第208話 ダンジョンの戦利品整理
前回のあらすじ
オーガ二体と戦闘開始
苦戦せずにオーガ二体を倒す
卿のダンジョン攻略は此処までにして帰る
「皆様、こちらに馬車を待機させております」
俺たちがダンジョンから出てくると待ってましたと言わんばかりに他の兵士に絡まれた時に丁寧な対応をしてくれた兵士が駆け寄りそう声を掛けて来て、俺たちを待機させていた馬車に乗る様に促してきた。
俺たちはその兵士に一言お礼を言ってから馬車に乗り込み陽が落ち切る前に王城に帰り着いた。
王城に到着した馬車から降りるとメルリアさんが待っていて俺たちをそれぞれの部屋に案内してくれた。
俺たちはそれぞれ部屋に入り、俺は着替えをしてから装備を手入れをしてからシャワーを浴びて汗と汚れを落とした。
その後俺は部屋でゆっくりとしているとお風呂に入ったであろう少し髪がしっとりとしていてほんのりと頬が赤い姫姉と少女が部屋にやって来た。
「わざわざ風呂上がりにどうしたの姫姉?」
俺がそう尋ねると姫姉は「夕食まで時間があるらしいからダンジョンでの戦利品の整理でもしようかと思って」と言って俺のベッドに腰掛け少女を膝の上に乗せてから早く戦利品の詳細を話せと目で命令してきた。
俺は姫姉の気まぐれに暇だったしいいかと折り合いを付けて今日のダンジョンで手に入れたモノを無限収納の中を見ながら言っていった。
「ゴブリンからは魔石とナイフと棍棒で道中の採取で手に入れたのは下級ポーションの材料になるリカ草と下級解毒ポーションの材料の毒消しの実と下級解麻痺ポーションの材料のパラ花と最後のオーガから手に入れた角と杖と棍棒。取りあえず今日手に入れた物はこれ位かな」
俺が一通り言うと姫姉は少し悩んだ後「取りあえずオーガのドロップ品以外は売却で良いよね」と言って来たので俺は「オッケー」と返し少女は首を縦に振って肯定の意思表示をした。
「となると、やっぱり問題はオーガのドロップ品か……」
「そうよね、棍棒は使い道が無いから売っても良いけど杖はギリギリ使えなくもないしエンチャントも付いてるんだよね?」
「ああ、でもこの杖俺は使わないし持ってる意味が無いんだよな」
「そう言えば優君は魔法を使うときは魔銃を使うもんね」
「そうなんだよな。で、姫姉も本気で魔法を使うとなったらエンチャントマシマシの杖自分で作るだろ」
「うん、絶対に使い勝手の良いの作る自信がある」
「ならこの杖も処分だな」
「ちょっと惜しいけどそうだね」
俺たち二人でそう話し合って売る方向になり、少女は杖に興味が無かったのか俺たちの意見に賛成してくれた。
「後は角か、一応装備品の素材にも錬金術の素材にもなるらしいけど……あっ」
俺はそう言いながらレッドオーガとブルーオーガの角を取り出して再度鑑定解析をして内容を確認していると妙な事に気が付いた。
「どうしたの?」
「うん、今角を解析した時に気が付いたんだけど解析の結果に対して更に解析を使えるっぽいんだよ」
「何それ?」
「俺も良く分からないんだけどどうやら錬金術の素材ってワードに対して鑑定解析が使えそうなんだよ」
「そうなんだ。で、使ってみたの?」
「いやまだ使って無い」
「なら今試してみたら?」
「やってみる」
俺はそう言って錬金術の素材というワードに対して更に鑑定解析を使った。
《錬金素材レッドオーガの角》
レッドオーガの魔力を宿している角で錬金術の素材
中級筋力上昇ポーションの素材の一つ
筋力上昇のエンチャントを装備品に付与する時に使う素材の一つ
狂化薬の素材の一つ
《錬金素材ブルーオーガの角》
ブルーオーガの魔力を宿している角で錬金術の素材
中級魔力上昇ポーションの素材の一つ
魔力上昇のエンチャントを装備品に付与する時に使う素材の一つ
狂化薬の素材の一つ
一つだけ不穏なのがあったがどっちもそれなりに良い素材らしい。
俺はその事を姫姉たちに伝え、出来れば手元に残しておきたいと言うと二人とも賛成してくれた。
これでダンジョンの戦利品の扱いが決まったと一息ついたところでメルリアさんが夕食の時間だと迎えにやって来た。
俺たちは揃って部屋を出て久しぶりな気がする田中さんと共に食堂に移動した。
食堂に一番に到着した俺たちは先に席に座って待ち、次にやって来たウィンダムさんたちと軽く言葉を交わしているとウォレンさんと王女様がやって来て夕食がそれぞれの前に運ばれてきた。
今日の夕食のメニューはローストビーフの乗ったサラダにクリームシチュー、そしてチキンステーキだった。
ローストビーフの乗ったサラダはオニオンソースのさっぱりとした味で上手く味が纏まっていて美味しかったし、クリームシチューは一口大に切られた人参、じゃが芋、玉ねぎ、豚肉がどれも柔らかくて食べやすく美味しかった。
チキンステーキはガツンッと来るガーリックソースの濃い味にチキンの旨味が合わさって良い味に仕上がっていた。
そしてどの料理も白パンとの相性が良く飽きることなく全ての料理を平らげた。
デザートにはなんと苺のショートケーキが出て来て俺は密かに喜び、姫姉は目を輝かせて美味しそうに苺を最後に残してショートケーキを食べていた。




