第27話 初心者ダンジョン『シアの迷宮』探索八階層、九階層
前回のあらすじ
シアの迷宮六階層七階層を突破した。
「はい、やってまいりました。初心者ダンジョン、シアの迷宮も残すところあと三階層です。今日はそんなシアの迷宮の第八階層を探検したいと思います」
「なにやってるんですか?」
お姫様に白い目で睨まれた。だって仕方ないじゃない。道中出くわすモンスターもフロアマスターも全部お姫様が魔法で一撃で倒しちゃうんだもん。もう俺たちのすることなんてこのダンジョンを観光するくらいしかないじゃない。
「なにをやっているかと聞かれたら、答えにゃぁ男が廃る。答えて信ぜよう。今俺はこのシアのダンジョンを有意義に観光しているのさ」
「あの、ここは観光地ではないんですが」
「だって出くわすモンスター全部お姫様が倒しちゃうから、俺たち何の危機も感じられないんだもん。こんなのは街にいるのと同じじゃん☆」
俺は出来る限りウザそうな顔で答えてみた。
「その顔もの凄くウザいよ優君」
「僕もそう思う」
「私も」
「僭越ながら私もそう思います」
「ウザいです」
全員からウザい認定を受けてしまった。
「すいませんもうしませんので、できればその物騒な武器をこちらに向けるのをやめてほしいのですが」
俺の懇願を受けて皆武器を下ろしてくれた。
ふう、ヒヤヒヤさせやがって、もう少しで俺のガラスよりも脆くできてるハートが砕け散るところだったぜ。
「さて、冗談はこの位にして先に進みましょうか」
お姫様がさっきの俺の発言を全て冗談扱いにして先を進みだした。
それからもお姫様の無双は止まることなく出会ったモンスターを炎で焼き尽くしていった。
そんなことを十数分ほど続けていると八階層のフロアマスターの部屋に続く扉の前にやって来た。
「八階層のフロアマスターはポイズンフロッグです。毒攻撃を使ってくるので気を付けて下さい」
毒か、そろそろスキルポイントでも使って耐性系でも取ってみるか。
スキル一覧 取得可能のみ表示
―耐性系スキル
痛覚耐性Lv.2 取得済
レベルアップ消費スキルポイント3
麻痺耐性Lv.1 消費スキルポイント1
レベルアップ消費スキルポイント2
毒耐性Lv.1 消費スキルポイント1
レベルアップ消費スキルポイント2
混乱耐性Lv.1 消費スキルポイント1
レベルアップ消費スキルポイント2
睡眠耐性Lv.1 消費スキルポイント1
レベルアップ消費スキルポイント2
現在取れるのはこのくらいみたいだ。一応全部取ってレベルも合わせておこう。
スキル一覧 取得可能のみ表示
―耐性系スキル
痛覚耐性Lv.3 取得済
レベルアップ消費スキルポイント4
麻痺耐性Lv.3 取得済
レベルアップ消費スキルポイント4
毒耐性Lv.3 取得済
レベルアップ消費スキルポイント4
混乱耐性Lv.3 取得済
レベルアップ消費スキルポイント4
睡眠耐性Lv.3 取得済
レベルアップ消費スキルポイント4
これでステータスはどうなってるかなっと。
名前 ユーマ ナギタキ
性別 男
年齢 15
種族 人族
職業
ファーストジョブ 異世界の学生Lv.31
セカンドジョブ 無職Lv.19
サードジョブ 見習い戦士Lv.8
レベル 31
HP 175/175
MP 170/170
STR(筋力) 46
DEF(防御力) 51
AGI(素早さ) 56
DEX(器用さ) 81+35
INT(賢さ) 56
LUK(運) 40+60
スキル スキルポイント8
ユニークスキル
言語翻訳、成長促進、無限収納、スティール、透視、念話、スキルポイント再振り分け、形状変化、武器スキル結合
戦闘系スキル
体術Lv.7、剣術Lv.7、槍術Lv.5、棒術Lv.5、弓術Lv.4
耐性系スキル
痛覚耐性Lv.3、麻痺耐性Lv.3、毒耐性Lv.3、混乱耐性Lv.3、睡眠耐性Lv.3
魔法系スキル
補助系スキル
鑑定Lv.Max、算術Lv.6、気配察知Lv.4、幸運Lv.Max、豪運Lv.Max、器用さLv.7
