第268話 スマホが使える様になる
思ったよりもぐっすりと眠れた俺は心地よい微睡みに名残惜しさを感じながら目覚めた。
「今何時だ?」
俺はそう言いながら外を見たが、そういえばダンジョンの中だから日の光で時間を知る事ができないんだったとまだ寝ぼけている頭で理解した。
「時計が必要だな」
俺はそう独言ながら部屋を出てダイニングに行くと姫姉たちも起きていた様で朝食の準備をしてくれていた。
「おはよう」
「おはよう、優くんは良く眠れた?」
「ああ、意外とぐっすり寝れたわ」
「そう、それなら良かったわ。もうすぐ朝食の準備もできるから顔洗って来たら?」
「サンキュー、そうするわ」
俺はそう言い残して風呂場にした部屋に行き風呂場にあるお湯を出す魔導具で顔を洗ってからダイニングに戻った。
「準備できてるよ」
姫姉にそう言われて俺は席に着き全員でいただきますをしてから朝食を食べ始めた。
食事中俺は姫姉に「ダンジョン内だと時間が分かりづらいから時計が必要だよな」と言うと姫姉がしまったと言う様な顔になり「優くんスマホ出して」と言って来た。
俺は素直に無限収納に入っているスマホを姫姉に手渡し、それを受け取った姫姉は「創造、付与強化」と言ってスマホに何かをしてから今作った何かの魔導具と一緒に俺に返して来た。
「これは?」
俺は魔導具を見ながら訊ねた。
「それと魔石があればスマホが充電できるから。それとスマホも壊れにくくして無限収納から出したら自動で時間を合わせてくれる機能も付けといた」
「へぇー便利だな……、それでこんな事いつ思いついたんだ?」
俺が疑惑の眼差しを向けて姫姉を問い詰めると姫姉は目を逸らしながら「こっちに来た日」と小声で答えた。
「こっちに来た日? それって召喚された日、それとも二度目の時のどっち?」
「召喚された方」
「そっかぁ、自分だけ便利にスマホを使っていたと」
「ごめん、こっちに来てからスマホって殆ど使って無いからすっかり忘れてた」
「まぁ俺も殆ど使ってなかったから良いけどさ、他にもこう言う事ってないよな?」
「……うん、多分無いと思う」
「そっかぁ多分か、まぁ思い出したらまた伝えてくれれば良いよ」
「うん、そうする」
それから俺は朝食を食べ終えてから姫姉に改造されたスマホの使い方をレクチャーして貰った。
と言っても殆ど変わりが無いので教えて貰ったのは充電器の使い方だけだけど。
スマホの充電器も手に入れたところで俺たちは早速ダンジョン探索を再開する事にした。




