第23話 初心者ダンジョン『シアの迷宮』探索一階層
前回のあらすじ
メルさんと手合わせをした。
本日も晴天なり、そして本日も姫姉は他人のベッドに潜り込んできてます。
いつもの事をすまし俺たちは食堂で今日の予定を聞いていた。
「本日はレベルアップを兼ねてダンジョンに行きたいと思います。この世界での一番の謎でありその存在はこの世界ではかけがえのない宝の山です。私も王女でなければ今頃ダンジョンへ挑みたいのですが……。まあそれは置いといて、これから王都のすぐそばにある騎士が使っている初心者ダンジョンに向かいましょう。ふふふ、この機会に私もダンジョンに入れますわ」
なんかお姫様の願望のために俺たちが使われてる気がするが、ダンジョンに行けるなら俺にとっても願ってもないチャンスだ。
「ではこれからダンジョンに向かいましょうそうしましょう。このためにあのめんどくさい書類仕事を終わらしたのですから。後の事は妹たちに押し付けて私は悲願のダンジョンに行きますわ。このためにあのクソ親父を牢獄に入れてやったんですから。これで国民の支持もうなぎ上りですわ」
なんかお姫様の独り言が酷いが俺は気にしないことにした。
それから準備を済ませ俺たち一行は北門から出て馬車で十数分のところにある初心者ダンジョンシアの迷宮にやって来た。ネーミングが少し安直な気がしないでもないが、まぁいいだろう。
「では説明しますがこのダンジョンは全十階層で構成されており、各階層の奥にはフロアマスターがいます。これらを倒さないと下の階には行けません。最下層にいるフロアマスターを倒すとダンジョン踏破の報酬として何かもらえます。何が出るかはランダムらしいです。では五人くらいでパーティーを組んでレッツのゴーですわ」
お姫様がさっきからハイテンションで説明をしていたが説明が終わるとなぜかこっちにやって来た。
「さあユーマ様ヒメナ様シンヤ様ミヤ様メルリア、行きましょうか」
お姫様はいきなりやって来て俺たちのパーティーに入ると有無を言わさずにダンジョンに俺たちを押していった。
「あのお姫様なぜ俺たちのパーティーに来たんですか」
ダンジョンに入ってから俺はお姫様にそう尋ねた。
「それはあなた方がメルリアよりも強いからですわ。昨日の訓練でメルリアを倒したって聞きましたわよ」
「確かに倒しましたけど」
「ならこのパーティーが一番強いって事になりますわ」
確かに今日このダンジョンに来ているのは第八隊のメンバーと俺たちだけだから、この中では強いと思うけどダンジョンってそんなにあまいものなのかな。
そんなことを話しながら歩いていると目の前に扉が見えてきた。
「あれがフロアマスターの部屋に通じる扉ですわ。確か一階層のフロアマスターはハイビッグラットです。ビッグラットを少し強くした程度ですので余裕だと思いますわ」
俺たちは扉を開けて中に入ると扉が自動で閉まり、黒いモヤの中からビッグラットを一回り大きくしたモンスターが現れた。
「うふふ、初めての戦闘ですわ。先手必勝炎の槍よ我が敵を穿てファイアランス三連ですわ」
お姫様がそう叫ぶと炎でできた槍がハイビッグラットに突き刺さりハイビッグラットは跡形もなく燃え尽きた。焼け跡にはモンスターの心臓である魔石となぜか綺麗にはぎ取られたハイビッグラットの毛皮が残されていた。
「このようにダンジョンでモンスターを倒すと魔石と確率で何かをドロップしますわ。今回は毛皮でしたけど、ごくまれににスキルオーブなどもドロップするらしいです」
そんなお姫様の話を聞いていると奥の扉がひとりでに開いた。
俺たちはとりあえず先に進んだ。俺たち全員が扉をくぐると扉は勝手に閉まった。
この部屋には何か水晶みたいなものと下に降りる階段があった。
「皆様この水晶は転移水晶と言うものでこれに触れるとダンジョンの入り口にある水晶まで転移できます。またその逆も可能です。次回からはこの二階層に一気にこれます」
俺たちはお姫様の説明を聞き壁にはめ込まれた転移水晶に触れる。すると目の前にステータスのように画面が現れて、入り口と二階層降り口と表示された。
「いま皆様の前にステータス画面と同じ半透明の画面に入り口と二階層降り口と書かれたものが表示されていると思います。それで転移が可能になっていることが分かります。ではとりあえず一度入り口に戻ってみましょう」
俺たちはお暇様の指示に従い入り口をタップする。すると足元に魔法陣が現れ、一瞬光が俺たちを包むと次の瞬間にはダンジョンの入り口にいた。
「このように転移ができます。では二階層に戻って先に進みましょう」
俺たちは二階層に戻り先を目指して進み始めた。