第223話 新防具でダンジョン攻略再開
一時間ほどぶっ続けで訓練をしていてる疲れが出始めたので一度休憩しようと姫姉たちに伝え、見るも無残な姿になったミスリル製の的を回収して休息を取っているとメルリアさんが数人の女性兵士を引き連れて声を掛けて来た。
「ユーマ様、ヒメナ様、お願いがあるのですが……この者たちにユーマ様とヒメナ様の剣技を見せて貰えませんか?」
そう言ってメルリアさんは頭を下げ、それに合わせて後ろにいた女性兵士たちが「お願いします」と声を会わせてそう言い頭を下げた。
「取りあえずどうしてそういう事になったか聞いても良いですか?」
なぜ剣技を見せるなんて話になっているのか理解が追い付かなかった俺はそう理由をメルリアさんに訊ねた。
「実は昼間のユーマ様方の……その……例の剣を見ていたようで、先ほどももう一度見たいと覗きに来ていたところを注意していたのですが話を聞くとユーマ様方の剣技にも興味があるらしく出来ればで良いので見せて頂けないかと」
メルリアさんの話を聞いて俺は後ろに控えている女性兵士に目をやると、俺の視線に気が付いた女性兵士の全員がまた「お願いします」と言ってまた頭を下げて来た。
女性兵士の真剣な眼差しに俺は姫姉に視線をやり二人で悪意が無いと判断してメルリアさんたちに「良いですよ」と見学する事を許可した。
それから俺たちはメルリアさんと女性兵士が見守る中、オリハルコンとアダマンタイトの刀を完璧に使いこなすための訓練を再開した。
的に描かれたライン通りに斬って止める度に女性兵士たちが見逃さない様に瞬きもせず食い入るように見つめてきた。
訓練を続けて一時間ほどしたところで俺たちは訓練を終え片づけを始め、俺たちの訓練を見ていた女性兵士たちは見たものを忘れない様に木剣を持ってきて俺たちの動きを真似して体を動かしていた。
片づけを終えた俺たちはメルリアさんの案内で自分たちの部屋に戻り、俺は汗を流してから眠りについた。
翌日、ダンジョン攻略を再開した俺たちは新防具に身を包み三十一階層にやって来た。
三十一階層は荒野というのが相応しい一面の砂と少しの草木があるだけの見通しの良いエリアだった。
この感じだと階段は直ぐに見つかるかなと思い俺はスキル透視盗撮を発動して見回していると直ぐに見つけてしまった。
階段がある方向が分かったと姫姉たちに伝え俺たちはそこに向かって歩き始めて数分したところで上から敵意を感じ見上げるとデカい鳥が四体こちらに向かって来ていた。
俺と姫姉は居合の構えで迎撃の体制を取り、少女は両手に短剣を持ち一本を先頭を飛んでいる鳥目掛けて投げた。
投げられた短剣は見事に鳥の額に刺さりその鳥は速度を落として墜落したが残りの鳥たちは怯むことなく俺たちの方に突っ込んできたので俺と姫姉は躱しつつ居合斬りで一匹ずつ倒し少女は身を翻して鳥の頭を横から刺して倒した。
今度の敵は空からやって来るのが分かったので俺は初めから魔銃を手に持っていることにしてさきに進んだ。
道中やって来る敵は鳥だけのようで距離のあるうちにエアバレットを撃てば攻撃に気が付けなかった鳥たちが簡単に倒されて墜ちていった。
階段前に居る鳥たちは羽根休めをしているのか地上に降りていて遠くからのエアバレットでの狙撃だけで倒せてしまい苦戦することなく次の階層に行けた。
三十二階層も荒野なのは変わらずで敵は鳥に加えて蛇も出て来たが特に困ることも無く倒して進み三十三階層までやって来た。
三十三階層も荒野だったが敵が人位の大きさがある蜥蜴になり、なんとなく今後の展開が読めて来た俺は遂に奴に会えるかもと心を躍らせていた。
デカいだけの蜥蜴を倒して進みそして三十四階層を少し進んだ所で敵が亜竜のワイバーンが現れエアバレットも避けられるようになったが刀の間合いに入ればこっちのもので簡単に斬り倒せた。
俺はワイバーンが出て来た事でますます期待したドラゴンと戦えると闘志を滾らせていると姫姉に「一人で倒さないでよ、私も戦いたいんだから」と忠告をされた。
前回戦ったドラゴンはスティールの一撃で倒してしまい戦った感が薄かったので今度こそちゃんと真正面から戦って倒したかったのだ。
それから俺たちは階段前に居るワイバーンを一瞬で斬り倒し、三十五階層にやって来た。
これまでの傾向から此処にドラゴンが居る筈と俺は透視盗撮で階段を探しつつドラゴンも探していると簡単に見つけることが出来た。
ただ残念だったのは今回の見つけたドラゴンは地竜と言い分けられるランドドラゴンで空は飛べず走る速度もそこまで早くない上に姫姉は一度戦ったことのある種だった。
一応俺はまだ戦った事が無いので姫姉がランドドラゴンとの一騎打ちを俺に譲ってくれた。
俺は腰の刀に手を添えたままランドドラゴンに近づき俺に気が付いたランドドラゴンが噛み付いて来るのを跳んで躱し、首目掛けて抜いた刀を振り下ろした。
落下のエネルギーも加わったおかげか刀はランドドラゴンの首を深く傷付け俺はさらに追撃の切り上げからの突きをランドドラゴンにお見舞いした。
その攻撃が決め手になったのかランドドラゴンは光の粒子になって消え宝箱が現れた。
宝箱に罠が無いか確認し罠が無いと判った所でいつも通り俺が宝箱を開けた。
中には鱗が数枚と爪か牙のような白く尖ったモノが入っていた。




