第257話 ありがたい忠告を受ける
王城に帰り着いた俺たちはダンジョンでの汚れを落として武器の手入れを済ませ、姫姉たちは部屋で休み、俺はアモダフさんの所に報告に来ていた。
「隠し部屋に国宝級のマジックバッグですか!? その事他の人には話してませんよね!」
今回のダンジョン探索で見つけた隠し部屋とそこにあった宝箱から出たマジックバッグの事を伝えるとアモダフさんが鬼気迫る勢いでそう聞いて来た。
「誰にも言ってませんよ。鑑定解析で国宝級って出た時点で知られたら問題あるのは理解したので」
「それは良かったです。それで今マジックバッグはどちらに?」
「それなら少女に使用者登録してあげましたよ」
「えっ?」
「だって俺たちはそもそもマジックバッグの上位互換の無限収納がありますから」
「それはそうですが……、取り敢えず少女には人前で使わない様に言い含めて置いて下さい。貴族の中には権力を振り翳して無理矢理献上させようとする者もいるので」
とありがたい忠告を頂き俺は部屋に戻った。
さっきアモダフさんに言われた事を少女に伝え極力人前では使わない様に約束をさせた所でそれなりに時間が経っていた様でメルリアさんが夕食の準備が整ったと声をかけて来た。
その言葉に「直ぐ行きます」と返して俺たちは部屋を出て田中さんと一緒に食堂に移動した。
食堂には俺たちが一番乗りだったので先に座って待つ事になった。
数分待つとウィンダムさんたちがやって来て、その直ぐ後に王女様とウォレンさんがやって来た。
王女様が席に着くと料理を載せたワゴンが運び込まれて来て全員の前に料理が配膳されていった。
配膳されている段階の匂いで分かっていたが何と今日はカレーがメイン料理として出て来た。
大きめの一口サイズにカットされた牛肉にニンジン、ジャガイモと一般的な日本のカレーが目の前に置かれて俺と姫姉と田中さんは目の色を変えた。
しかも今日はパンではなくナンと米が目の前に置かれており、俺たち異世界人は早く食べたい欲を全身から激らせていた。
周りの人たちもそれに気付いたのか少し引き気味に食前のお祈りをし、俺たちは手を合わせて「頂きます」してからスプーンを手に取り直様カレーに手をつけた。
スパイスの香りが食欲を掻き立て辛過ぎない辛さで他の食材の甘さを引き立てる。正に日本で食べられるカレーそのものだった。
サラダはカレーで熱った体に丁度いいきゅうりやレタスなど瑞々しい野菜で箸休めには丁度良かった。
米に掛けて食べた後、ナンでもカレーを堪能した俺はこれまでの食事で一番の満足感に感激していた。
全員が食べ終わればデザートが運び込まれて来た。
今日のデザートはカレーの辛さを中和させるミルク感が満載のアイスクリームだった。
綺麗な丸のアイスクリームに小さなワッフルが添えられていて更にはホイップクリームまで盛り付けられその頂上にはさくらんぼまで載せられていて最高のデザートだった。




