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第230話 ダンジョン探索再開……できません

 装備のエンチャントを更新した俺たちはダンジョンにやって来ていた。

 前回のドラゴンを倒した次の階層からのスタートだが初っ端から躓いていた。

 なんと今度のエリアは全面が白銀世界の雪原だったからだ。

「「寒い!」」

 俺と姫姉は声を被らせて叫び少女は「くしゅんっ」と可愛いくしゃみをしていた。

「戦略的撤退!」

 俺はそう叫んで元来た扉に引き返し転移クリスタルに触れて地上に帰って来た。

 行って直ぐに帰って来たことで警備の兵士に驚かれて「どうかされましたか?」と訊ねられ、俺は「次の階層が雪原だったので」と言うと「ああ成程」と納得された。


「さて、どうしようか?」

 俺がそう言うと姫姉は「どうもこうも防寒具が必須でしょ」と返してきた。

「そうだよな、となると何が必要になるか知ってる人に聞き込みして買い出しだな」

 俺はそう言いながら誰が詳しいかなと考えてやっぱりここは冒険者ギルドのギルドマスターかなと思い至り姫姉たちに「一旦、冒険者ギルドのマスターに聞き込みに行こうか」と提案すると姫姉から「それが一番かな」と返され少女からも「そうしましょう」と返されて俺たちは冒険者ギルドに行くことになった。


 冒険者ギルドに入ると寝起きなのか欠伸をしている冒険者や夜通しの依頼帰りらしい荷物を持った冒険者が受付で納品したり依頼書を提出している冒険者が居てそれなりに賑わっていた。

 俺たちも並んでいる冒険者たちの列の最後尾に並んで自分たちの順番がやって来るのを待った。

 二十分ほどして俺たちの番がやって来ておれが代表して「ギルドマスターに聞きたいことがありまして」と言いつつギルドカードを見せると受付嬢はギルドカードの名前を見た所で顔を強張らせて「少々お待ちください」と言って直ぐにギルドマスターが居る上の階に走って行った。

 少しして受付嬢は急ぎ足で戻って来て「ギルドマスターがお会いになるそうです」と言って俺たちをギルドマスターの居る部屋の前まで案内してくれた。

「それでは私はここで」

 受付嬢はそう言って下の階に逃げる様に駆けて行った。


「失礼します」

 俺は一応の礼儀としてそう言いつつギルドマスターの部屋に入りそれに続いて姫姉たちも「失礼します」と言いながら部屋に入った。

「それで今日は何の用じゃ」

 ギルドマスターは俺たち座る様に促した後そう言って来訪の要件を聞いて来た。

「いやぁ実はダンジョンで山に遺跡に荒野と続いてドラゴンを倒して次の階層に行ったら急に雪原になって今の装備のままじゃ寒すぎてろくに探索が出来ないから何か良い方法が無いか聞きに来ました」

 ダンジョンの情報を伝えるとギルドマスターは驚いた表情になって「もしかしなくてもあのダンジョンのことか」と尋ね返して来た。

「はい、あのダンジョンの四十一階層です」

 俺がそう言うとギルドマスターは目を瞑り目頭を押さえた後、ひとつため息を吐き落ち着きを取り戻して口を開いた。


「もうそこまで進んだのか、それで雪原エリアに当たったと……。防寒対策じゃと着込むのが簡単じゃがお主らの戦闘スタイルじゃと着込むのは動きの阻害になって困るといったところかの。そうなるとやはり寒冷耐性の補助魔法が付いた装備を用意するか補助魔法を使うかソレ専用のポーションを使うかじゃな」

「なるほど、それでそれらってどこで手に入りますか?」

「ポーションならこの前教えてやった所に行けば簡単に手に入るじゃろ。魔法は王城で教えて貰うのが一番じゃな。補助魔法の付いた装備に関しては物が物じゃから運が良ければ店で売ってるかもしれん」

「そうですか、ならまずはケアテミスさんの所かな。貴重な情報ありがとうございました」

 俺はそう言って一礼をした後席を立ち姫姉たちと共に部屋を出てケアテミスさんの屋敷に向かった。


 昨日ぶりにやってきた俺たちにケアテミスさんは不思議そうに「昨日の今日でどうかしたのかい?」と訊ねられ俺が「寒冷耐性のポーションが必要になりまして」と答えた。

「そういうことか、寒冷耐性のポーションか……。在庫は無いが素材は確か残っていたかな。よし、今から調合してくるから待っていてくれ」

 ケアテミスさんは在庫を把握しているのかそう呟いた後今からつくると言って部屋を出て行った。


 ケアテミスさんが調合をしている間にメイドのリリィさんに出されたお茶を飲んで待つこと20分ほどでケアテミスさんが戻って来た。

「いやぁお待たせ、注文の寒冷耐性のポーション三十本だよ。一本飲めば一時間程度の間は体の内側から温めてくれる。因みに二本同時に飲んでも効果は一時間程度だから気を付けたまえ。それで値段だが一本三十シアで三十本だから九百シアになるよ」

 ケアテミスさんから飲む際の注意事項を聞いた後、意外に安い値段に少しだけ驚きつつ支払いをギルドカードで済ませた。

「毎度あり、それじゃダンジョン探索頑張って来てくれたまえ」

 ケアテミスさんにそう言われて俺たちは「頑張ってきます」と返してケアテミスさんの屋敷を後にしてダンジョンに向かった。


 

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