第231話 雪原での戦闘は足を取られる
再びダンジョンにやって来た俺たちは四十一階層の扉の前で寒冷耐性のポーションを一人一瓶飲んだ。
飲んだ直後に体の中から熱が溢れるような感触があり、試しに雪原エリアに出て行っても寒さは感じるものの体の熱のおかげか体が震える事はなかった。
これなら探索できると確信した俺は早速スキル透視盗撮でこのエリアを隈なく見渡した。
前回は寒すぎて気付かなかったが何処を見ても魔物の姿が無くて何処までも白一色だった。
そこそこ時間をかけて辺りを見渡したが魔物も居らず下に行く階段が見つからずもしかしたら雪に埋まってるのかと思い雪の中まで透視すると驚く事に多数の白い狼の魔物の姿を確認する事になった。
どうやらここの魔物は雪の中に潜んで獲物が来たら襲う待ち伏せタイプらしい。俺はすぐにその事を姫姉たちに伝え、今度こそと意気込んで下に行く階段を探した。
探しに探した結果狼の魔物が沢山いる中心に下に続く階段があり、そこに行くまでの最短距離には他にも狼が待ち伏せしているエリアが多数あった。
階段の場所を見つけた事と最短距離で行くと敵が多い事を姫姉に伝えると姫姉は「もちろん最短距離で行くわよ」と宣言し、それを聞いた少女もやる気まんまんといった様子で武器を構えていた。
俺を先頭に俺たちは雪の積もった雪原に足を取られつつ最短距離を歩き、最初の狼の待ち伏せポイント前までやって来た。
俺は手で敵がそこにいると伝え魔銃デュアルガンドを構えて先制攻撃をすると視線で伝えた。
姫姉たちは俺の考えを理解して武器を構えながら頷いた。
俺は二人の返事を受けて狼が隠れている場所目掛けてファイアバレットを乱射した。
ファイアバレットが当たった場所の雪が熱で溶けてそこに隠れていた白い狼がその姿を現した。俺は更にファイアバレットを狼の近くにばら撒いて周囲の雪をできるだけ溶かしつつ狼にもファイアバレットを放った。
流石に見えている攻撃に当たるような馬鹿な狼はおらず、俺の放ったファイアバレットを軽い身のこなしで避けて俺たちの方に向かって襲いかかって来た。
俺はそのタイミングで魔銃デュアルガンドを無限収納に仕舞い、腰の刀に手を添え飛び掛かって来た狼の一体に居合斬りを放った。
武器の性能のおかげか飛び掛かって来た狼は真っ二つになり俺は慌てて体を捻って飛んで来る真っ二つになった狼の死骸を避けようとしたが俺に当たる直前には粒子になって消え毛皮と魔石がその場に落ちた。
その後俺たちは特に苦戦をすることも無く狼の群れを倒して先に進み同じ要領で他の群れも倒して行き、残すは階段前にいる群れだけになった。
階段前にいる群れはこれまでの群れの倍の数狼が潜んでおり一斉に向かって来たら流石に俺たちでも不利だと感じて策を講じる事にした。
まずは無限収納からミスリルを大量に取り出してこれまでの狼のジャンプ力を参考にしてそれよりも高い壁を両サイドに刀を振るえる分の距離を空けて立て、姫姉が前衛で後ろから俺が魔銃デュアルガンドで援護し後ろに回って来る狼は少女に倒して貰う事に。
この作戦は上手くハマり横からの襲撃が無い分前方だけに集中出来てこれまでの群れとの戦闘よりも楽に狼を倒す事が出来た。
狼を全滅させた俺たちはドロップアイテムを回収して階段に積もっている雪を溶かした。
因みに階段の中には何故か雪が積もっておらず、試しに雪を階段に落としてみたら階段の中に落ちる事なく地面と同じ高さの位置で止まっていた。
どうやらこの雪は魔物と同じく階段の中に入る事はないらしい。
どこまでも不思議な場所だと思いつつ俺たちは階段を降りて次の階層にたどり着いた。
次の階層も上と同じく雪原といった場所で一面雪景色だったが今回はそれに加えて少しだけ雪が盛り上がった明らかに何かありそうな場所があった。
罠だと思いつつその雪山にスキル透視盗撮を使って見ると中には宝箱があり俺は幸先が良いなと思いつつ姫姉たちにその事を伝えて一緒に雪を掘って宝箱を開けた。
宝箱の中には一握りほどの氷の塊があり一瞬ハズレかと思ったが少女が手に取り「当たりです」と言ったので俺はなんで当たり? と思いつつ鑑定解析を氷の塊に使った。
《氷結結晶》
周囲のマナを取り込み触れるモノをなんでも凍らせる結晶
スキルを持つ者が加工すれば凍らせるモノを選べるようになる
刻印魔弾アイスバレットの素材
錬金術の素材にもなる
鑑定解析の説明を読み少女の言う通りそこそこ価値があると思いつつ読み進めて刻印魔弾アイスバレットの素材になると書かれている事に気付いて俺は嬉しさのあまり「よっしゃァァ!」と叫んでいた。
俺が突然叫んだことで少女は驚いていたが姫姉は冷めた表情で「何がわかったの?」冷静に聞いて来た。
俺は「まだ持っていない刻印魔弾アイスバレットの素材が手に入ったんだよ!」と言うと姫姉は「あぁそれでかぁ」と納得して俺のことを温かい眼差しで見つめ少女は「良かったですね」と言ってくれた。




