておこう。

「いやだから、アリスちゃんがご飯だって呼んでたから食べに行こうって」

「あれもうそんな時間だったけ。まぁいいわ、それなら早く行きましょ」

 ご飯と聞いて少しだけ機嫌が良くなった姫姉と共に食堂にまでやってきた。


 食堂は人でごった返し、殆ど席に空きがなかった。

 キョロキョロと席を探していると一緒に漂流して来た田中さんが手招きをしていた。

 俺たちは田中さんのお陰で席に着いて夕食を食べることができた。

 夕食を食べ終えた後、俺と姫姉は部屋に戻り眠りに就いた。



暗がりの何処かで二人の人間はヒソヒソと話していた。

「対象は眠ったか?」

「ああ、部屋からは規則正しい寝息しか聞こえてこないぜ」

 一人の人間が言葉少なに問いかけるともう一人の人間は余計な情報を付け足して答えた。

「余計なことは言うな」

「へいへい。でもあんなガキ二人、わざわざ俺たちがヤる必要があるのか?」

「だから余計なことは言うな。俺たちは上の命令に従っておけば良いんだ」

「わーたっよ、でいつやるんだ?」

「周囲の客が寝静まってからだ」

「ならあと二時間はこのままかよ、もうガキ共は寝てるんだしヤっちまおうぜ。俺早くヤってのんびりしてぇよ」

「わかった、ただしあと一時間様子を見てからガキ共に動きがなかったらヤっても良い」

「さすがセンパイ、俺のことわかってる」



(なんて事を屋根裏に隠れてる二人組が言ってるんだけどさ、どうする?)

 俺は瞼を閉じたまま透視で屋根裏に隠れてる二人組の布で隠された口の動きを目で見て読み取った内容を姫姉に伝えた。


 読み取った方法は言語翻訳〈発声器官などから発せられた言語を読み取り翻訳する〉という機能の裏技的な使い方で、音では無く発声器官の動きに応じて翻訳をする仕様を使って相手の話している内容が筒抜けになっていたというわけだ。


 そんなことよりも目の前で行われている俺たちの暗殺計画をどうにか阻止しないとなんだが。

「ねぇ優君。ちょっと暴れて来て良いかな?」

 どうしようか悩んでいると急に耳元から姫姉の小さな声が聞こえてきた。

「ッ⁉︎」

 声が出そうになったが何とか堪えることができた。

 どうやら姫姉はユニークの影移動(シャドウムーブ)を使って俺の枕の影まで移動して来たみたいだった。

(姫姉、急に話しかけてこないでよ、ビックリして声出そうになったじゃん)

「ごめんごめん、でもこうでもしないと話もできないでしょ」

 姫姉の言い分も確かなので今のは忘れることにした。

(それで相談なんだけど、姫姉ならあの二人の背後から奇襲できるよね)

「できるわよ」

(ならあの二人が動き出したら姫姉は背後から奇襲して、俺はスティールで相手の武器を奪うから)

「了解」

 姫姉はそう言うと、影移動(シャドウムーブ)で移動して行った。

 俺は俺で透視を使ってあの二人の隠している武器を根こそぎ確認していった。

 一応確認漏れが無いように鑑定スキルを使って靴や指、果ては歯まで調べていった。

 結果、歯には毒薬が仕込まれていたし、靴には隠しナイフが内蔵されていた。

 取り敢えずスティールは使うと光るので襲撃の瞬間まで奪う順番だけ考えながら時間が来るのを待った。




忙しかったですが何とかあの不名誉な表示が出る前に出せました。

今後も出来る限りあの不名誉な表示が出る前に出していきたいと思います。

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