第249話 お風呂を作ろう
昼食を終えて部屋に戻って来ていた俺のもとにメルリアさんが訪ねて来た。
「ユーマ様、アモダフ様からお風呂の件について紹介する職人の目処がついたため一度お会いしたいとの事ですがお時間宜しいですか?」
「俺は大丈夫です。それとお風呂についてなら姫姉も一緒で良いですか?」
「そうですね、ヒメナ様のご希望との事ですのでご一緒にお越し頂けるのであればその方が宜しいでしょう」
メルリアさんとそう話して俺はベッドに寝転んで寛いでいた姫姉にお風呂の職人に会いに行こうと声を掛けた。
声を掛けられた姫姉は笑顔で「行く!」と言ってベッドから飛び起きて窓の外をボーッと見ていた少女を抱き上げて部屋から飛び出して来た。
メルリアさんは姫姉が俺の部屋から出て来た事に少しだけ驚いた表情を見せたが直ぐに元の澄まし顔に戻って「ではご案内します」と言って俺たちをアモダフさんの待つ部屋まで案内してくれた。
部屋に入るとアモダフさんともう一人おじさんが座って待っていた。
俺たちはアモダフさんの向かいのソファに座ったタイミングでアモダフさんから声を掛けられた。
「お待ちしておりました、皆様。こちらの方がヒメナ様のお求めのお風呂を作ってくださる王家御用達家具職人のバウムボーデンさんです。それでこちらが今回の依頼主のヒメナ様です」
アモダフさんにそう紹介されたバウムボーデンさんは「どうも、バウムボーデンです。宜しくお願いします」と言って頭を下げて来たので俺たちも同じく「宜しくお願いします」と言って頭を下げた。
「紹介も済んだところで早速本題に入りましょうか。ではバウムさん宜しくお願いします」
アモダフさんがそう言うとバウムボーデンさんに主導権を渡した。
「お嬢さんが風呂を作って欲しいと聞きました。ある程度の注文も聞いてます。確か肩まで浸かれる湯船が欲しいと。合ってますか?」
バウムボーデンさんがそう聞いて来て姫姉はそれに「はい、あと出来れば足も伸ばせると尚良いです」と追加注文をしだした。
「ハハハ、足も伸ばせるくらいですか。それで他にも何か注文はありますか?」
「いえ、肩まで浸かれて足が伸ばせるならそれだけで最高ですので」
「分かりました、それじゃあ次は材質についてですが、直ぐに用意出来るのは木製の木桶をデカくした物になります。時間を頂けるのでしたら陶器製の湯船も用意出来ますがどちらになされますか?」
バウムボーデンさんがそう姫姉に尋ねると姫姉は「断然陶器製で!」と即答した。
「分かりました、では二週間ほどで出来上がりますので完成次第こちらに使いを出します」
それからはアモダフさんとバウムボーデンさんが料金などの話をするとの事で俺たちはアモダフさんの勧めで先に部屋を出る事になった。




