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第22話 異世界での戦闘訓練

前回のあらすじ

魔法についてウォレン老師に習った。

 昨日はウォレン老師に魔法を教えて貰ったが覚えるには至らなかった。

 今日はメルさんが率いる王室騎士団第三師団が剣術などの講義を行うみたいだ。俺たちはもともと剣術なんかはある程度できるので参加はするが教えて貰うというより手合わせするかんじだ。

「ではこれから皆に剣術を教える王室騎士団第三師団第八隊隊長メルリア・グライツだ。本日は我々第八隊が面倒を見る。死にたくなければ我々の教えに従え。以上だ」

 いつものメイド服姿でメルさんがそんなことを言っていた。

 俺は話を聞かずにぼけっとしていた。するといきなりメルさんが俺に声をかけてきた。

「ユーマ、貴様話を聞いてないな。良い度胸だ、まずはお前と手合わせをしてやろう」

 前言撤回、いつもよりも高圧的な口調になったメルさんが俺との手合わせを挑んできた。

「はい、謹んでお受けいたします」

「よかろう、武器はそこにある木製の中から好きなのを選ぶといい」

 メルさんが指を指した先には木製の剣や槍などが沢山置かれていた。おれはその中から鑑定を使いそこそこの木剣を選びメルさんの前に立った。

「よし、では始めるとするか。副隊長合図を」

 後ろで控えていた一人のメイドに声をかけてこちらに向いた。声を掛けられたメイドは俺たち二人が構えたのを見て開始と叫んだ。

 まずは様子見として俺は木剣を右手に持ち構えを解いた。メルさんはそんな俺の突拍子のない行動に驚いていたが構えたまま俺に向かって斬りかかって来た。俺は上段から振り下ろされる木剣を下からの切り上げでメルさんの攻撃を防いだ。

「なるほどあえて隙を作ってこちらを誘っていたわけですか。やはり侮れませんね、ユーマ様は」

 メルさんは俺にだけ聞こえる程度の声量で話しかけてきた。

「まぁ、メルさんが打ち込んでこなかったらこちらから行くつもりでしたけどね」

 俺はそのまま数歩下がり木剣を両手で構えてメルさんの動きを待った。

「では次はそちらから打ち込んできてください」

 メルさんにそう言われ俺は上段から斬りかかる。メルさんは木剣を横にしそのまま受け流し今度は下段から斬り上げてきた。俺はその一撃を紙一重で躱し距離を取った。

「この位では当たりませんか。ならこれならどうですか」

 メルさんはそういうと一気に距離を詰めてきて連続で斬りかかって来た。俺はそれらの斬撃を受け流しながら隙をついて反撃を入れてみたがものの見事に防がれてしまい、その結果俺は木剣を手から離してしまった。メルさんはこの機を逃さずに俺にとどめとして頭に一撃を入れようとしていた。俺はその一撃を半身を反らし避けて、逆にメルさんの腹部に掌底をかました。

 メルさんはもろに掌底を受けてしまい仰け反り、その隙に俺はメルさんの手に握られた木剣を蹴り遠くに飛ばした。

「参りました」

 メルさんが降参の意思を示して試合は幕を閉じた。一拍おいて歓声が上がった。

 その中には騎士の人たちも混じっていた。

 その後俺たちは個別に一人一人に合った武器を選び、個人レッスンに入った。

 俺は今回の講師をしてくれる第八隊で一番強いメルさんを倒してしまったので一人で稽古となってしまった。一人寂しく剣を振っていると、メルさんが声をかけてきた。

「ユーマ様、今回は私のワガママにお付き合い頂き感謝します」

 どうやらあの試合はメルさんのワガママで挑んだらしい。

「別に気にしてませんよ。俺としても良い経験ができましたし」

 まさか姫姉や爺さん以外に剣を落とされるくらいに打ち込んでこれる人がいるなんて思いもしなかったからな。そこのところは俺も慢心があったと思った。

「ですが剣術のみならず体術もあれほどの腕前とは、よほどの鍛錬を積んでおられたのでしょう」

 まぁ確かに爺さんの鍛錬は常軌を逸したレベルではあったがそのおかげでここまでこれたと感謝はしている。

「ええ、昔ものすごく強い爺さんに会ってその人に鍛えて貰いましたから。普通の人よりかは強いと思いますよ」

「ぜひ、そのお方にお会いしてみたいものですね。できれば手合わせも」

 たぶん爺さんは本気を出さずにメルさんを圧倒すると思うがまぁ、この世界にはいないし手合わせをすることは無いだろう。

 それから俺たちは夕食の時間まで第八隊の人たちと訓練をしていた。

 訓練の途中で数人の隊の人たちが俺に手合わせを挑んできたので全員と手合わせをして全員を打ちのめした。そのころメルさんは俺と同じくらいに姫姉が強いと伝えると喜々として手合わせをしに行った。

 そんなこんなで今日一日この世界の騎士と戦った感触を確かめながら眠りについた。

 ベッドに潜り込む存在に気付かずに……


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