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第35話 お迎えが来ました

前回のあらすじ

まさかドラゴンの魔石まで盗れるなんて

 翌日。俺たちは謁見の間に来ていた。

「これより受勲を執り行いと思います。今回地竜と飛竜がこの王都を襲いました。ですがあなた方のお力によりこの危機を脱することができました。つきましてあなたたちにはドラゴンスレイヤーの称号を贈りたいと思います。では四人とも前へ」

 お姫様に呼ばれて俺たちは玉座の前まで移動する。

「ユーマ様あなたには飛竜討伐勲章を。ヒメナ様には地竜討伐勲章を。シンヤ様にも地竜討伐勲章を。そしてタチバナ様にも地竜討伐勲章を。ではドラゴンを討伐せし四人に大きな拍手を」

 お姫様の合図とともに拍手が巻き起こる。

「これにて受勲式を終えます」

 お姫様がそう言い集まっていた貴族たちが謁見の間から出ようと扉を開けようとするが扉は固く閉ざされ一向に開く気配がない。

 誰かが何かを叫んだその時、玉座の後ろの壁がぶち破られた。

「はいどうも、ここに召喚された勇者がいると聞いてやって参りました。ついでに勇者の遺言を守らずに勇者召喚をした馬鹿どもに地獄を見せに来てやったぞ、喜べ」

 破壊された壁から出てきたのは般若の仮面をつけた長身の白髪の男と、鬼の仮面をつけ金棒を持った少し背の低い女性と、お祭りでよく見る戦隊ヒーローのブルーの仮面をかぶって全身ブルーのヒーロースーツを着た変人の三人組だった。

 このとき俺は一目見て悟った、あれには関わらないほうが自身の名誉のためだと。特に戦隊ヒーローの仮面をかぶった奴は同じ地球から来ていたとしてもできる事なら関わりたくない。

「ねえ優君、あれって私たちの世界の物だよね。なんであんなの着てるのかな」

 姫姉は気付いてないみたいだったので俺は知らないふりをした。

「いやー、奇遇だな。こっちの世界にもアンナヒーローノカメンガアルナンテ」

「どうしたの優君?棒読みになってるよ」

 俺たちがこんな会話をしていると般若の仮面をかぶった白髪の男が口を開いた。

「お前たちがこの国の重鎮か?」

 男から抗えない位の圧を感じてこの場にいた人たちは動けなくなり言葉すら発することができなくなっていた。

「私が現在この国を治めています、アウリア・フォン・ラグアシアです」

 どうやらお姫様は何とか喋れる程度に威圧を抑えられたらしい。

「なぜ禁忌になった勇者召喚を行った?」

 男は詰問を始めだした。

「前国王の命令で」

「なぜ禁忌と知っていて止めなかった?」

「そ、それは……」

「この国では誘拐は罪ではないのか?」

「つ、罪に問われます」

「共犯者は?」

「同様に罪に問われます」

「罰は?」

「奴隷落ちか死刑です」

「お前はどちらかの罰を受けたのか?」

「いえ、受けてません」

「そうか」

 一言そう呟き男は腰に差した刀に手をかけた。

「もう用はない、死ね」

 殺気の籠った一言を発しお姫様を一刀の後に斬り裂く。

 ガキンッ

 そんな明らかに斬り裂いた音とは違う音が鳴り響いた。

 そこには般若の仮面の男の刀を同じ刀で受け止めお姫様を抱いた戦隊ヒーローのブルーがいた。

「お爺さんふざけるのはこの位にしたらどうですか?」

「なんじゃ、つまらんのぉ。別に一人くらい犯罪者を斬ったところでなにも変わりはせんじゃろうに。ホントにおぬしは弱いな」

 般若の仮面の男は急に言葉遣いをかえて話し出した。

「孫娘が少しいなくなったくらいでわざわざ僕たちを呼び出して探しに来るのはどうかと思いますよ」

「じゃが急にいなくなったんじゃぞ。心配して何が悪い」

「大丈夫ですよ、彼女には僕たちの息子がついてるんですから」

「確かにあ奴は才能があるし孫をやってもいいくらいには成長もした。だが二日も連絡が無かったんじゃぞ」

「少しくらい彼らを信用してあげて下さいよ。もう高校生にもなりましたしちょっとやそっとの事じゃ死にやしませんよ」

「あのぅ、助けていただいたことは感謝しますがそろそろ離してもらえませんか?」

「ああ、すまないね。すっかり忘れていたよ」

「あと、その、向こうの女性がものすごい殺気を放ってこっちを睨んできているのですが」

「すまないね。マイハニーは嫉妬深いんだ」

 そう言いながら戦隊ヒーローのブルーの仮面をかぶった男はお姫様を離して鬼仮面の女性の方に行ってしまった。

「さて、さっきの話を聞いていれば分かるとおもうがのぉ。儂の孫はどこにおる?」

 爺さんこっちに気付いてないのかよ。確かにめんどくさそうと思って後ろの方に隠れてたけど。

「儂の家名は知っておるよな?」

「はい、存じ上げております。その鬼のような形相の仮面をつけていてこれほどの強さを持っているのはSランク冒険者にして魔人戦争の英雄、オーヤ・セーチョーインですよね」

「なんじゃ知っておったか。なら顔を隠す必要もないの」

 そう言い爺さんは付けていた仮面を外した。

「ねえ優君、お祖父ちゃんと同じ名前でお祖父ちゃんにそっくりなんだけど、もしかしてあれってお祖父ちゃんかな?」

「もしかしても何もあれはどう見ても爺さんだよ」

「じゃあもしかしてあっちにいるバカップルみたいにラブラブしてるのってまさか」

「姫姉それ以上言わないでくれ」

 あんなのが俺の両親だなんて恥ずかし過ぎる。特に父さんのあの格好は流石にあり得ない。俺じゃなくても嫌がると思う。

「まさかっ、ヒメナ様のお祖父さまですかっ」

「おお姫菜を知っておるのか。なら話が早い。早く会わせろ」

「そちらに居ますが」

「なに、そこにいたのか姫菜よぉぉぉお」

 爺さんがこっちに向かって走って来た。

「お祖父ちゃん。どうやってこっちに来たの?」

 感動の再開かと思いきやいきなり姫姉が核心に迫った。

「なに普通に時空魔法でちょちょいのチョイじゃよ」

「じゃあ私たちも帰れるの?」

「儂に任せろ。時空の一つや二つ飛んでみせるぞ」

 こうして俺たちは爺さんに連れられ日本に帰ることになった。




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