第250話 訓練場で身体を動かす
姫姉ご所望の風呂を注文し終えた俺たちは夕食までの間、体を動かすために訓練場にやって来ていた。
訓練場にはメルリアさんの所属する第三師団の兵士たちが実戦形式の打ち合いをしていたので俺と姫姉もその集団にしれっと混ざって打ち合いを始めた。
周りの兵士たちが続々と決着がついていく中、俺と姫姉は軽い打ち合いから段々と速度を上げていき最終的に全力の打ち合いで木刀が折れてしまった。
ここで止めれば良かったものを俺と姫姉はそのまま木刀を投げ捨てて格闘戦に移行した。
ただ俺たちの格闘戦は殴る蹴るでは無くいかに相手の動きを封じるかで、俺は姫姉の腕を掴んで軽く引き姫姉の体制を崩す為に膝を目掛けて足払いをしようとするがそれは読まれていて姫姉は足払いを飛んで躱し、更に俺に引っ張られた力を利用してそのまま俺の斜め後ろに着地して俺の裏を取った。
そこから俺の膝裏に蹴りを入れようとして来たので俺も即座に姫姉腕を放して前方に飛んで蹴りを躱した。
そこからは交互に相手の動きを封じる絞技に捕縛技など相手の動きを封じる技の掛け合いになり互いに上手くそれを交わし続けた。
そしてそのまま10分ほど時間が経ったが決着がつかなかったので引き分けにして休憩をする事にした。
俺も姫姉も途中から訓練場の兵士たちから注目されている事には気付いていたが目の前の相手から目を逸らす訳にもいかずしっかりと確認出来ていなかったがどうやらここにいた兵士の全員が俺たちの戦闘を見学していたらしい。
戦闘が引き分けで終わった瞬間から兵士たちから俺たちが使っていた絞技や捕縛技について質問の雨が降り注いだ。
俺と姫姉は実際の動きを交えながら教えられる事は教えて兵士たちは使えると判断したのか早速捕縛技の練習をし始めた。
それから俺と姫姉ももう一度手合わせをして制限時間一杯まで打ち合い引き分けになったり、少女にも技を教えたり、兵士たちに技の指導をしたりしながら日が落ちるまでの時間を過ごした。
日が落ちて解散となり俺たちは一度部屋に戻り訓練場での汗を流して夕食までの時間をのんびりと過ごした。
いつも通りメルリアさんが夕食の時間を告げにやって来て俺たちを食堂に案内してくれた。
その際メルリアさんに「部下の指導ありがとうございます」と俺と姫姉に向かって頭を下げて来たので俺は「訓練場を借りているお礼です」と返した。
姫姉も「優君の言う通りです、だから気にしないでください」と言った。