生産系スキル
料理Lv.4、裁縫Lv.2
称号
異世界人(ボーナススキル、鑑定Lv.Max、言語翻訳)
加護
八百万の一角の加護(ボーナススキル、成長促進、無限収納)
職業ボーナス
アルバイト(ジョブ枠が一つ増える)
アルバイト(ジョブ枠が一つ増える)
就職(ジョブ変更が可能になる)
ボーナススキルポイント5
ボーナススキルポイント5
ボーナススキルポイント5
あぁ、一レベルも上がっちゃいねーよ、マジでお姫様何しに来たんだよ!俺たちの実戦訓練のためにこのダンジョンに連れてきたんじゃないのかよ。めっちゃお姫様が楽しそうに魔法撃ってるよ。
そんな事を考えつつもお姫様の誘導でフロアマスターの部屋へ入ってしまう俺たち。
そこからはいつも通りの扉が閉まり、黒いモヤが出て、モンスターが現れ、俺たちが石ころを投げて、お姫様が魔法を放つ簡単なお仕事です。
ほぼルーチン化してしまった一連の動作をこなし、俺は焼け跡からドロップ品を回収しに行く。
今回のドロップ品は魔石とカエルの足だった。もしかしてこのカエルの足って食用なのか。毒ガエルの足なのに。まあ気にしないでおこう。
「さあ次の階層に向かいますわよ」
俺たちはお姫様に連れられて転移水晶をアクティベートし、九階層に降りて行った。
九階層に降りてくるとそこにはなぜかベッドと湧き水とウ=ス異本が数冊あった。
「あのこれって何なんですかね」
俺はあまりにも不自然なものを目にしたせいで動揺しながらメルさんに質問した。
「あれは休憩所ですね。ここで休息を取ればなぜかやる気が湧いてくるダンジョンの不思議の一つです」
いやいや、やる気っていうか犯る気しか湧いてこなさそうなんだけど。まあ一応ウ=ス異本に手を伸ばしページを捲ってみる。そこには上半身裸の男が抱き合っていた。
俺はそっとじをしポケットからライターを出して焚書にした。
「ユーマ様、そちらの本は燃やしても自動で補充されます」
あまりにものショックを受けて俺はその場に立ちつくしてしまっていた。
「あのユーマさんそろそろ先に進みませんか」
あれから何時間立ちつくしていただろうか。もしかしたら数分だったのかもしれないが俺にとってさっきの出来事はあまりにひどかった。
そんな俺をみんなが引っ張って先に進んでいった。
それから俺の手を引っ張ってくれる姫姉の手のぬくもりで俺はしょうきにもどった。
「あっ、優君が戻って来た」
「ふう、何か深淵の底を覗いている気分だったよ。姫姉の手のぬくもりが無かったら還ってこれなかったかもしれない」
「そっか、もう優君ってば大げさなんだから」
それから俺たちはダンジョンを進んでいき九階層のフロアマスターの部屋の前まで来た。
「さて九階層のフロアマスターですが、魔法しか効かないゴーストマジシャンです。石ころ戦法は通じません。実体がないので」
もう完全に俺たちに戦わせない様にしているとしか思えないモンスターだな。石ころすら当たらないみたいだし。
俺たちはいつにもなくやる気のない表情でフロアマスターの部屋に入って行く。そして扉は自動で閉まり、黒いモヤが集まり、そこから半透明の黒いローブを着たお化けが出てきた。
そんなゴーストもお姫様の前では無力で魔法を放つ前にお姫様の魔法で浄化されていった。
そして残ったのは魔石と黒いケープだけだった。
「さて次が最後の階層なわけですが、お姫様。俺たちに戦わせてくれないんですか?」
「いやです。私はこの日のために父親と兄を牢屋に入れて、第三皇子を王位につけたのですから。別に豚みたいに太った隣国の貴族の家に嫁ぐのが嫌で反逆をしたわけではありませんよ」
まさかの事実を聞いてしまった。あの豚王が牢屋行になったのが自身の政略結婚を阻止するためだったなんて知りたくもなかったよ。超自分勝手な理由で国家反逆を行うだなんて、どうかしてるとしか言いようがない。
「さあ最後の階層です。張り切って行きましょう」
俺たちはお姫様の真意を聞き呆れた状態で十階層に降りて行くのだった。