第211話 オーガの角は魔装具にする事にした
前回のあらすじ
ケアテミスさんの館にやって来た
オーガの角をどうするべきか相談した
ケアテミスさんからは魔装具をオススメされた
オススメしてくる時点で何となく察してはいたがやっぱりケアテミスさんが作るつもりらしい。
実力はデミエリクサーを作れるくらいだから信用できるが制作費が一体幾らになるか、そこそこ稼いでいるがそこが問題だ。
そんな事を考えているとケアテミスさんが話しかけてきた。
「それで魔装具だがどんなモノにする? 指輪に腕輪、ネックレスやイヤリングなんかも作れるが。それと他の素材も決めなくてはな」
ケアテミスさんはニコニコと楽しそうにそう言って何を作るかを俺たちに聞いてきた。
俺はその質問にどうしようか悩んでいると姫姉が口を開いた。
「それじゃネックレスでお願いします。それで他の素材ですが持っているのを出すので安くしてください」
ネックレスにするように言った姫姉は更に他の素材もこっちで用意するから安くして欲しいと値引き交渉をしだした。
「もちろん良いけど、コレで最高傑作を作る以上それ相応の素材が必要だよ? 最低でも金、出来るならミスリルが良い。それとペンダントトップに付ける魔石も必要だね。魔石が無いとエンチャントがちゃんと機能しないからね」
ケアテミスさんの言葉を聞いて俺は一応全部持ってるなぁとか思っていると姫姉が「全部あります」と言って俺に視線を送ってきた。
俺はアレの事だろうと思い無限収納から該当のアイテムを取り出した。
「コレはミスリルゴーレムの一部か? それにコッチはオーガの魔石か! これなら最高に相性が良いから最高の品が作れるぞ!」
俺が無限収納から取り出したよく使うミスリルゴーレムの腕の破片とオーガの角と一緒にドロップした魔石をケアテミスさんは手に取って隈なく見た後、満面の笑みを浮かべながらそう言った。
「ではそれでお願いします」
姫姉がそう言うとケアテミスさんは「任せたまえ。これだけの素材が揃っていれば加工費とその他の細々とした素材で金貨5枚になるが良いかい?」と返され俺は思ったよりも安くして貰えたと心の中でホッとし、姫姉はニコニコしながら「それでお願いします」と言いながら金貨5枚を取り出してケアテミスさんに渡した。
「確かに受け取ったよ。それじゃあ直ぐに取り掛かるから夕方くらいに取りに来てくれ。その頃には完成させておくよ」
姫姉から代金を受け取ったケアテミスさんはそう言うが否や素材を手に今にも踊り出しそうなくらい軽い足取りで部屋を飛び出して行った。
部屋に取り残された俺たちが呆気に取られているとメイドさんがやって来て「ケアテミス様がすいません、あのお方は錬金のことになると少々自分勝手になり自由になさる方でして。そう言えばコレを貴方たちに言うのは2回目ですね」とクスッと笑みを溢して言った後、「それでこの後はどうされますか?」と尋ねられた。
そう尋ねられ俺たちは顔を見合わせてどうするか少し話し、そういえばまだダンジョンでの戦利品の売却がまだだったことを思い出して俺たちは一旦館を後にすることにした。
その事をメイドさんに伝えると「ダンジョンの戦利品ですか、ケアテミス様が聞けば興味を持ちそうですね」と言われたが一応王女様から担当の者だけに売って欲しいと遠回しに言われていたのでケアテミスさんに売る事は出来ないとメイドさんに素直に伝えた。
それじゃあ装備にするのは良いのかと問われそうだが売っては無いので良いだろうと勝手に判断した。
俺たちの言葉を聞いて「それもそうですか、あのダンジョンはまだ未解明の事が多すぎますから。分かりました、では門までご案内します」と言って俺たちを館の外まで案内してくれた。
「それだは皆様、夕刻にお待ちしております」
メイドさんのその見送りの言葉に俺は「ありがとうございます」と返し、姫姉は「ありがとうございますリリィさん」と返して少女は小さい声でありがとうございます」と言って頭を下げた。
ケアテミスさんの館を後にした俺たちは王城に戻って来て出迎えにやって来たメルリアさんにダンジョンで手に入れた物を売りたいと伝えた。
それを聞いたメルリアさんは直ぐに手筈を整えてくれて俺たちは王城の傍にある解体所にやって来た。
中に入るとギードさんが暇そうに頬杖をついていたが俺たちが入ってきたのを見るや否や駆け寄って来て待ってましたと言わんばかりに話しかけてきた。
「よく来てくれた、仕事が無くて暇で暇で仕方なくてな。それで今日は何を持って来てくれたんだ」
ギードさんは鬼気迫る勢いで出すモン出せと暗に伝えてきた。
俺は無限収納から今回のダンジョン探索で手に入れたゴブリンの魔石とナイフと棍棒、採取で手に入れた下級ポーションの材料になるリカ草と下級解毒ポーションの材料の毒消しの実と下級解麻痺ポーションの材料のパラ花をあるだけ全部取り出して机の上に並べた。
「こんなにか……、コレは腕が鳴るぜ! ドナート! 仕事だ!」
ギードさんは出された量に少し驚いた様子だったが直ぐに笑顔になってドナートさんを呼びつけ二人で仕分け作業に取り掛かった。




