第42話 昨日の過ちは今日の後悔
前回のあらすじ
姫姉にスケベ変態厨二病って言われた
録画の容量が残っているかが問題だ
「ってなことがあったわけよ」
俺はさっきあった事をそのまま姫姉に報告した。
「それで、帰る方法は分かったの?」
「それはさっぱり」
「それのどこが良い情報よ。もっとまともな情報集めてから報告しなさいよ。まあいいわ、明日その人から詳しい情報聞きに行きましょう」
それから俺たちは一階の食堂で夕食を食べ明日に備えて眠った。
異世界漂流三日目にもなるとだいぶこっちの生活リズムも掴めてきて太陽が昇り始めたころに目が覚めた。
今日も今日とて姫姉は俺のベッドに潜り込んでいるがこれにも慣れたもので、俺は軽く抜け出し着替えてから姫姉を起こした。
目を覚ました姫姉の着替えを待ってから俺たちは食堂で朝食を食べていた。
「おじさんは今日はどうするんですか」
「ああ僕は昨日の書類整理の仕事の手際が良いとかで今日も来てくれって言われてるからそっちに行こうと思ってるよ」
なんでもサラリーマン時代でもこんな感じの仕事をしていたらしく性に合っているらしい。
「それなら良かったです。それじゃ俺たちは討伐系の依頼を受けてると思うんでまた夕食のときにでも」
それから俺たちはギルドに向かい、ギルドの近くまで来るとなにやら人だかりができていた。
「優君、昨日何やらかしたの?」
姫姉が俺を疑ってきた。
「いやいや、俺は何もしてないよ。確かにちょっと絡まれたけど昨日報告した以上の事は何もしてないはず……」
俺は昨日のことを思い出しながらそう答えた。
「でも優君なら何かやらかしかねないし。私も一緒に謝ってあげるから」
俺は姫姉に引きずられる形でギルドの中に入って行った。
ギルドの中は思ってたよりも静かで、お通夜のような雰囲気を醸し出していた。
取りあえず俺たちは張り出されている依頼を受けるついでに受付で話を聞いてみることにした。
「すいません、何かあったんですか?」
姫姉が話しかけると受付嬢はため息を吐きながら話し始めた。
「昨日とある冒険者の方々の間でトラブルがありまして。でも一人の冒険者さんは悪くなかったんですが、その冒険者さんは衛兵を気絶させて帰って行かれたんです。それでその冒険者さんがあまりに強いので調べるとどうもSランク冒険者で英雄として有名なオーマ様の孫だったらしく……、この前王城で起きた一件もありますし、ギルドマスターが責任を取って死罪になるって噂が出てまして。まあ他の冒険者の方には関係の無い話ですので、お二人はゴブリン退治ですので手続きは不要です。そちらの方は資料整理ですね」
おじさんの手続きが済んだところで俺と姫姉は一目散にギルドから飛び出した。
「やっぱり優君のせいじゃない」
「いやでも俺は悪くないって受付の人も言ってたじゃん」
「こんなところで痴話喧嘩か」
俺たちが言い争っていると後ろから声を掛けられた。
振り向くとアリスのお姉さんで団長と呼ばれていたアリシアさんが立っていた。
「いやだな~痴話喧嘩じゃないですよ。それよりお姉さんはどうしてこんなところに」
俺は怪しまれない様に話題を変えるためアリシアさんに質問をした。
「ああ、昨日ギルドでトラブルがあったらしくてな。ギルドマスターが騎士団本部に自首しに来たんだよ」
話題を変えるつもりが墓穴を掘ったみたいだ。
「へぇ~そうなんですか。それじゃあ俺たちはゴブリン退治に行ってきます」
俺たちは話を切り上げて逃げる様に城門の方に歩き出そうとしたがアリシアさんに回り込まれてしまった。
「それでちょうど君たちを探していたんだよ”暁”のユーマ君とヒメナさん」
無情にも俺たちはアリシアさんに捕まりギルドに戻って来た。
俺たちはギルド二階の応接室に通された。
応接室には昨日話したおっさんと受付嬢が騎士に囲まれて椅子に座っていた。
「これでやっとまともに話し合いができるな」
アリシアさんはため息を吐きながらそう言った。
「それでは尋問を始めたいと思う。まずはそこの女からだ。貴女は昨日他の冒険者や衛兵と共謀して彼から金品を巻き上げようとしましたか」
「いいえ、私にそんなつもりはありませんでした」
「そうですか、では貴女は彼を奴隷落ちにしようとしましたか」
「いいえ、していません」
話を聞いているとウソばっかりでイライラしてきた。
そのタイミングで今度は俺に質問が飛んできた。
「では次にユーマ君に聞きますが、彼女の言っていることは事実ですか」
「全然違うね、共謀してかは知らないけど俺に向かって奴隷落ちしろって言ったのは事実だ。そこにいるおっさんも聞いているはずだ」
「そうですか、では次にギルドマスターに質問します。彼女は彼を奴隷落ちさせようとしましたか」
「ああ、この耳で聞いたよ。奴隷落ちにでもなれって。それに今回彼を襲った冒険者や衛兵は最近よく彼女とつるんでいた」
そこまで知ってたんならあの時止めろよと思ったが言える雰囲気ではなかったので言わなかった。
それから二時間以上尋問が続き、姫姉は退屈そうに俺の方を睨んできていた。
尋問が終わってからも俺たちには応接室で待たされ、個別の事情聴取などが終わったころには陽が沈みかけていた。
「宿に戻ったらお仕置きだから」
姫姉はそれだけ言うと先に宿屋に帰って行った。
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