愛39話 異世界漂流2回目の二日目
異世界に漂流してしまった俺と姫姉とサラリーマンのおっさん。とりあえず街には着いたけど爺さんが迎えに来るまで暇です。アニメの録画予約してたか心配です。
異世界に漂流して二日目の朝がやって着ました。
「さてこれからどうしようか」
俺たちは宿の食堂に集まり朝食を食べながら軽く自己紹介を始めた。
「まずは年長者の僕が自己紹介でもしようかな。僕は田中聡、日本ではサラリーマンをしてたんだ。まあ僕の事は好きに呼んでくれていいよ」
そんな感じで俺たちは自己紹介を終え今後について話し始めた。
「と言っても帰ることは俺たちにはできないし、冒険者ギルドで依頼受けながら迎えが来るのを待つしかないんだよな」
どうせあの爺さんの事だし数日もすれば俺たちの居場所を突き止めて迎えに来るだろう。
「取りあえずおじさんの仮身分証の期限が切れる前に冒険者ギルドで身分証でも作りに行こ」
俺たちはとりあえず朝食を済ませて冒険者ギルドにやって来た。
そんな俺たちに絡んで来ようとしてる、アホそうな面をぶら下げた男たちに先制でズボンのベルトをスティールにて奪ってやった。
「ここは子連れで来るようなところじゃねーんだよ!女置いてさっさと帰りへぶッ」
ベルトを奪われたことに気付かずに歩み寄りながら絡んできた男はずり下がったズボンに足を取られてみっともなくこけた。
「さて行きましょうか」
「君意外と酷いな」
おじさんがそんな事を呟くが俺は気にせずにギルドカウンターの方に向かった。
「いらっしゃいませ、本日はどういったご用件でしょうか」
「この人のギルドカードを作って欲しいんです」
「はい、ではこの紙に名前と特技などを書いて下さい」
そう言って渡された紙におじさんが必要事項を書きそれを受付嬢に返した。
「名前はサトルで間違いありませんか」
そんな業務的な質問を終えたのちおじさんは冒険者ギルドのギルドカードを手に入れた。
「では分からないことがあればお気軽にお聞きください」
「じゃあまずは依頼でも受けてみましょうか」
俺の提案におじさんは二つ返事で答え俺たちは依頼書が貼られたクエストボードに目を通した。
「なにか気になる依頼はありましたか」
何気なしに俺はおじさんに聞いてみた。
「はい、これなんか僕に向いてそうですね」
そう言ってクエストボードから一枚の依頼書を取って俺に見せてきた。
「なになに、冒険者ギルド内にある資料室の整理ですか。報酬は300シアと」
「これなら僕にでも出来そうですし何より危険性が皆無ですからね。では僕はこの依頼を受けてきますよ」
「あっはい、頑張って下さい」
まああの依頼で死ぬことは無いだろうし俺たちは何か他の依頼でも受けようかな。
「さて姫姉これからどうしよっか」
「取りあえずは常設のゴブリン退治でもしながら軽く戦闘訓練でもしよ」
そんな姫姉の提案に乗り俺たちは街の外に出るため昨日入って来た城門までやって来た。
そこで昨日お世話になった団長のアリシアさんに出会った。
「やあ二人ともこれから外に出るのか」
「ああ、肩慣らしにゴブリン狩りにでも行こうかと思いまして」
「そうか、君たちならゴブリンに後れを取ることは無いと思うが気を付けるんだぞ」
俺たちはアリシアさんに見送られながら昨日俺たちが飛ばされた森までやって来た。
「さて肩慣らしに軽く模擬戦でもしようか姫姉」
「良いわよ、どっからでも掛って来なさい」
こうして俺たちは魔物がいる森の中で剣を打ち合っていた。そんな剣を打ち合う音を響かせていたら周囲にこちらの様子を伺う獣の気配を感じ剣を止めた。
「さて姫姉、こうしてまんまとおびき寄せられた魔物がうじゃうじゃいるわけだが。どっちが多く倒せるか勝負しようじゃないか」
「そうだね、でも何も賞品が無かったら面白くないし勝った方には何か一つなんでもいう事をきかせることができるってのはどうかな」
「それは面白いな。じゃあその条件で」
俺がそう言うと姫姉は魔物の群れに突撃していった。俺はと言うとスキルを使って魔物の心臓部にある魔石を奪っていった。
それから十数分ほど経った頃には大量の魔物の死骸の中俺と姫姉だけが立っていた。
「ふう、結構な数出てきたけどもしかしてどこかに巣でもあったのかな」
「かもしれないね。さて優君、何体倒した?」
そういえば賭けをしていたんだったな。今回俺はスティールしか使ってないから無限収納の中にある魔石の数が倒した数なはず。
「えーと、無限収納の中に魔石が48個あるから48体だな」
「なら私の勝ちだね。私は49体倒したからね」
どうやら賭けは俺の負けみたいだ。さてどんなお願いをされるのやら。
「じゃあとりあえずここの魔物の処理は全部優君に任せたから」
「えっマジで」
「マジもマジ大マジだよ。私疲れたし先に帰ってるね」
そんな事を言いながら姫姉は足早に街に帰って行った。
「これ全部俺一人で処理するのか。無限収納に入れていくのでも一苦労だな」
俺はそんな愚痴を叩きながら近くの死骸から右耳を切り取って無限収納に収納していった。