第209話 新しい文官を紹介された
前回のあらすじ
王城に戻ってきた
ダンジョンの戦利品整理をした
王女様たちと夕食を食べた
全員の食事が終わり一息ついたところで王女様から声を掛けられた。
「ユーマ様、この後お時間宜しいですか?」
たぶん今日のダンジョン攻略の情報を聞きたいんだろうなと思い王女様には「大丈夫ですよ」と返した。
「ではメイドに案内させますのでそこでダンジョン情報の提供をお願いしますね」
王女様はそう言うと席を立ち全員に向けて「失礼します」と言って食堂を後にし、それに続いてウォレンさんにウィンダムさんたちが食堂を出て行った。
そして俺は一人のメイドさんに「ユーマ様はこちらへ」と促されて食堂出て姫姉たちと別れた。
メイドさんに案内されたのは前にも来た事のある部屋で王女様と文官と思しき男性が部屋で待っていた。
「お待ちしておりました。まずは紹介します彼が今後ユーマ様のダンジョン関連の事を任せる者です」
王女様がそう紹介すると紹介された男性は立ち上がって口を開いた。
「初めましてユーマ様、私は王宮二等文官のアモダブ・フレクルードです。これからよろしくお願いします」
緊張しているのかちょっとだけ上擦った声で硬い挨拶をしてきた真面目そうな見た目の二等文官のアモダブさんに「こちらこそよろしくお願いします」と返すとアモダブさんはホッとしたように小さく息を吐いた。
「顔合わせが終わったようですので私は先に失礼します。後の事はアモダブ二等文官に任せますのでくれぐれもユーマ様に失礼の無い様に」
王女様がそう言うとアモダブさんが緊張した様に引き締まった顔になって背筋を伸ばし「承りました」と返し、それを聞いた王女様は「では」と言って部屋を出て行った。
部屋に残された俺とアモダブさんは顔を見合わせた後「取りあえず座りましょうか」とアモダブさんに言われ俺は椅子に座った。
「まずはこちらを」
椅子に座った俺にアモダブさんはいつもマップを書くのに使っている紙とペンを渡して来た。
「ユーマ様に質問します、今回は何処まで進まれましたか?」
「今回は十五層までです。そこで転移のクリスタルを使って帰ってきました」
「そうですか、今回も五階層進んだんですね。分かりました。では分かる範囲で良いので五階層分の地図と罠、それと魔物の種類や数をお渡しした紙に書いて貰えますか?」
俺ん返答を聞いてアモダブさんは小さくそう呟いた後、分かる範囲で良いから情報を紙に書いて欲しいと言って来たので俺は「分かりました」と答えスキルのマップを出して描き写し始めた。
俺が迷うことなく黙々と地図を描いている間、手持ち無沙汰になったアモダブさんは俺が描いている地図を見ながら小さな声で「っえ! こんなに詳しく?!」と驚いていた。
それから数十分ほど掛けて五階層分の地図を描き終えた俺は「出来ました」と言ってアモダブさんに描き上げた地図を手渡した。
地図を受け取ったアモダブさんは大事そうにそれを受け取ると「確認させて貰います」と言ってじっくりと地図を見始めた。
それから時折地図について俺に質問をしてきたりしながら確認作業を進め、数十分掛けて全部の確認をした。
「貴重な情報をありがとうございます。今日はお疲れさまでした。今案内の者を呼びますので少々お待ちください」
確認作業が終わったアモダブさんは俺に労いの言葉を言ってから机の上に置かれていたベルを鳴らした。
数分後部屋の扉をノックする音が聞こえ、それにアモダブさんが「どうぞ」と声を掛けると扉を開けてメルリアさんが入って来て「お待たせいたしましたユーマ様。お部屋までご案内いたします」と言ってきた。
俺はアモダブさんに「お疲れさまでした」と一言声を掛けてからメルリアさんに連れられ部屋を出て自分の部屋に戻った。
部屋に戻った俺はすることも無いし疲れてもいたので直ぐに眠りについた。
翌日、気持ちよく目覚めた俺は今日はどうしようかなと考えながら着替えを済ませて朝食の時間まで軽く体を動かしているとメリルアさんが朝食の用意が出来たと伝えにやって来た。
俺は汗を拭いてから皆と一緒に食堂に行き、王女様たちと共に食事をして再び自分の部屋に戻って来た。
部屋で寛いでいると姫姉たちが部屋にやって来て「今日はどうする」と尋ねてきた。
昨日は結構ハードな戦いをしたこともあってあまりダンジョンに行くという気分になれなかったので俺はそのまま「休みにしたい」と言った。
「確かに昨日は疲れたから休みにするのは良いけど、それなら今日はどうするの?」
姫姉にそう質問されて俺は少しだけ考えた後、ドロップアイテムとかのことを思い出した。
「取りあえずダンジョンで手に入れたドロップアイテムとかの売却かな?」
俺がそう提案すると姫姉は「溜めこむ前にやった方が良いわね」と言った後「それが終わったらどうするの?」と聞いて来た。
俺は少し考えてそういえばオーガの素材で装備を作れるっぽいからどうにか出来る人を探すのも手かと思い付きその事を姫姉に伝えると姫姉が「それならケアテミスさんは?」と提案してきた。
俺たちの知り合いで錬金術と言えばケアテミスさんが居たなぁと思い、他に意見も無かったのでケアテミスさんの所に行くことに決まった。




