第220話 アダマンタイトとオリハンコンの刀を作った
「今日は折角手に入れたアダマンタイトとオリハルコンを使って装備の新調をしたいと思います」
朝食を終えた俺は部屋に戻る道すがら姫姉たちにそう提案した。
「そうね、せっかくだし時間を掛けてじっくり作るのもアリかもね」
姫姉もそう返して俺の部屋に集まってアダマンタイトとオリハルコンの装備を作る事になった。
「それでは新装備の相談を始めたいと思います。まずはアダマンタイトとオリハルコンのインゴットを一人二個ずつ配ります。各々作りたい武器の形状が決まったら姫姉に伝えてクリエイトのスキルで形にして貰います。あとエンチャントもお願いします」
俺が全員にそう伝えると姫姉が「優君のスキル形状変化でも武器に形変えられるんじゃ無かったけ?」と聞いてきた。
確かに俺のスキル形状変化でも形は作れるけど相当集中しないと刀の様な鍛造品を作るのが難しい。その点姫姉のスキルクリエイトはその辺もスキルが自動的にやってくれるので便利だ。
俺がその事を説明すると姫姉は「へぇー」と言って納得した。
姫姉の疑問が片付いたところで俺はオリハルコンのインゴットを手に持ちスキル形状変化を使っていつも使っている刀を思い浮かべながら集中した。
昔姫姉の祖父さんに刀の鍛造をしている鍛治師の刀鍛治を見せて貰ったことがありその時その刀鍛治師から工程の説明も聞いた。
その事もしっかりと思い出しまずは刀の芯となる心鉄を作る。
オリハルコンを伸ばして折り重ねてまた伸ばす。数回それを繰り返して出来た物とその倍繰り返した物を用意して数回繰り返した方を心鉄として倍繰り返した物を心鉄に巻きつけてから刀の形に整える。
そして刃の部分を研いだ様に薄くして完成。
これで一応刀鍛冶師から教わった通り作れたはずと一息つくと姫姉がジト目でこっちを見ていた。
「刀作るの難しいんじゃなかったの?」
「いやコレはそのなんて言うか、試しにやってみたっていうか。そしたら意外となんとかなって」
俺がそう言い訳すると姫姉は「ふーん」と言って俺の手から今作ったばっかりのオリハルコンの刀を奪い取り目を細めて刃を確認し出した。
そして確認を終えたと思ったら柄を作り出し嵌めて目釘を付けて軽く振って抜けたりしない事を確認してから「ついでにエンチャントもしといたから」と言って鞘を作りそれに入れて返してくれた。
俺は「ありがたき幸せ」と恭しくそれを受け取ると、そのタイミングで姫姉が「私の分も宜しくね」と有無を言わせない笑みで言ってきた。俺はその言葉に「はい」と返し渡されたオリハルコンを手に刀をもう一本作り始めた。
さっきよりも集中して刀を作り姫姉に渡すと姫姉はそれに柄と目釘を付けて軽く振り納得したように頷いた後、鞘を作ってそれに仕舞ってから無限収納に入れた。
ひと段落ついたところで俺は姫姉がどんなエンチャントを施したのかが気になり鑑定解析を発動した。
《オリハルコンの魔刀》
オリハルコンで出来た魔刀
STR20%上昇、切れ味向上、頑強、のエンチャントが刀自体に鞘には修復のエンチャントが付けられている
凪滝優真がスキル形状変化を斜め上の使い方をして作った刀
そこに星兆院姫菜がSTR上昇、切れ味向上、頑強のエンチャントを施した魔刀
鞘にはMPを消費する事で刀を修復する修復のエンチャントが施されている。
どうやらとんでもなエンチャントを施していたらしい。こんなのを王女様たちに見つかったら何を言われるか分からないので人目のある所ではなるべく使わない様にしないとと思いつつ無限収納に仕舞った。
気を取り直して今度はアダマンタイトを使って刀を作ろうとアダマンタイトのインゴットを手にしてスキル形状変化を発動した。
だがこれが思った以上に癖の強い代物だった。
オリハルコンはなんだかんだスキルで簡単に形を変える事が出来たがアダマンタイトをオリハルコンの倍以上の力を込めてやっと少し形を変える程度しか出来なかった。
伊達に最硬を誇っていないのかスキルも効き辛いらしい。
俺は必死になりながら伸ばして畳んでまた伸ばしてを繰り返し、何とか刀の前段階まで進めてそこから刀を形作った所で集中の限界を迎えて一旦スキルを解いた。
まだ刃を付け終えていないので完成ではないが物凄く疲れたので一旦休憩と俺はベッドにダイブした。
そこから少し休憩をした後、再び俺はアダマンタイトの刀向き合いアダマンタイトの刀に刃をつけて姫姉に出来る限りのエンチャントをお願いした。
今回のアダマンタイトの刀は頑丈さが取り柄なので姫姉がそこに更に頑強や切れ味上昇に加え、今回は腐食や耐熱などの耐性系のエンチャントを施せるだけ施して簡単に壊れない様にしてくれた。
これで名実ともに世界最硬のアダマンタイトの魔刀となった。
そしてこれも姫姉の分も作って限界の更に先を迎えた俺は姫姉に膝枕を所望し、仕方ないなぁと言わんばかりの困った様な笑みを浮かべつつ姫姉はベッドに腰掛けた。俺は姫姉の太ももの柔らかさに包まれながら昼食の時間がくるまでの少しの間眠りについた。




