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第243話 氷の世界へ

 経費申請書から一夜開け、俺たちはダンジョン探索を再開していた。

 四十五階層までは雪原といった場所だったが四十六階層は更に寒さがキツそうな床一面が氷に覆われ、建造物も全て氷で出来た正しく氷の世界だった。


「これはまた一層寒そうな場所だな、はぁ」

 これまでの経験からそうだろうと予想はしていたがやはり寒いのは厳しいものがある。

 姫姉も同じ様に考えていたのか「優くん、とりあえず最短ルートでお願い」と言って来た。

 俺は姫姉に「了解」と短く返してスキル透視盗撮を使い階段がある場所を探し出してそこまでの最短ルートを模索した。


 十分程で大体の敵の配置などを把握して情報を共有してから俺たちは動き出した。

 やっぱりスキル透視盗撮と気配察知で建造物の陰に潜んでいで氷に擬態しているアイスリザードや建造物に擬態しているアイスゴーレムの位置も簡単に把握出来ている為、危険無く俺たちは次の階層に続く階段前まで辿り着いた。

 階段前にはアイスゴーレムが立ち塞がっていたがミスリルやオリハルコンにアダマンタイトのゴーレムと戦って来た今の俺たちの敵にはならず一瞬で斬り倒して階段を降りた。


「やっぱりここのダンジョンって難易度間違って無い?」

 階段を降りている最中姫姉はそう話しかけて来た。

「確かに出てくる魔物の強さだけで見れば上の階層の方が強かったが階層毎のギミックを含めれば攻略難度は同じくらいだと思う。まぁそれでも魔物自体は弱すぎるけど」

「でも階層毎のギミックに関しては装備やアイテムでどうにか出来るけど敵を倒すのは装備やアイテムではカバーしにくくない?」

「そうです。オリハルコンゴーレムやアダマンタイトゴーレムは明らかに強すぎると思います」

 俺たちの会話に少女がそう言って割り込んできて、俺は少女のその言葉にこれまでの事を考え直した。


「そう言われればそうだな……、オリハルコンやアダマンタイトのゴーレムなんて硬さ、同等の硬さの武器ですらそもそも手に入りにくいし、魔法は殆ど効かないしで普通なら倒せないのか」

「そうだよ、やっぱりこのダンジョンバランスがおかしいんだよ」


 そんな会話を挟みながら階段を降り切った俺たちは変わり映えせず一面氷の世界なダンジョンに虚無顔になりながら、最短距離をスキル透視盗撮で確認して駆け足で進み、途中でお昼休憩を挟みながら五十階層までやって来た。

 道中の敵は氷で統一されていてトカゲにゴーレムに鳥、果ては氷で出来た騎士が出て来たがどれも硬さが足りず簡単に切り倒せたのでここまで順調にやって来れた。


 そして五十階層に足を踏み入れた俺と姫姉は気配だけで何となくこの先にいるボスに目星がついていた。

「この感じはアレだよな」

「そうね多分アレだと思う」

 俺と姫姉はそう言い合って納得し、この先に待つ敵に対して気を引き締めた。

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