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第235話 見えているのに見つからない敵

 四十四階層に到着した俺たちは上の階での経験から上空に目をやったがそこに白い鳥は飛んでおらず、少しだけホッとした。

 パッと見て敵が目に付かないと言うことはまた隠れているのだろうと俺はスキル透視盗撮で辺りを確認したが、雪が積もって出来た山と氷の塊の山が所々に見つかっただけだった。

 そしてそのどちらからも敵意を感じる事はなく俺は次の階層に繋がる階段を探し始めた。

 それほど時間をかける事なく階段は見つかりそこまでの最短ルートも確認できたので俺はその事を姫姉に伝えた。

 俺から話を聞いた姫姉も敵が見つからなかった事に疑問を覚えながら姫姉は少女に話を聞いたが少女もわからないらしく、取り敢えず俺たちは警戒しつつ先に進む事にした。


 今回も一応雪山の中に宝箱が隠されている所があったので最短ルート近くの宝箱だけ寄り道して開けて氷結結晶と寒冷耐性ポーションを手に入れた。

 そして階段の前まであと少しというところで氷の塊の山の近くを通ろうとした。

 その時、いきなり敵意を感じ俺たちは武器を構えて背中合わせになり全方位を警戒した。

 敵意を放っていたのは氷の塊の山の方からとその反対側にある雪山の方からで俺は透視盗撮を使い敵が何処に潜んでいるのか両方探したが見つからず敵が動くのを待つしかなかった。

 数分か数秒か少しして急に敵意が増大し雪山と氷の塊の山が動き出し人型になって襲い掛かって来た。

 

 俺は直様スキル鑑定解析を使って敵の情報を見て敵がアイスゴーレムとスノーゴーレムで両方とも擬態のスキルと隠蔽のスキルが高レベルだと知った。

 擬態と隠蔽のスキルが高かったから敵意を感じるまで気が付けなかったのかと思いつつ姫姉たちに手に入れた情報を伝え、俺がスノーゴーレムと戦い姫姉がアイスゴーレムと戦う事にした。

 スノーゴーレムは雪再生のスキルを持っており周りの雪を取り込んで欠損箇所を再生出来るらしく俺は下手な剣戟では碌なダメージにならないと判断して魔銃デュアルガンドをファイアバレットにして溶かして倒す事にした。

 

 因みにアイスゴーレムも氷再生というスキルを持っていたが周りに氷が殆ど無く斬撃で切り取った氷は氷再生に使えないことから姫姉が粉々に切り刻んで魔石を露出させてそれ抜き取り倒していた。

 俺もファイアバレットで雪を溶かし魔石を露出させてそれをユニークスキルのスティールで奪い取って倒した。


 これまでアイスゴーレムとスノーゴーレムに出会さなかったのはただ運が良かっただけのようで他の雪山にも鑑定解析を使うと殆どの雪山がスノーゴーレムで氷の塊の山は半分くらいがアイスゴーレムだった。

 それから俺はさっきのように挟み撃ちに合うようなルートを避けつつ最短ルートを構築して先に進んだ。


 それから俺たちは数回アイスゴーレムやスノーゴーレムと戦い階段前にたどり着いた。

 階段前にはこれまでよりも大きい氷の塊の山があり更に階段を覆うように雪山があった。

 勿論そのどちらもビッグアイスゴーレムとビッグスノーゴーレムで俺はスノーゴーレムと姫姉たちはアイスゴーレムと戦う事になった。


 俺は先ほどのスノーゴーレムと同じように魔銃デュアルガンドをファイアバレットにして雪を溶かしてビッグスノーゴーレムの体を削り始めた。

 思った以上にこの攻撃が効果的で、ビッグスノーゴーレムはその体積を一気に減らしていったが大きいだけあって腕も遠くまで伸び背後にある雪を吸い上げて再生して来た。

 なので俺は魔銃での攻撃を継続しつつ回り込んでビッグスノーゴーレムの腕にもファイアバレットを放ち再生の妨害もした。

 そうこうしているうちに徐々に小さくなっていったビッグスノーゴーレムの核である魔石が見え、俺はその魔石をスティールで奪い取った。


 魔石を失ったビッグスノーゴーレムはただの雪になりその場に小さな雪山を作った。

 姫姉たちもとっくにビッグアイスゴーレムを倒していたようで湯気が立ち上る温かい飲み物を片手に待っていた。

 今回のスノーゴーレムとアイスゴーレムはドロップアイテムが雪と氷で少し損した気分になりながら俺たちは四十五階層目指して階段を下った。


 四十五階層もこれまでと同じように一面雪景色だけど今回は敵意がビンビンに感じられる今までで一番大きい雪山が目の前に存在していた。

 更に周りにはさっき戦ったビッグアイスゴーレムが二体付き従っていた。

 

 ボス戦だとは思っていたが今回の戦闘は今まで以上に長引きそうだなと感じ俺たちは気を引き締めて戦いに臨んだ。

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